【ラジオな人】熊本のお昼に”福”を届ける RKKラジオ(熊本放送)の癒しボイス・塚原まきこさんに直撃!

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RKKラジオ(熊本放送)『塚原まきこの福ミミらじお』パーソナリティ・塚原まきこさん。熊本県だけでなく全国にファンがいる彼女に、自身の経歴や番組のこと、熊本地震当時のことなど、さまざまなお話をうかがってきました。

――昨年、ラジコからSNSで「誰のインタビュー記事を読みたいですか?」と尋ねたところ、「塚原まきこさん」という回答がとても多く寄せられました。というわけで今回、熊本へとお話をうかがいに参りました!

ようこそ、熊本へ!

※インタビューは2018年9月27日に行いました。写真で塚原さんが広島東洋カープのTシャツを着ているのは、カープがリーグ優勝を決めた翌日だったためです。

幅広い層に”癒し”を届ける

――今回のSNSアンケートで「塚原さん」という声が多かったのは、早い時期から『塚原まきこの福ミミらじお』をインターネット配信していた、というのも大きいかと思います。

そうですね。最初はUstreamから始まって、今はYoutubeチャンネル(※1)で配信をしています。配信をきっかけに番組を聴くようになった方は、確かに多いです。北海道の方も、海外の方もいらっしゃいます。ですが、インターネット配信だとCDの音楽は流せなくて…『福ミミらじお』は音楽番組なのですが、その間は無音になってしまいます。「やっぱり音楽も楽しみたい!」ということで、配信で映像を観て、ラジコプレミアムで音を聴いている、という方も多いですね。

――ゆったりとしゃべっているなと感じたのですが、意識されていますか?

はい、しています。お昼休みに聴く方も多いと思うので、リラックスしてもらうために、しゃべる速度はかなりゆったり目だと思います。リスナー層がすごく幅広くて、下は小学生から、上は70歳・80歳ぐらいの方が聴いてらっしゃるので、できるだけゆっくり、分かりやすい方がいいのかなと思って。

小学生リスナーの子は以前、修学旅行のお土産を買ってきてくれました。長崎へ行ったからって、カステラを買ってきてくれて……私、もう泣きそうでした(笑)。中学生になった今でも聴いてくれていて、たまにメッセージや手紙をくれるんです。そういう若い方もいれば、「77歳です。スマホのメッセージ、届いていますか?」みたいに、初めてのメールを書いてくださる方もいらっしゃいます。そういう方たちに、ちゃんと届くように心がけていますね。

また、配信を観て、遠方から遊びに来てくださる方もいます。「どこから来たんですか?」と聞くと「大阪」とか「名古屋」とか「秋田」とか。ラジオを聴いて熊本に行ってみようと思ってもらえたのなら、熊本の宣伝にもなっているのかな。

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「今日の選曲よかったね」のひとことが嬉しい

――ゆったりとしゃべっていても、時間からこぼれないのは凄いな…と思いながら見学しておりました。

常に、ストップウォッチを見ながらやっています。ゆったりやっていますけど、実はディレクターも兼ねているので、やることはすごく多いんですね。ミキサーさんたちとコミュニケーションを取りつつ、ツイートも見つつ、配信もしつつ。

――それだけやりながら、タイムキープをしているのが凄いですよね。

いやいやいや、そんなことないです(笑)。ですが、月~金曜で10年やっていますけど、「今日も何事もなく、事故もなく終わった」という満足感は、毎日ありますね。

――帯でしゃべっている方は皆さん、「あくまで日常なので」とおっしゃいますね。特別に派手なことをするのでもなく、日常を届けるんだって。

やっていることはもう、本当に日常ですね。あとはご機嫌な音楽と。特別なことはやっていないと思います。お昼だし、BGMにもできて、たまにお笑いやイベント、グルメの情報を紹介して。映画の紹介もよくするのですが、「何曜日に」とは決めてないんです。決まったコーナー以外はあまり決め込まずに、「今日は本を紹介しよう」とか、そのときにある話題を届けています。

――曲はどのタイミングで決めていますか?

当日です、そのときの天気や気分があるので。本番の1時間前に決めたりするので、ADさんは大変だと思います。ギリギリまで、皆さんのリクエストやお便りを待って決めますね。番組中に、後半の曲が決まることもあります。

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――曲はフルコーラスが基本なのかと感じたのですが。

そうなんです。時間が許さないこともあるんですが、音楽をキッチリ聴いてほしいですね。私がすごく音楽好きで、音楽に携わる何かをやれたらいいな…と思っていて、行き着いたところが今のお仕事なので、選曲をするのが本当に楽しいです。私自身、中学生ぐらいからずっとラジオを聴いてきて、ラジオから知らない曲が流れてくると、「この曲かっこいい」とか「この曲、何だろう?」などと調べたりしました。リスナーさんにもそう思ってもらえて、「今日の選曲すごく良かった」なんていってもらえると、すごくうれしいです。

――洋楽も邦楽もかけるのですか?

できるだけ、幅広いジャンルからかけるようにはしています。多少、好みは入るんですけど。

――幅広く音楽をかけるには、知識が必要ですよね?

好きだからいろいろ調べますし、自分が選ばないような曲も聴きたいなと思います。月に一度、伊藤銀次さん(※2)が出演してくださっていて、銀次さんが選んだ曲をかけることがあるのですが、そういうときは私が「こんな曲あったんだ」と感じられて、やっぱり「ラジオっていいな」と思います。

私はNHK FMの『サウンドストリート』(※3)がすごく好きで、特に火曜日の坂本龍一さん(※4)が好きでした。当時、同じ火曜日に高橋幸宏さん(※5)が、『オールナイトニッポン』をやっていましたね。当時の私は、ラジオの番組表を中心に生活が回っていたので、火曜日が自分の中心になっていて、そこからいろんな音楽を教えてもらって、洋楽も聴くようになりました。今ラジオを聴いている人にも、暮らしの一部のように聴いてもらえたらいいですね。それが活力になるかもしれませんから。

――リスナーの番組参加率が高いと感じたのですが、塚原さんに共感されているからなのでしょうか?

メッセージの数も、多いかもしれないですね。私が分からないことがあると、すぐ調べてくださったりします。リスナーさんのツッコミも早いです(笑)。一緒に楽しんでいる感じはしていますね。メッセージをたくさん送ってくださるのもうれしいし、基本的には音楽番組なので、投稿はしないけど音楽を楽しむ方もいますし、どっちもできる番組なのかな、と思っています。

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ゆったりとしたしゃべりは大橋俊夫さんから

――RKKラジオさんでは、いつ頃から番組を持ってらっしゃるのですか?

15~16年前ですかね。東京から戻ってきてそれぐらいなので。東京に行く前も、実はRKKさんでちょっとだけ番組をやっていたんですよね。

――事務所(※6)のプロフィールを見たら、短大時代から活動をしていたとあったのですが。

そうです、最初はテレビのアシスタントをしていました。すごくラジオっ子だったので、「ラジオがやりたいな」とずっと思ってたいら、タイミングが合いました。ラジオは短大を卒業してからがスタートです。

――東京に活動拠点を移されたのはなぜですか?

ずっとレギュラーでやっていた番組が終わって、フランスに留学したんですね。日本に戻ってきてから仕事のことなどをいろいろ考えたときに、それまで熊本を出たことがなかったことに気がつきました。

学生時代には東京への憧れがあったので、「このタイミングしかない!」と思って行きました。でも、すぐにはラジオの仕事につけず……。最初の2年ぐらいはアルバイトをしながら勉強をしたり。そうこうしているうちにいろいろな人と縁ができて、徐々にFMヨコハマさんやNACK5さんで仕事ができるようになったんですね。その頃に事務所の社長である坂本咲子さん(※7)と出会って、所属させてもらいました。そのおかげで、ラジオのレポーターの仕事ができたり、熊本に戻った今も名前を置いてくださっているので、本当に感謝しています。

あと、事務所の大先輩・大橋俊夫さん(※8)も大好きです。あの聴いていて癒される声を見習いたくて…いわれてみたら、ゆったりとお話しになるところとか、大橋さんの影響を受けているかもしれません。

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【脚注】

(※1)取材時は「FRESH LIVE」での配信だった
(※2)ミュージシャン、ギタリスト、作詞/作曲家、シンガーソングライター。山下達郎がデビュー当時に組んでいたバンド「シュガー・ベイブ」に在籍していたこともある。
(※3)1970年代後半から1980年代後半まで放送されていた音楽番組
(※4)ミュージシャン、作曲/編曲家。1978年に細野晴臣、高橋幸宏と結成した「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」で、日本の音楽界にテクノミュージック旋風を起こす。現在は「坂本教授」の呼び名で知られる
(※5)ミュージシャン、シンガーソングライター、ドラマー。サディスティック・ミカ・バンドでも有名。YMOではボーカルを務めた。現在も第一線で活動している。「オールナイトニッポン」パーソナリティを務めたのは1983年4月~同年12月
(※6)オフィスサッキー http://office-sakky.com/
(※7)オフィスサッキー代表。元STV(札幌テレビ)アナウンサー。現在もラジオパーソナリティ、放送作家として活動中
(※8)フリーアナウンサー、ラジオパーソナリティ。元TOKYO FMアナウンサー。JFN系『デイリーフライヤー』月・火・金パーソナリティ

ニコニコ動画が不調のワケ…競合サービスを意識しすぎて、自らのカルチャーを壊してしまった【東浩紀×津田大介】

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。2月18日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザーを務める津田大介が登場。作家・思想家の東 浩紀さんをお迎えして、大幅な再編を行ったカドカワにおける、ドワンゴ・ニコニコ動画の不振について取り上げました。


■「発信者としても使いにくかった」ユーザーからの要望も後手後手に?

カドカワは先日、業績の大幅な下方修正に加え、代表取締役社長の川上量生社長が辞任し、代表権のない取締役になったと発表しました。後任の社長には、出版子会社KADOKAWA社長の松原眞樹さんが就任。また、ドワンゴの荒木隆司社長が辞任し、後任にはドワンゴ取締役だった夏野 剛さんが就任します。

さらに組織再編も発表。これまでは、カドカワの傘下にKADOKAWAとドワンゴが並列していましたが、今後はKADOKAWAの下に子会社化したドワンゴが入ることになります。

この一報が入ったとき、東さんは「ビックリしたと同時に、こういう結末になったのかと感じました」といいます。

:まさかカドカワグループの中での組織再編まであるとは思わなかったので、それは率直に驚きました。ただ、僕のような外から見ている人間でも、ドワンゴがうまくいっているとはあまり思えなかったです。

もともとKADOKAWAとドワンゴが合併してカドカワになった理由は、ドワンゴの動画サービス「ニコニコ動画」の有料会員が手堅くネットで収益を大きくあげているため、それをベースにKADOKAWAもコンテンツ事業を盛り上げられると期待したことによります。しかし、ある時期からニコニコ動画の有料会員はどんどん減っていき、業績が悪化していきました。

:僕も津田さんもニコニコ動画のユーザーであり、チャンネルの発信側でもありますが、発信側としてもかなり使いにくく、ユーザーとしていろいろと要望を出してもなかなか応えてくれなかった。これは担当者がどうだということではなく、会社としてリソースがまわっていないのかなとユーザーとして感じていました。
津田:ある時期から開発が止まっていた印象がありましたよね。
:今回の発表を見てすごく驚いたのは、ドワンゴのスマートフォン向けゲームアプリ「テクテクテクテク」ですね。面白いゲームの試みだとは思っていたけど、まさかあそこまで社運をかけているとは思っていませんでした。
津田:社運をかけた結果、うまくいきませんでしたよね。
:ニコニコ動画の新バージョンとなった「niconico(く)」にしても、ギフトと呼ばれる投げ銭の収益をかなり見込んでいたけど、それがついてきていない。そういった意味で、ウェブ事業もゲーム事業もかなり失敗しているので、これからの立て直しは大変だと思います。
津田:すべて後手後手にまわった印象がありますよね。


■競合サービスを意識しすぎて、自分のカルチャーを壊してしまった

ニコニコ動画が足踏みしている間に、競合である他のビデオプラットフォームがどんどん先を行ってしまったことがドワンゴ不振につながったのでは、と津田がコメントすると……。

:いや、僕の考えでは、ドワンゴはドワンゴでよかったはずなんです。ドワンゴは独自のカルチャーをつくっていたし、その独自のカルチャーを育てればよかっただけなんです。
津田:なるほど。つまり競合を意識する必要もなかったと。
:そう、競合を意識しすぎて自分で自分のカルチャーを壊していた気がします。たとえば川上さんのブロッキング問題における政治的な動きもそうだし、ニコニコ動画のサービス変更も僕はそうだったと思います。でも、ドワンゴはまだ引き返せると思います。ニコニコ動画とドワンゴがつくった文化は大きいし、まだそれを支持している人たちも多いので。そこにドワンゴが目を向けるかですよね。

今回の発表でひとつの時代が終わったと同時に、これまでドワンゴがどういった文化を育てたかをもう一度考える必要がある、と東さん。

:自分たちの強みはどこにあったのか。たとえば、生主はユーチューバーとは違ったわけだけど、でもそれはどうして違ったのか。生主の良さはどこにあったのかなど考えなくてはいけない。「生主は所詮、視聴数が少ないんだ。ユーチューバーの方が何千万、何億と稼ぐんだ。だからユーチューブに目が向くんだ」ではなくて、生主はユーチューバーとは全然違うものだった。その、違うってことをちゃんと考えてほしいですよね。

最近のドワンゴのプレスリリースを見る度に「また迷走か」と思っていた東さんは、今回の組織変更が大きなショックになって、ドワンゴがもう一度自分の強みに目を向けてほしいと言います。

:僕はもう古い世代の人間だから、今の若い人たちからしたらどうでもいいことかもしれないけど、僕たちの世代にとってニコニコ動画はひとつの大きな達成であって、川上さんもヒーローだったし、これで川上さんが「もう実業はいいや。これからは政治だ」とか言って、潤沢な個人資産を背景に自民党から出馬とかになると僕たちもガクッくるじゃないですか。
津田:そうですね(笑)。
:そういうことではなく、川上さんはヒーローだったわけだから、もう一度ドワンゴで何をつくったのかを思い出してほしいですよね。

ニコニコ動画は日本のオタク的なコミュニケーションを増幅するプラットフォームだった。東さんは、そう話します。

:直感的に言えば、ユーチューブはリア充のもので、ニコニコ動画はオタクのもの。これはけっこう本質を突いていると思います。それはコメントの仕方など設計としても反映されていました。ニコニコ動画はエンジニアの無意識の改良がオタク的な人格みたいなものと共振を起こしてたんだと思います。
津田:そうですよね。
:だからオタク的なコンテンツに最適化されたインターフェースになっていた。でも、それは無意識にやっているから、会社がどんどん大きくなって社会的な注目を浴びると「ユーチューブはこういうことをやっているんだ」とか「おれらも投げ銭やるか」「パーティープラグインみたいなものを充実させるか」みたいな方向に行っちゃうわけですよ。でも、ニコニコ動画で誰もサプライズパーティーとかやらないですよ。クイズもやらない。
津田:少なからずやってますよ(笑)。
:やっているかもしれないけど、やっぱりそっち側じゃないんだってことなんですよね。そういう意味で無意識に拡大していた自分たちの強みを意識化して、次に進むときに、まわりに台頭してきたさまざまなモデルに目を奪われてしまい、たとえばインスタグラムのライブ機能とかショールームと拮抗しないといけないと考えたわけです。でも、ニコニコ動画にその拮抗は求めてないわけです。ドワンゴ発、ニコニコ動画発のものもすごく多いのに、いつの間にかオリジナルのアイデンティティを失っていたように見えます。


■ドワンゴの遺伝子を絶やさず発展してほしい

今回の不振の要因は、川上さんの立場が急速に変わり力を持ったことも大きいとしながらも、「川上さんはドワンゴから手を引くという報道があるがそれは残念」と東さんは言及します。

:ここでドワンゴから川上さんが手を引くのはさみしいので、ぜひこれからも関わってほしいなと思います。一方で、新社長となる夏野さんがどれだけニコニコ動画を愛しているかはよくわからないし、夏野さんのカルチャーはドワンゴ的なカルチャーとちょっと違うとおもうんですよ。そういう点でも少し不安なところがあるけど、夏野さんはすごく優秀ですばらしい方なので、ぜひドワンゴの遺伝子を絶やさず発展させてもらいたいですね。

新体制を発表したカドカワ。夏野さん率いるニコニコ動画が私たちにどのようなサービスを提供してくれるのか。これからの動向も注目です。

東さんは、石田英敬さんの共著『新記号論 脳とメディアが出会うとき』(ゲンロン)を3月3日(日)に発売します。こちらもぜひチェックしてみてください!
 

 


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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

 

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