「まさにNO RADIO, NO LIFE.ですよ。」箭内道彦が語るユーミンの神曲、伝説のラジオ授業…“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーン インタビュー

radikoがスペシャルパートナーを務める「民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーン WE LOVE RADIO松任谷由実 50th ANNIVERSARY~日本中、ユーミンに包まれたなら~」。

キャンペーンアンバサダーは今年デビュー50周年を迎える松任谷由実さん。今年ユーミンとタッグを組んで行う本キャンペーンのクリエイティブディレクションを風とロックの箭内道彦さんが担当。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」など数々の広告キャンペーンを手がけるほか、ラジオパーソナリティとしての顔も持つ箭内さん。本キャンペーンのクリエイティブに込めた想いやラジオとの関わりとは?

民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーン WE LOVE RADIO松任谷由実 50th ANNIVERSARY ~日本中、ユーミンに包まれたなら~

■コロナで生まれた距離。だからこそ「いっしょに聴きたい」。

――本キャンペーンのキャッチコピーは「いっしょに聴く。心は何センチ、近づくだろう。」。「いっしょに」という言葉がコロナ禍になって、より心に響くようになったような気がします。

箭内:そのとおりです。コロナで“距離”というのがひとつのテーマになっていますが、そこに「誰かといっしょに聴いた思い出」「誰かといっしょに聴きたいっていう想像」も、このコピーには含めています。そして、このタイミングでそれをメッセージすることに意味もあるし、より多くの人に届く言葉であるはず。距離のことと、ひとりじゃないということ、そのふたつはとても大きい。キャッチコピーにとどまらず、それはきっとこのキャンペーンを民放連さんがやりたいと考えた出発点であり、今を生きている者たちの正直な感覚なんじゃないかと思いました。

■ユーミンの楽曲「5cmの向こう岸」からつながるコピー。

――今回のキャンペーンアンバサダーは松任谷由実さんですね。

箭内:ユーミンはやっぱり自分の青春ですね。多摩美術大学のご出身であることにも一方的にシンパシーを感じています。ひとつひとつの楽曲がいつも必ず絵画のようで。そして、常に人々への眼差しに、トレンドと普遍が両立されている。僕個人にとってもたくさんの思い出に寄り添ってくれているのと同時に、クリエイターとして強く尊敬しています。

そんななかで、数多くある大好きなユーミンの曲のひとつに「5cmの向こう岸」があって。若いカップルの関係を歌っているんですが、彼女のほうが彼氏より5cm背が高いんですよ。彼のほうが背が低いことを友人たちにからかわれて、別れてしまった二人。その5cmはとてもせつなく大きな距離で。この「いっしょにいる」とか「いっしょに聴く」ということで距離を埋めることができるのであれば…という極私的な思い入れもありましたね。“センチ”っていう言葉はとても好きなんです。ラジオの音声だけで聴くとセンチメンタルのセンチにも聴こえたり。とにかく「ディスタンス、ディスタンス」と言われ続けていますから。いっしょにいても離れていなければいけないっていうときに、そこでどれだけ人と人の心が重なるというか、近付き、寄り添い合うことができるか。ラジオの力がそこに作用すべきだというか、するはずだというか、している。そんな想いをコピーに託しました。

■ラジオの歴史やユーミンの50周年を感じさせるスピーカーのデザイン

――スピーカーとユーミンさんが一体化したビジュアルも素敵です。

箭内:最初のオリエンテーションの最中に、スピーカーとユーミンが一緒になっているアイコンが欲しいと直観しました。スピーカーのデザインはラジオの歴史やユーミンの50周年を感じさせるスタンダードでクオリティのあるものにしています。このメッセージを受け取ってくれる幅広い世代において共通言語になる、共通映像になるスピーカーってどんなスピーカーだろうと。秋葉原でイメージに近いものを探してもらったりしながら決めました。

■松任谷正隆さんとのディスカッションが大きなヒントに

――松任谷正隆さんともキャンペーンについてお話をされたそうですね。

箭内:松任谷正隆さんから直接スピーカーに対する想いを伺えたことは大きかったですね。「音質」でなく、「共有」できることが、スピーカーの持つ最大の力であるといったことをスッとおっしゃったんです。そういうディレクションの鮮やかさ、課題の把握と解決のキレ味、指の差し方は、クリエイティブディレクターとしていつも僕も一番に心掛けていることであり、数々の名曲をユーミンといっしょに作り上げて来た正隆さんのプロデュースの真髄を感じた瞬間でした。

■「まさにNO RADIO, NO LIFE.(笑)」カーラジオでお風呂で…ラジオが生活の一部

――普段はどんなふうにラジオを聴いていますか?

箭内:僕は圧倒的にカーラジオなんですよ。自分が聴いたことがない曲や情報を摂取したいなと。あと、入浴時にも聴きますね。是枝裕和監督の映画『海よりもまだ深く』のなかで樹木希林さんが風呂場で使っているラジオと偶然同じものを持っていて、映画を観た後すぐ是枝さんに写メを送ったんですが(笑)。早朝に入浴していた頃はニッポン放送をずっと聴いていました。今は夕方に入るのでTOKYOFM『Skyrocket Company』や、仲良くしているライムスター宇多(丸)さんのTBSラジオ『アフター6ジャンクション』を聴きつつ…みたいな感じで。僕が贅沢だなと思うのが、例えば石崎ひゅーいさんがラジオに出ていると、「今、聴いてるよ〜」と本人に直接メールをできることですね(笑)。僕が名誉局長をしている「渋谷のラジオ」も聴いています。まさにNO RADIO, NO LIFE.な生活ですよ。

■子供の頃からずっとラジオがそばにいた。

――学生時代はどんなラジオを聴いていましたか?

箭内:福島では意外と東京より遠い大阪のMBSラジオがよく聴こえていましたね。谷村新司さんのことが大好きで、『MBSヤングタウン』や文化放送の『セイ!ヤング』、『ペパーミントストリート 青春大通り』全部聴いてました。また、家業が商店でしたので開店中はずっとラジオをかけていたんです。それでラジオ福島のアナウンサーはみんな知ってるみたいな(笑)。昔、ラジオ番組で電話リクエストっていうのがあったんですよ。どうしてもかけてほしい曲があったので一生懸命電話していました。でも、ラジオ福島の電リクがぜんぜんつながらなくて…。回線が少ないのかな。絶え間なくダイヤルを回し続けていると、そっちがメインの作業になって、ラジオを聴いてる状態じゃなくなっちゃうんですよね(笑)

■クラス全員で生放送番組に投稿!ラジオを使った伝説の授業

――印象深いラジオのエピソードはありますか?

箭内:「宣伝会議」でコピーライター養成講座の講師をしていた時期があって、課題を出すわけですよ。ビールや車のキャッチコピーを考えなさいとか、そういうのじゃ普通だなぁって思って、衆議院の選挙の直前の時期の授業で、ラジオを使って「選挙に行こう」と呼びかけようという課題を出しました。夕方の講義の時間帯にちょうどJーWAVEでメールを紹介する生放送のラジオ番組があったんです。クラスの受講生たちがそれぞれに、メールの文中に「選挙に行こう」というメッセージを入れ込んで番組宛のメールの文面を考える。そして送信する。40人くらいのクラス全員で、教壇に置かれたラジカセをじっと見つめながら聴いていたんです。その日のその番組が募るメールのテーマは「日本映画」。番組の後半に何人かの受講生のメールが読まれてその度に教室にドッと歓声が上がって。そして番組のエンディングにも、受講生のメールが紹介されたんです。「私が日本映画でいちばん好きなのは岩井俊二監督の『LoveLetter』。来週行われる選挙は私たちからのラブレターだと思います。だから私は選挙に行きます。」っていう落とし方をして。ラジオでメールが読まれる瞬間って、他のメディアには決してない一対一の開通感があって、めちゃくちゃ感動するんですよね。この授業は、ラジオのおかげで伝説の授業になりました。

■森田剛さんゲスト回で改めて感じた「初めて話すこと」を話せる場がラジオ。

――現在ラジオ番組のパーソナリティを務めていらっしゃいますね。

箭内:はい。ラジオ福島の『風とロック CARAVAN福島』、渋谷のラジオの『渋谷のナイト』、そして2004年に始まったTOKYO FM/JFN各局での『風とロック』。先日その『風とロック』に森田剛さんがゲストに来てくれたんです。放送後、よそでは聴いたことがない森田さんの話が聴けたとSNSにたくさんの反響がありました。番組にも感謝のツイートやメールがたくさん届いて。当たり前のことかも知れないけど、ラジオって、やっぱりそういう場所なんだなぁってことを改めて感じましたね。その人の「初めて話すこと」を大切な友人に打ち明けるような場所。リスナーの声を受け取って、ラジオの魅力がさらに磨かれて。

■いろんな生活音が混じって聴こえる、みんなでいっしょに聴けるのがスピーカーの良さ

――スピーカーでラジオを聴くことについていかがでしょうか。

箭内:スピーカーでラジオを聴くと、ラジオの音と一緒に鳥の鳴き声や空気の音とか余計な音も一緒に聴こえてくるのがいいんですよ。いろんな生活音と混じって聴こえてくる感じが好きですね。ひとりじゃなく、誰かといっしょに聴くことができるところもいい。仕事中に会社でみんなでラジオを聴いていて「あ!今、箭内さんのことをしゃべってますよ!」なんて会話が生まれて、そこからまたコミュニケーションが膨らんだり広がったりりしますから。今回のキャンペーンに携わって、そういうスピーカーの存在の大きさをもう一度強く認識しましたね。

■全国のラジオ局が“垣根を越えて”ひとつに

――キャンペーンのクリエイティブディレクションに関わって感じたことは?

箭内:今回のキャンペーンについて、ずっと長い付き合いのある別々のラジオ局の方がふたりでいっしょに僕のところに依頼に来てくれました。いつもは競い合っているライバル同士がユーミンという存在であったり、ビジュアルであったり、言葉であったり、そういうことで垣根が取り払われてひとつになった。連帯することが今一番大事なことだなと思っているんです。僕は「垣根を越える」ことが大好きなんですよね(笑)今回のキャンペーンで全国のラジオ局がラジオ愛でつながったことに幸せを感じました。

箭内道彦さんがパーソナリティを務めるラジオ番組

風とロックCARAVAN福島
放送局:RFCラジオ福島
放送日時:2022年3月19日 土曜日 13時00分~15時00分

※月1回の放送

出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

風とロック
放送局:TOKYO FM 他53局ネット
放送日時:毎週土曜 27時00分~27時30分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
番組ホームページ
公式X

番組ハッシュタグは「#ラジオ風とロック」

出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

タグ

ロシアとウクライナの停戦協議について大竹が持論「停戦協議するなら、戦いをやめてやりましょうよ」

3月30日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)にてウクライナとロシアによる停戦協議について取り上げ、大竹が情報の大切さと日本に期待することについて持論を展開した。

砂山アナによると、ロシアとウクライナの停戦協議が行われた中で、アメリカの関係者は、キエフ周辺から移動を始めたロシア軍は少数で、大部分が依然としてとどまっていることから、「これは再配置であって、本当の撤退ではないと考えている」とし、「キエフへの脅威が去った訳ではない」と警告したとするニュースを取り上げた。

これについて大竹は、

「新聞各紙では停戦協議進むとかいう見出しが躍っているけど、あちこちでまだミサイルが飛んだりしている。停戦協議するなら、戦いをやめてやりましょうよというのが筋。ロシア側は攻撃しながら停戦協議するとか言っている。ウクライナ側は受けるしかない。本当にそうなのかというときに、アメリカの情報筋はやっぱりすごい。ウクライナ侵攻が始まった時も、侵攻の日付とか、これ本当かなという話まで全部正確に当てている。今度のことも、引いているように見えるけど撤退じゃない。キエフについても、脅威はまだ去っていないと言っている。アメリカの情報量の多さがとても大きく影響するとみていて思う。アメリカがヨーロッパのインドイギリスフランスドイツと首脳会談をしたがこれに日本が入ってない。NATOではないかららしいんだけど、一番情報が大事なこの情勢で日本がどうして欲しいかというと、情報をどう入手するかが一番最初。今、情報はアメリカ便り。で、そのアメリカの情報も本当に正確な情報を教えてくれているのかとか、色々な疑問が残る」と、情報の大切さが身に染みたと話した。

もう一つ、日本が情報戦以外で重要なことがあるという大竹。それは何か。

「ウクライナの避難民に対して、もっとできることがあると思う。専用機だって1つである必要はないわけだし、困っている人、市民への支援がもっとできる。たとえば食糧、医薬品、人、難民支援をどこまで日本が日本のやり方を示していけるのかが大切」

Facebook

ページトップへ