「ラジオリスナーは常に孤独であれ」髭男爵・山田ルイ53世、かく語りき

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あまたあるコーナーは徹底した逆張りで、トークはシニカル。

キラキラ感もポジティブ感も皆無なんだけど、それが不思議と心地良い。

山田ルイ53世が、そんな「シン・ラジオ」木曜日について語ります。

ウソ美談を中学、高校のカリキュラムに

―木曜日はレギュラーコーナーが13と、シン・ラジオ5曜日で最多です。「パワーないスポット」「この程度ですんでよかった」など、ひと癖あるコーナーが揃っています。

山田ルイ53世(以下、山田) 4月に番組がスタートする前はフリートークが多めになるのかなと思っていたので、こんなにたくさんのコーナーをやるとは思わなかったです。ただ、ジングルで「当たり前を覆そうじゃないか」と言っているので、番組の趣旨に最も沿ったことをやっている曜日ではあるのかな。例えば、ラジオではリスナーの「〇〇やってみた」といったポジティブなメッセージを紹介することが多いから、逆転の発想で、長年やりたいと思っていても、結局手を付けなかったことを紹介する「〇〇やってみなかった」というコーナーを設けてみたり。

―いちばん好きなコーナーは?

山田 「トラットリア USO-BIDAN」です。木曜日の色がよく出ている、とてもいいコーナーだと思います。これは以前から感じていたことなんですが、ラジオは美談に依存し過ぎなところがある。いい話をして、リスナーに寄り添うことがいいDJだと思われがちなんですけど、僕はそういう評価を得ても仕方がないと思っているし、何より僕は美談が嫌いなんです。それなら、すばらしい話なんだけど、実は作り話というウソ美談で、開き直って楽しんでしまえばいいじゃないか、と。

 このコーナー、物語をしっかりと作りこまないといけないので、リスナーの負担が大きくて。そのせいか、メールを送ってくれるリスナーは、他のコーナーと比べると偏りがあるんですが、常連リスナーの文章力が日に日に向上していることがわかるんです。僕も文章を書くので、上手に書かれたウソ美談を読むのは楽しいし、勉強にもなる。もしかしたら、ウソ美談を考えるということは、文章力を高めるのかもしれない。中学、高校のカリキュラムに組み込まれてもいいんじゃないですかね(笑)。

―よくウソ美談の対象になっていた森口博子さんが、実際にゲスト出演したことには驚きました。

山田 タレントさんのウソ美談で盛り上げ、後々ゲストとして来てもらう。こういう流れも作れることがわかりました(笑)。

―番組のパートナーである放送作家のミラッキ大村さん は、どんな方ですか?

山田 大村くんは、人間としてちょっと“弱”なんです(笑)。グイグイこないから、長年一緒に番組をやっていてもしんどくないし、それが僕には心地良くて。大村くんとは以前、大竹まことさんのラジオ番組で一緒になったんです。大村くんは番組の作家、僕は中継リポートを担当していて、OA中、大竹さんが喋るブースの外で「あっ! いま大竹さん噛んだ」とかツッコミを入れながら、よく一緒に見ていました(笑)。

 アンテナの張り方も近くて。大村くんが「この本、男爵さんきっと好きですよ」と紹介してくれた本が、確かに僕好みだったり。以前、シン・ラジオにゲストで来てくれた、ライターの武田砂鉄さんの処女作『紋切型社会』を僕に渡してきたのも、大村くんなんです。ただ、自分が知っていることを喋らずにはいられないところは玉に瑕ですね(笑)。

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今後の目標は「事務所とギャラ交渉」

―山田ルイ53世さんが推奨する、木曜日の楽しみ方は?

山田 一蘭のラーメンのように、ひとりで楽しんでもらいたいです。僕は子どもの頃、兵庫に住んでいて、北野誠さんの「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ)や、ダウンタウン、今田耕司さん、東野幸治さんが出演していた頃の「MBSヤングタウン」(MBSラジオ)をよく聴いていました。昔はSNSがなかったので、リスナー同士が番組を聴きながらリアルタイムで交流したり、気軽にメッセージを送ることができず、ラジオにはDJと一対一で向き合っているような特別感がありました。

 僕はリスナーに、ラジオとは常に孤独で向き合ってもらいたい。誰もいないところでひとり膝をかかえながら、ストイックに研ぎ澄ませ! みんなでワイワイ楽しむな! ラジオは、DJと一対一で向き合っている錯覚を味わえるメディアなんですから。

―今後、シン・ラジオをどういう番組にしていきたいですか?

山田  この手の取材って必ず最後に将来の夢や目標を聞くでしょう。これ、いつもすごく困ってしまうんです。というのも、流されるがままに生きてきた僕には、そんなものはないんです。ちょっとずつコーナーの新陳代謝を図っていきつつ、bayfmから「いらん」と言われるまで続けるだけのことですね。

 木曜日は他局で収録してから、電車で海浜幕張まで移動して、シン・ラジオの生放送に臨んでいるんですが、最近、奥さんが2人の娘を連れて、海浜幕張まで車で迎えに来てくれるんです。番組が終わる19時頃まで、bayfm近くのイオンモールとかにいるらしく、子どもたちにとって、木曜日は海浜幕張で色々買ってもらえる日になっているみたいです。この出費とガソリン代を考慮すると、3時間生で喋っているのに赤字かトントンなんじゃないかっていう気がしていて、あまり仕事をしている手応えがないんですよ(笑)。これはbayfmではなく事務所(サンミュージック)に言いたいんですが、この仕事についてはギャラの取り分を変えてもらいたい。この交渉に挑むことを、今後の目標にしたいですね(笑)。

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【魅力】

「輝かしい10代を過ごしていないところ」にある。放送の中で「インタビュアーがひきこもりを美談にしがち」とよく話しているが、私は決して美談にするつもりはない。では、何がどう魅力なのか。「誇れる過去がないおじさんは、今を生きるしかない」というところ。武勇伝を披露するおじさんほど魅力のない人間はいない。その点山田は、悩み相談で過去の自分を例に出して回答することもない。回答できない。「今のあなた」に「今の自分」で向き合える喋り手、それは山田ルイ53世以外いないのだ。

【人柄】

テレビでは「常に笑顔のほがらか芸人」「どんな話題にも対応できるコメンテーター」、ラジオでは「妬み、嫉み、自意識の暗部を話術で笑いに変える男」といったところだろうか。与えられた役割をこなしつつ、ラジオで本音を漏らす……。そんな印象かもしれないが、実はサッパリした男。柔軟に思考し、変化を恐れない。世間から褒めたたえられがちな「ブレない生き方」なるものに対して、疑いの目を持っている。ブレない人は、たいがい他人を困らせている。山田ルイ53世は、そういう人にツッコミを入れられる稀有な存在だ。

シン・ラジオ-ヒューマニスタは、かく語りき-
放送局:bayfm78
放送日時:毎週月曜~金曜 16時00分~18時52分
出演者:山田ルイ53世
番組ホームページ

※放送情報は変更となる場合があります。

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