細野晴臣の50年間に及ぶルーツをノンフィクション本とともに読み解く

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく、FM COCOLO『J-POP LEGEND FORUM』。

2月はコロナ禍によって家で過ごす時間が増えた昨今、音楽を聴くだけではなく「音楽について書かれた書籍に触れることも有意義ではないか?」と「最新音楽本」にフォーカス当ててお送りしています。

最終週は、2020年末に文藝春秋から発売された門間雄介著『細野晴臣と彼らの時代』。細野晴臣さんは、日本のポップミュージックの巨人という言葉がふさわしい唯一の人と言っていいでしょう。はっぴいえんどの結成、セッションミュージシャンの走りとなったティン・パン・アレー。さらに日本のポップスを東南アジアや中南米に目を向けさせたソロ活動、YMO、テクノミュージック、映画音楽。この音楽ジャンルの広さ、多岐に渡る全体像の大きさを50年分辿られたというすごい本であります。細野晴臣さんとはどういう人なのか? 門間さんに語っていただきました。

■M1. ろっか・ばい・まい・べいびい/  細野晴臣
■M2. 夏なんです / はっぴいえんど

田家:この曲を選ばれたのは?

門間:はっぴいえんどの2ndアルバムですけど、元々はっぴいえんどはバッファロー・スプリングフィールドの音楽を志向してスタートして。細野さんがそれを言い出したことなんですけど、そういうサウンド作りを進める中で、実は自分自身の曲作りや歌声に対してどこか居心地の悪さのものを感じていて。それがこの「夏なんです」の時に、自身の曲作りや歌声に開眼したという記念になる曲だなと思って選びました。

門間:細野さんは最初小坂忠さんとバンドを組もうとしていたんですけど、小坂さんがヘアーという舞台に立つことになってやめて、代わりに大滝さんが入るわけですね。そのことはこれまでも触れられてきたんですけど、実際に時系列に見ていった時に、一週間の出来事だった。細野さんはよく「まず何かが起きて、考えはその後からついていったんだ」と仰るんです

■M3. 蝶々-San / 細野晴臣

門間:この時代の細野さんの心の動きがどういうものだったのかは、今回取材が進める中でのいくつかある大きなテーマの一つで。なぜここまで音楽性を大きく変遷させることができたのかということについて、なかなか理解し難いところもあるわけですよね。

門間:一緒に音楽を作っている仲間とは共通のものを見て、そこに向かって進んでいたと思いきや、この時期は細野さんが一人で作りながら孤立を深めていくようなことをされていて。それは、実はその後のYMOの結成とつながる重要なターニングポイントになっているんですよね。

■M4. ファイアークラッカー / イエロー・マジック・オーケストラ

門間:元々は高橋幸宏さんでも坂本龍一さんでもなくて、林立夫さんとマナさんという女性ボーカルを加えるという案もありましたけど、全然違うところからスタートしていたんですね。ただ、林立夫さんに断られるところからスタートしていて。実は細野さんの歴史っていうのは、明確なコンセプトはあるものの、結局自分の思い通りにいかないことが多くて。YMOに関しても、当初のイメージしたものから変わっていますし。

田家:YMOは最初の構想とは違ったものの、細野さんが坂本さんに「僕を踏み台にして世界に出ていかないか」と説得したとあります。

■M5. プリオシーヌ  / 細野晴臣

門間:この時に細野さんは、広がりつつあったワールドミュージックのブームを先取りする形で自分の音楽に取り入れてきたんですよね。一方で、この時期の音楽ビジネスの広がりと自分の音楽との間に細野さん自身がなかなか整合性を見出せずに、どんどん追い詰められていくような状況になっていく。そこで生まれた音楽を改めて聴いてみると、実はいろいろな発見があると思っています。

■M6. Ain't Nobody Here But Us Chickens / 細野晴臣

門間:近年の海外における日本のシティポップブームの中で、細野さんの音楽が改めて海外で評価されていて。細野さんもそれに合わせるように海外での単独ツアーを行うようになって、それが2019年に行われたこのアメリカツアーですね。僕はニューヨーク公演を見に行ったんですが、物凄い歓声と反応の良さで。若者たちが多かったんですよね。
 

門間:アメリカに帰ってきて、アメリカで音楽を披露して。それは細野さんにとって意味があることだったんじゃないですかね。

田家:そういう新しい世代の中に星野源さんがいたりするのも、この本の一つの流れですね。細野晴臣さんという人は、何者だと思いますか?

門間:ここをずっと考えながら本を書いていたと思うんですけど、それを考えないようにすることによってようやく書けるようになったのかというのもありますね。細野さんを何かに定義づけようとした途端に、それとは違う顔が見えてきて。どうしても一つの何かに収まりきらない方だなと思っていて、とにかくその時代ごとに起きた出来事や心の動きを記録するということでしか、こういう本は書けないなと思ったんです。なんとか書き終えて、そこでようやく何者なんだろう? と考えはしたんですけど、結局は不思議な人だなあ、としか思えないというか(笑)。それ以上のことを定義づけることに意味があるのかな、と思いました。

■「細野晴臣と彼らの時代」門間雄介著

※2/15放送 Mr.Childrenの「読むベストアルバム」を道標に30年の軌跡を振り返る お聴き逃しの方は
小貫信昭著「Mr. Children 道標の歌」渡辺雅敏著 ⇒【”読む” J-POP LEGEND FORUM】Rolling Stone Japan

※2/22放送  細野晴臣の50年間に及ぶルーツをノンフィクション本とともに読み解く を お聴き逃しの方は
【”読む” J-POP LEGEND FORUM】Rolling Stone Japan

J-POP LEGEND FORUM 『細野晴臣と彼らの時代』
放送局:FM COCOLO
放送日時:毎週月曜 21時00分~22時00分
出演者:DJ:田家秀樹、ゲスト:門間雄介
番組ホームページ

※該当回の聴取期間は終了しました。

津田健次郎「高校2年まで“大学受験がある”ことを忘れて…」受験勉強に明け暮れた高校3年生を振り返る

声優・俳優の津田健次郎がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新ラジオ番組「津田健次郎 SPEA/KING」(毎週日曜 12:00~12:30)。声優として数々の人気アニメ作品、俳優としても話題のドラマ・映画に出演し、今もっとも注目を集める津田のパーソナルな一面を知ることができるレギュラーラジオ番組です。
4月14日(日)の放送では、リスナーから届いた「息子との距離感が難しい」という悩みに答えていきました。


パーソナリティの津田健次郎



<リスナーからのメッセージ>
17歳の息子の扱いが難しいです。もう(親から)離れてほしいような、でも、まだそばにいてほしいような……大人として扱うにはまだ子どもで腹が立つし、子どもとして扱うには、もうかわいくない年齢。そこで、津田さんが17歳(高校3年生)のときに、親にされて嫌だったこと、うれしかったことを教えてください。

津田:高校3年の頃は大学受験に向けて勉強していたのですが、僕は中高一貫の男子校に通っていまして、高校2年まで“大学受験がある”ことを忘れていたんですよ(苦笑)。

しかも、高校受験をしてないので、あらためて中学のときの勉強をし直すという(笑)。そういう意味では全力で勉強していましたね。演劇を専攻していのですが、当時の自分にとってはハードルの高い大学を目指していたので、むちゃくちゃ勉強していました。

なので……“ほどよいメリハリ”っていうんですかね、放っておく時間をしっかり作っていただくのが良いかもしれません。そして、たまに干渉するときは「勉強はどう~?」と恐る恐る声をかけると、それも面倒くさがられたりするので、「あんた! 勉強はしているんか!? やっているんやったらええけど」みたいに思い切り声をかけてもらったほうが、メリハリも効いて(子どもも親に)接しやすいかもと思いました。


----------------------------------------------------
4月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月22日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:津田健次郎 SPEA/KING
放送日時:毎週日曜 12:00~12:30
パーソナリティ:津田健次郎
番組Webサイト:https://15audee.jp/articles/news/arzGScruNeYzMYs9hC6vN9xF

Facebook

ページトップへ