綿花の栽培から加工まで手掛ける障害者就労施設「みらいファーム」の取り組みとは
渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。7月10日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、山梨県昭和町の障害者就労施設「みらいファーム」の取り組みについて解説しました。
松田:今日は昭和町にある障害者就労施設「みらいファーム」の取り組みです。5月2日付山梨新報で報じた記事の解説です。みらいファームは、花の苗や野菜の生産販売、また、自家栽培の無農薬の綿花で作った綿製品の生産販売で、成果を上げています。農業と福祉を連携する「農福連携事業」の成功事例として紹介します。
麻耶:それでは、事業内容から教えていただけますか。
松田:障害者が就労する「みらいファーム」の開設は約20年前で、花の苗と野菜の生産販売からスタート。その後、お米が加わり、約10年前から「綿製品」の生産販売に広がりました。花は、みらいファームの建物と道を挟んだはす向かいのビニールハウスで、パンジー、ビオラ、日日草、ペチュニアなど年間約1万8000苗を出荷販売、昭和町内の公園など公共施設のすべての花の供給をしています。お米は富士東部の特別支援学校の給食用として供給。にんじん、玉ねぎ、ちょうほう菜などの野菜、もち麦は、社会福祉協議会や役場へ販売しています。私が「えっ」と思ったのは、「みらいファーム」の建物の入口に置かれた、すべて手作りの数々の綿製品でした。これが新聞の取材のきっかけです。
麻耶:綿製品はどんな品揃えなのですか。
松田:ハンカチ、ストール、スヌード(首に巻く筒状の防寒具)、帽子、小型ショルダーバッグ、名刺入れ、がま口、綿の装飾付きヘアゴム、アイピローといって疲労回復のために目の上に乗せる枕など。値段は200円のヘアゴムから、ハンカチ(500円~)、帽子(7000円)、1万円を超える枕までと多彩です。驚いたのは、綿製品の原料の「無農薬の綿花」の栽培から始め、糸を「機織り機」で布に仕上げ、染色・縫製加工まで一貫生産していることです。
麻耶:専門技術やノウハウを外から学びながら、事業を軌道に乗せていったということでしょうか。
松田:はい。そこには、「みらいファーム」に集った人たち――障害のある利用者と施設スタッフを中心とした物語がありました。施設支援員の青柳さんによると、事業のきっかけは、心身に障害を持つ村木さんと、梶原さんが施設に通うようになったこと。二人とも、「みらいファーム」に来る前に、「さをり織り」(制約のない自由な織り方の織物)を経験、「織りは楽しい。織りをやりたい」と非常に意欲的で、そこで、青柳さんら施設スタッフも、「何とかこの技術をいかしたい」と考え、洋裁の技術があるスタッフや地域ボランティアが協力。さらに青柳さんの学生時代の先輩がフェイスブックに「綿の種は要りませんか」と偶然、投稿していて種を入手。その後、青柳さんがイベントで知り合った人から「綿から糸を紡ぐ方法」を学び、さらに、紹介された機織りのプロから、糸を紡ぎ布地を作ることを学び、さらにそこに、染色・縫製加工という青柳さんの洋裁の技術を加え、生産を軌道に乗せていきました。そうした活動が、「みらいファーム」に集う人々を描いたドキュメンタリー映画「フジヤマコットントン」という映画作品として昨年2月、全国劇場公開されました。
麻耶:様々な出会いとドラマがあって綿製品づくりを軌道に乗せたのですね。改めて、農福連携とはどういうものですか。
松田:農業には「高齢化による担い手不足」「耕作放棄地の拡大」といった課題が、障害福祉には「働く場の確保」「自立した生活に必要な収入確保」という課題があります。これは山梨県だけでなく、全国共通の課題であり、農福連携は相互の資源を活用することでその課題解決を図るもので、大変、意義のある取り組みです。
麻耶:「みらいファーム」の取り組みから見えてくる課題について、松田さんはどうお感じですか。
松田:販路開拓が大きな課題です。綿製品は、福祉事務所の展示販売会や、障害者と一般のコラボのマルシェ、県芸術文化祭への出店などで頑張っていて、県も昨年、農福マルシェを年間12回開催するなど力を入れています。ただ、地域住民など一般の来場者数はまだまだ、足りなくて、社会的認知が道半ばということでした。一方、一般市場で勝負できるほど競争力のある製品を作っているにもかかわらず、自力で市場開拓するだけの経験やネットワークがなくそこが悩ましい。販路開拓への県のバックアップが望まれます。
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