小麦価格の高騰はどうして起こっているのか そして解決策は

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)。8月4日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、小麦価格の高騰について解説しました。

松田:今日は山梨新報7月29日付の1面で報じた「小麦高騰の影響」です。6月16日の放送の後半で「食料価格」への影響に触れましたが、今日は、「小麦関連食品」に絞ったお話で、パンや乾麺――そば、うどん、冷や麦、パスタなど、ほかに菓子やケーキなど食品の値上げが起きており、現状と課題をお話しします。

麻耶:物価高はリスナーの関心も非常に高いと思います。まず、改めてですが、小麦の高騰はなぜ、起きているのでしょうか。

松田:ロシアのウクライナ侵攻で小麦の生産大国であるウクライナ産小麦の輸出ができず、国際小麦相場が上昇したからです。日本は輸入小麦を政府が一括で買い付け、製粉企業に売り渡します。年に2回価格改定があり、4月の価格が前期比で17%上がりました。製粉企業が小麦を製粉し小麦粉になり、それがパンや乾麺やお菓子という最終商品の原料になりますが、小麦粉の価格上昇に加え、物流費、燃料費、光熱費、資材費も上がり、最終商品のパンや乾麺なども値上げをせざるをえなくなりました。

麻耶:お給料が上がらない中での値上げは私たちにとって本当に大変です。山梨県内の値上げ幅はどのくらいなのでしょうか。

松田:甲府市の「自然食品 有機村」では店内約2500品目の3割の商品を5~10数%値上げしました。店長は「値上げは小麦関連商品が多く、上げ幅も他の商品より大きい」と話していました。韮崎市内の手作りパンの「コーナーポケット」は6月から7~8%値上げしました。「小麦に加え大豆も高騰し、マーガリンやドーナツにも影響しています」と悲鳴を上げていました。県内食品加工大手の「はくばく」は、「生産工数や包装資材の見直しなど自助努力はもはや限界で、9月から乾麺を中心に4~10%値上げします」ということでした。ここで注意すべきは、小売りもメーカーもすべてを価格転嫁できないということです。値上げ幅が大きいと価格競争力が低下しますから、簡単ではないのです。

麻耶:小売店舗も食品加工業者も本当に悩ましいですね。これから、どうしていけばいいのでしょうか。

松田:長期戦になりますが、まず、国産小麦の供給を増やすこと。小麦全体の供給量の輸入と国産の比率は約9対1。ほとんどが輸入小麦です。だから国際相場が戦争や気候変動で影響を受けると、大幅に上昇します。その影響を緩和するには、国産小麦の供給を増やすか、もうひとつは、小麦の代わりに米粉を利用するしかない。輸入小麦の代替品はいずれも国産なのです。そうなると、自給率のアップがテーマになりますが、そもそも、日本の食料自給率は、健康と生命維持に必要な栄養価に着目したカロリーベースでは先進国でも最低水準の37%しかありません。ここが長年の問題です。低迷の要因はこの数十年、自給率の高いコメの消費が減り、飼料も含め海外依存率の高い畜産物の消費が増えたことです。政府は食料自給率を2030年度に45%に引き上げる計画ですが、容易ではありません。

国産小麦や米粉の供給拡大で障害になっていることとは?

麻耶:国産小麦や米粉の供給拡大について、障害はどこにあるのでしょうか。

松田:主に3つです。まず、価格。農林水産省によると、輸入小麦粉110円(1キログラム)に対し米粉は120~390円と最大で3.5倍。圧倒的に輸入小麦が安い。国産小麦と輸入小麦の価格比較の情報は農水省にはなく、小売店やメーカーを取材すると国産は輸入の2倍以上でした。2つ目が、食品加工する技術ですが、コーナーポケットでは国産小麦30%、輸入小麦70%のブレンドでパンを作っていますが、ただ、混ぜれば良いわけではないそうです。「何種類も別の原料を加えるなど独自の技術や経験とノウハウが必要で簡単ではない」とのお話でした。3つ目は小麦の生産農家が少ないこと。県の担当課によると、県産小麦の作付面積は78ヘクタールと国内全体の作付のわずか0.04%で、過去10年、増えていません。理由は「県も国も米から小麦への転作を指導しているが農家の高齢化や人手不足で進まない。だから78ヘクタールの半分以上は家族経営の農家ではなく、農業生産法人が占めている」そうです。栽培方法や栽培時期、品質管理まで米と麦とでは違うのだから簡単に踏み出せないと思われます。

麻耶:なるほど、だから長期戦で国産化を進めていくしかないわけですね。国産小麦へ生産者と消費者に目を向けてもらうため、松田さんは何が必要とお考えですか。

松田:国産小麦と米粉が輸入小麦に対し優位な点は、「食の安心・安全」であり、このことを広く認識・理解してもらうことが不可欠です。今回の取材まで私も知らなかったのですが、輸入小麦は、原産地から海上コンテナ船で何日もかけて日本に運ばれることから、防虫・防疫のため船積み前に農薬を散布します。これをポストハーベストと言います。そこで、厚生労働省は残留農薬基準を決めていて、輸入商社はサンプル調査を義務付けられ、基準値以下でないと政府は買い取りません。しかし、ポストハーベストは国産小麦と米粉にはそもそもないのです。だから、値段が少々、高くても「安心・安全」面から国産品を買いたい消費者もいるでしょう。でも、多くの消費者はこうした事実さえ知らないと思います。ですから、ここでメディア・報道の役割が重要になってくるのですが、こうした事実を広く知らしめ、消費者により多くの選択肢を提供することが非常に重要であると思います。

Bumpy
放送局:FM FUJI
放送日時:毎週月曜~木曜 13時00分~18時50分
出演者:鈴木ダイ(月)、上野智子(火)、石井てる美(水)、渡辺麻耶(木)
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西川あやのがSPパーソナリティを担当! 「感謝を込めて…アーティスティックにお届けします」『ARTIST FCスペシャル いってきます!西川あやの』 4月24日(水)27時00分~放送


文化放送では、アナウンサー・西川あやのがSPパーソナリティを務めるラジオ番組『ARTIST FCスペシャル いってきます!西川あやの』を4月24日(水)27時00分から生放送することが決定した。
西川あやのが深夜の音楽番組で単独パーソナリティを務めるのは今回が初めてとなる。

このたび西川あやのが出演する『ARTIST FC』は、番組選りすぐりのアーティストにスポットライトを当て、その名曲をフルコーラスで送る深夜の音楽番組。

今回の放送では、EP『はなまる』をCDリリースするなど、ソロアーティストとしても活躍中の西川自らがセレクトした楽曲をお届けするほか、メッセージテーマ『ラジオで聴いて刺さったソング』と題して、リスナーから楽曲のリクエストを募集。

「自分の心情と歌詞が共鳴して胸に響いた」「たまたまつけたラジオで知らない名曲と出会えた」「パーソナリティのトークによって楽曲の魅力を再発見できた」など、リクエスト楽曲とともに寄せられたエピソードを紹介する。

番組出演を前に、西川あやのは以下のようにコメント。
「入社当時から憧れていた深夜帯のリクエストありの音楽生番組!
全ての夢を叶えてくれるリスナーの皆さまとこの放送局に感謝を込めて…アーティスティックにお届けします。あなたからのメッセージお待ちしています」

【番組概要】
■番組名: 『ARTIST FCスペシャル いってきます!西川あやの』
■放送時間: 4月24日(水)27時00分~28時44分 〔4月25日(木) 午前3時00分~4時44分〕 生放送
■出 演: 西川あやの
■メールアドレス: afc@joqr.net
■番組X: @artistfc_joqr  ※推奨ハッシュタグ: #ARTISTFC
■番組URL: https://www.joqr.co.jp/qr/program/artistfc/
■ネット局: ラジオ大阪

【西川あやの プロフィール】
学習院大学文学部を卒業。卒業論文を太宰治の『人間失格』をテーマに執筆し、以降も文学へ高い関心を寄せる。2015年から文化放送アナウンサーとして活躍。今年3月まで『西川あやのおいでよ!クリエイティ部』のパーソナリティとして出演。5月からはサンミュージックプロダクションに所属予定。

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