セクハラは「男女の問題」ではなく「人権侵害」だ。広河隆一氏の問題から考える

フォトジャーナリストの広河隆一さんによる性暴力、セクハラ、パワハラが問題になっています。先日、広河さんの性暴力を検証する記事を組んだ『DAYS JAPAN』の最終号が発売されましたが、「検証になっていない」という批判があります。『週刊文春』で広河さんの性暴力を告発する記事を書いたライターの田村栄治さんを迎え、津田大介とともにこの問題について考えました。

【3月25日(月)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/月曜担当ニュースアドバイザー:津田大介)



■「#MeToo」をきっかけに告発を決意

田村さんは『DAYS JAPAN』の発行人で編集長だった広河さんから声をかけられ、同雑誌の創刊号から関わってきました。。「当時、私は人権問題や様々な差別問題に関心があり、広河さんはそのような問題に取り組んでいるジャーナリストとして認識していました」と振り返ります。

津田:2004年の創刊から15年ほど広河さんと交流があった田村さんは、広河さんの人間性をどう感じていたのでしょうか。
田村:2004年に『DAYS JAPAN』が創刊され、その年にイベントがありました。女子大学生のアルバイトが多くいたんですが、その人たちと広河さんとの間で問題があったらしいと間接的に耳にしました。その頃には「この人はそういう問題があるんだな」と感じていました。

そんな田村さんは、広河さんの性暴力を告発する記事を昨年末に『週刊文春』で発表。なぜ告発を決意したのでしょうか。

田村:先ほど話した、広河さんと女性との間で人権侵害とも言えるような内容があることを、その後もごくわずかではありますが、違うケースとして耳にしていました。しかし、私は「それは男女間の問題であって、私が首を突っ込む問題ではない」と考えてしまっていたんです。

傍観者の立場だった田村さんの意識が変わったのは、「#MeToo」がきっかけでした。

田村:「#MeToo」で「こういうやり方があるんだ」と知りました。これまではそれぞれの問題について「言った、言わない」「やった、やっていない」という話になりがちでしたが、「#MeToo」によって、同じ人物でいくつかの問題があり、そこに共通点が見られれば、音声などかたい証拠がなくても、真実性がそこに担保されると知りました。

それで田村さんは、広河さんの性暴力などの問題について調べることに。広河さんと交流があった女性たちに話を訊いていくと、実際に被害の事実が出てきました。そこには共通点がみられたそうです。

津田:なるほど。広河さんの問題は「#MeToo」と同じ構図があったわけですね。
田村:そうですね。これまでの広河さんの影響力や立場を考えると、この問題を公にすべきだろうと考え、記事にしました。


■『DAYS JAPAN』最終号は、検証にはなっていない

その後、『DAYS JAPAN』は広河さんの性暴力告発記事を受けた検証特集を組んだ最終号を3月20日に発売しました。この内容を読んで「検証になっていない」と田村さんは指摘します。

田村:検証は事実を踏まえ、事実に関して原因や影響を考えることですが、この特集にはその土台となる事実認定が全く成されていない。それが一番の問題だと思います。

『DAYS JAPAN』の最終号では、検証委員会が聞き取った広河さんの主張や見解が語られています。また、同時期に月刊『創』では広河さんの手記を発表しました。

津田:これらの記事は正直言って、謝罪や反省というよりは、自己弁護的な内容に読めてしまいました。この記事を被害者が読むと、それ自体が二次加害につながるのではと思いました。
田村:『創』が広河さんの手記を掲載したことは、私は意義があると考えています。広河さんという人物がどういう考えを持ち、どういう部分が歪みになっているのか、どういう人だとこういうことを起こすのか、そういった手がかりになると思うので、資料的な価値は高いと思います。これをできるだけ多くの人が共有し理解して、対策していく必要があります。

そう言いながらも田村さんは、『創』は手記の前段で「これから掲載する広河氏の手記は、あくまで広河氏の一方的な主張であり、そこには認知の歪みがみられる」といったような説明をすべきだったと、付け加えました。


■「人権侵害」の意識は持つことが大切

これら一連の問題を踏まえ、これからの社会はどのような対応が必要になるのでしょうか。

田村:性暴力の問題は男女間で起こりやすい問題であり、踏み込まない方がいい特別な問題として捉えがちです。しかし「そこには人権侵害があるかもしれない」という視点で捉え、耳を傾けることが必要だと思っています。性暴力や性差別は人権侵害です。今後も、そういった問題に取り組んできたいと考えています。
津田:昔の男性は「女性のお尻を触るのはコミュニケーションだ」と考える人もいましたが、それは人権侵害だとわかってもらうためにも、報じるメディア側の意識も変わっていかなければいけないですよね。
田村:「少しくらいお尻をさわっても」とか「かたいこと言うな」という意識は多くの男性に残っていると思います。そこを変えていくことが非常に大事だと感じています。

個々が人権侵害について理解を深めることで、性暴力やセクハラ、パワハラが放置されない社会に近づくのではないでしょうか。

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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“高校1年生”から日本代表メンバーに…竹中七海が考える新体操日本代表「フェアリージャパンPOLA」の強さとは?

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。4月13日(土)の放送は、トヨタ自動車所属で新体操日本代表(フェアリージャパンPOLA)の竹中七海(たけなか・ななみ)選手をゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)藤木直人、竹中七海選手、高見侑里



竹中選手は、1998年生まれ愛知県出身の25歳。子どもの頃から新体操を始め、中学2年生で新体操日本代表・フェアリージャパンPOLA(以下、フェアリージャパン)の練習生(強化選手)に、高校1年生でフェアリージャパンのメンバーに選出。高校3年生で迎えた2016年リオデジャネイロオリンピックには、リザーブ選手として現地に同行。その後、2021年にトヨタ自動車に入社し、同年に開催された東京オリンピックのメンバーに選ばれ8位入賞。現在はパリオリンピック出場を目指しています。

◆3月のドイツ大会で総合優勝!

藤木:フェアリージャパンは、3月2日(土)・3日(日)にドイツでおこなわれたインターナショナルトーナメント「新体操 Fellbach-Schmiden大会」で、団体総合1位、種目別フープ1位、種目別リボンボール1位! すごい成績ですね。

竹中:ありがとうございます。久々の表彰台で、優勝はとてもうれしかったです。

藤木:演技そのものはミスが少なかったですか?

竹中:演技自体にミスはあったので、ちょっと悔しい内容だったんですけど、それでも“ミスからどう対処するか”というところまで練習を積んでいたので、そこは(今大会で)良かったところの1つかなと思います。

藤木:オリンピックシーズン第1戦で優勝するというのは、縁起がいいですよね。

竹中:そうですね。チームみんなの自信になりましたし、やっぱり、ここからが勝負だと思うので、これを糧にまた頑張りたいと思います。

◆フェアリージャパンの強み

藤木:現在25歳で、中学2年生でフェアリージャパンの強化選手に選ばれているということは、フェアリージャパンで10年以上も過ごされているんですね!

竹中:そうですね。昔から憧れていたチームで“フェアリージャパンに入って活躍したい!”と思いながらずっと(新体操を)やってきたので、あっという間に10年が経ったなと感じます。

藤木:ただ、去年の世界選手権(第40回世界新体操選手権大会)では、メンバーに入ることができなかったのですか?

竹中:はい、このときはメンバーから外れてしまって本当に悔しい経験だったんですけど、そのときにほかのチームの良さと日本チームの良さを比較しながら客観的に見れたり、地元で練習したときに、改めて私のことを応援してくださっている方がたくさんいることに気付くことができたりと、あの経験があったから今があるなと感じています。

藤木:外から見たフェアリージャパンの強みというのは、どんなところでしたか?

竹中:動き一つひとつのきれいさとか“(演技を)正しく魅せる”というところは日本チームの強みだなと感じました。その反面、海外チームのエネルギーというか“どんなものでも魅せきる”というところが強みだなと感じたので、日本チームのきれいさがありつつ、強さも活かせたらより良いのではないかと感じました。

藤木:新体操はどうしてもミスがついてくる競技ですけど、試合前や試合中は緊張しますか?

竹中:もう心臓バクバクです(笑)。ミスがないことが一番なんですけど、1つ危ないところやミスがあった後は、試合中なんですけど“どうしよう”とか思いながら……でも、すぐに次の技がやってくるので、そこに集中して、しっかり(力を)出し切れるようにやっています。


竹中七海選手



高見:フェアリージャパンは、5月にウズベキスタンの首都・タシケントで開催される大陸別予選(第15回アジアシニア新体操選手権大会)でパリオリンピック出場権獲得を目指しています。

藤木:現在のフェアリージャパンのなかで、竹中選手はどのような立ち位置ですか?

竹中:これまでいろいろな試合を経験させていただいたぶん、試合のなかでも練習のなかでも、その経験を下の子たちに伝えていくことだと思います。あとは“安定感を持って演技をする”ということが、自分の大事な部分かなと思うので“どんなことがあっても対応できるように”“(失敗しても)すぐに修正できるように”というところは意識してやっています。

藤木:年齢的に(チームを)引っ張っていかなければいけない立場だと思いますが、その辺りはいかがですか?

竹中:キャプテン(鈴木歩佳選手)がもう1人いるんですけど、彼女がサポートしきれない部分を私が補佐役としてサポートしたり、大事なことは伝えていくということを意識的におこなっています。

藤木:最後に、パリオリンピックにかける意気込みを教えてください。

竹中:“パリオリンピックでメダル獲得”が目標なんですけど、そのためにも、まずは5月のアジア選手権でしっかり優勝を目指して、出場枠を獲得できるように頑張りたいと思います!

次回は4月20日(土)の放送です。

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4月13日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月21日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

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