月額4000円で飲み放題! 拡大する「サブスク」の今に迫る

Apple Music、Spotify、Netflixなど、さまざまな業界に広がる「サブスククリプション=定額制サービス」。私たちの生活に身近なサービスとなった「サブスク」の今に迫りました。話を訊いたのは、『日経クロストレンド』編集長・吾妻 拓さんです。


■月額6800円で高級バッグが借り放題!

まず、「サブスククリプション」が広がっている背景について訊きました。

吾妻:国内の人口減少というのがひとつです。いわゆる消費市場というのが単純に拡大が見込めないわけです。新規の顧客を獲得し続けるより、既存顧客との関係を深めていくほうが得策で、そういう危機感が背景にあります。そこにスマホが新たな顧客接点になっていて、メーカーも消費者と継続的につながるサブスク事業に参入しやすくなっています。従来は小売店などを介してお客さんに物を売っていたと思いますが、それがスマホで直接つながれるようになり、メーカーはネット直販にどんどん入ってきます。その魅力を高めるひとつがサブスクリプションです。

では、具体的にどういったサービスがあるのでしょうか。

吾妻:たとえば、「ラクサス・テクノロジーズ」という広島の会社が高級バッグ借り放題サービスを展開しています。エルメスやルイ・ヴィトンなど、50以上のブランドと3万個超のバッグが月額6800円で借り放題です。スマホを使ってアプリで予約して、借りている間は返却せずに使えます。別のバッグを使いたいときは返却して借り直します。
渡部:いいですね。住居でもそうしたサービスがあるそうですね。
吾妻:これは多拠点ということで、「ADDress」という月額4万円から鎌倉や千葉県・南房総など、10カ所ほどに住めるというサービスが4月からはじまりました。年会費48万円を払うと住み放題です。実は『日経クロストレンド』でも紹介しましたが、非常に人気の記事のひとつです。
渡部:空いていれば好きなところに住めるんですか?
吾妻:物件はもちろん限られていますが、そこに住むことができます。働き方がいろいろと変わってきているので、コワーキングスペースとしても使えるような、そんなイメージです。ほかにも、ロレックスなどの高級時計を借りて使えるサービスもあります。月額2万円ほどで最高200万円ほどの時計を貸し出してくれます。借りている間だけ払えばいいので、実際には買えないけれど試しに使ってみたいとか、そういうニーズにもこたえられるようなサービスです。


■サブスクの流れは食業界にも

サブスクリプションは、食の業界にも広がりを見せています。

吾妻:「金の蔵」は月額4000円払うと毎日飲み放題を利用できるという「プレミアム飲み放題定期券」があります。毎日行ったら1日あたり130円くらいで飲み放題になります。通常の飲み放題は2時間1800円くらいですけど、これがあれば非常に安くなります。あとは、家でビールを楽しみたい人向けに、「キリンビール」が「Home Tap(ホームタップ)」という家庭用サーバーを使ってビールが飲めるサービスを提供しています。月額7500円ほどで、「一番搾りプレミアム」をサーバーに入れて自分で注げるので、泡もいい感じにできて、おいしく楽しめます。
渡部:ホームパーティーをよくやる人にいいかもしれませんね。
吾妻:ほかにも、弁当のテイクアウトサービス「POTLUCK」は、月額1万2000円でランチ食べ放題です。月額を支払っておけば、毎日弁当をテイクアウトできるということです。大学生のひとり暮らしとかいいですよね。

こうした人気サービスばかりではなく、失敗したサービスもあると吾妻さん。

吾妻:開始半年で撤退した会社もあります。その場合は、想定していたターゲットではない層が利用していたり、価格設定が違っていたり、商品構成もやっぱり難しいんです。サブスクそのものに参入すれば簡単に儲かる事業モデルではないのです。

しかし、企業や消費者にとっての利点も大きいようです。

吾妻:企業にとっては継続的に売り上げが見込めて収入が安定して、常にお客さんとつながるので、商品改善に結びつけられます。スマホでデータをとって商品をかえて、新しいサービスを提供できるという利点があります。サブスクでいえば、ユーザー側からすると購入すること以上に価値を得られるということが大事になってきています。高品質なものを継続的に提供してもらえるという信頼感をどういうふうに獲得していくか、品ぞろえを拡大していって選択肢を増やせるかが大きなカギになってきます。
渡部:今後はどのように展開していくのでしょうか?
吾妻:市場調査とマーケティングの「矢野経済研究所」が発表したのですが、2023年度に国内の市場規模が8600億円、今の1.5倍くらいに拡大する予想です。新しいサービスもどんどん立ち上がってきているので、今後も伸びていくのではないでしょうか。ただ、簡単ではないですし、アメリカでは一部頭打ち感があるという話も出ていますので、入れ替わっていくかなと。そんななかで、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)などの活用もキーになると思います。ユーザーが求めるものを、どのようにおすすめしていくかもビジネスのカギになると思います。

【番組情報】
番組名:『GOLD RUSH』
放送日時:毎週金曜 16時30分−20時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

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周防正行「サイレント映画について大変な勘違いをしていました」

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、映画監督の周防正行が出演。最新映画『カツベン!』の題材となったサイレント映画について語った。

ニッポン放送「あさナビ」

黒木)今週のゲストは映画監督の周防正行さんです。周防監督の5年ぶりとなる最新作映画『カツベン!』が全国公開中です。『カツベン!』は、映画の始まりの時代を駆け抜けたスーパースターである、活動弁士の話なのです。

周防)日本に初めて映画が入って来たときに、「Motion Picture」という言葉をそのまま訳して「活動写真」と呼んだのですね。そのときは、まだ映画に音がなかったのですよ。スクリーンの横に人が立って、写っているものの説明を始めたのです。最初は物語映画ではなかったから、何が写っているかとか、どうして動くとか、まさに“写真が動く”ということは始めてのことだったので、世界中で流行るわけです。当時、日本ではそのように説明する人が、最初の日の上映からいたのです。

黒木)つまりは紙芝居みたいに「こういう物語ですよ」と、ト書きも言えばセリフも言うという…。

周防)最初は単なる出来事が写っていました。駅に列車が到着するとか、工場から人が出て来るとか。それがやがて物語を持つようになって、弁士は物語をきちんと説明することを始めました。こういう文化が根付いたのは日本だけなのです。アメリカやヨーロッパでも説明する人が立った記録はありますが、職業としては説明していません。アメリカ、ヨーロッパは生演奏の音楽だけで魅せていたのです。

黒木)『カツベン!』はオリジナルの作品ですが、どうしてこれを映画にしようと思われたのですか?

周防)僕が浅はかにも、ずっと無視をして来たから。

黒木)え?

周防)大学生のときに、サイレント映画をたくさん観ていました。そのときはサイレント映画だから音がない状態で、活動弁士の説明も音楽もない、まさに無音の動く画を観るというのが、サイレント映画の見方だと思っていました。活動弁士がいることも、音楽があることも知っていたのですが、それを無視していたのです。サイレント映画なのだから、サイレントで観ないと監督の意図は伝わらないのだと、ずっと思って生きて来た。でもつい最近、僕の助監督をして下さっていた片島章三さんが「こんな本を書きました」と、この映画の元になる台本を読ませてくれたのですね。

黒木)いつも周防監督は、ご自分でシナリオをお書きになりますよね。

周防)自分のシナリオではないのは、今回が初めてです。

黒木)そのシナリオを読まれてどうだったのですか?

周防)「僕はなんて勘違いをしていたのだろう」と思いました。当時、明治の終わりから大正昭和の始まりにかけて、無声映画をサイレントで観ていた人はいなかったのです。当然、映画監督は自分の作ったものが上映されるときに、生演奏があり、誰かの説明が入るとわかって撮っていたのですね。要するに、監督がサイレントで観てもらうことを前提に撮っていなかった。それを僕はサイレントで観ていたのですよ。「これはいけない」と。それも僕は映画監督なのに、なぜ日本映画史の重要なことを無視して来たのだと思って、大反省です。音がない状態で物語をつくり上げるというのは、映像を作る人間としての最高のテクニックだ、技術だと思っていたのです。それこそが映画の基本と言うか、映画の本質だろうと。

黒木)それが180度変わったわけですね。

周防)変わりました。

黒木)活動弁士という方々がいて、初めてサイレント映画は成り立つのだと。

撮影・下村一喜

周防正行(すお・まさゆき)/映画監督

■東京・目黒区出身。1956年生まれ。
■立教大学在学中に、高橋伴明監督の助監督を務めるようになり、以降、若松孝二監督や井筒和幸監督の作品に助監督として携わる。
■1984年に小津安二郎へのオマージュを含んだピンク映画で監督デビュー。
■1989年に『ファンシイダンス』で商業映画初メガホン。
■1992年の『シコふんじゃった。』で、日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞。
■1996年には大ヒット作『Shall We ダンス?』公開。日本アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞など13部門を総なめ。
■2006年には痴漢の冤罪裁判を描いた『それでもボクはやってない』、2011年にはバレエ作品を映画として収めた『ダンシング・チャップリン』、2012年には終末医療を題材にしたヒューマンドラマ『終の信託』、2014年には花街で成長する舞妓の姿を描いた『舞妓はレディ』を監督。
■最新作は、2019年12月13日公開の『カツベン!』。大正時代に全盛だった無声映画を個性豊かな語りで彩った「活動弁士」が主人公。活動弁士を志す青年・俊太郎を成田凌が演じ、ヒロインを黒島結菜が演じる。

ENEOSプレゼンツ あさナビ(12月9日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

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