現在の映画祭をめぐる問題とは? 現状と未来を「東京国際映画祭」プログラミングディレクターが語る

J-WAVEで放送中の番組『TOPPAN FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。8月18日(日)のオンエアでは、「東京国際映画祭」でプログラミングディレクターを務める矢田部吉彦さんが登場。「映画祭の未来」を語った。


■国際映画祭を主催する目的

映画祭は、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭といった世界規模のものから、規模は小さいものの個性を感じさせるものまで、世界中に数多く存在している。そもそも国際映画祭を開催する目的や意義はどこにあるのだろうか?

矢田部:ひと言で言えば、「映画を盛り上げる」「映画文化を盛り上げていく」ということ。僕の考えとしては、「世界の優れた才能や作品をいち早く紹介すること」ですね。そして、それをいち早く観客に観てもらい、喜んでもらうこと。なので、制作者と観客に満足してもらい、それが合わさって映画という文化が盛り上がっていくこと。これが国際映画祭の目的だと思っています。
小川:個人的には、制作者の新しい才能を発掘し、それを我々観る側が楽しむというイメージがあります。そして、主催者や映画会社からすると、ここで一発当てて映画を盛り上げようということだと思います。主催者、映画会社、作り手、観客、みんなが違う目的で映画祭に集まってきているという現状でしょうか。
矢田部:まさにその通りで、関わる人たちがとてもたくさんいるので、そのすべてのプレイヤーの満足度を高めるのはすごく大変です。メジャーな映画も盛り上げたいですし、誰も知らないアーティストも応援したい。そのふたつを両立させることはとても難しいですが、やりがいがあります。でも、映画ってそもそもそういうものだと思うんです。すごく大きなエンタメ映画があったり、すごく小さなアート映画があったり……どちらも映画ですから、そのふたつを応援するのが国際映画祭だと思います。


■現在の映画祭をめぐる問題

2018年、カンヌ国際映画祭において「劇場公開されていない」という理由から、Netflixの作品がコンペティション部門に出品できないという出来事があった。

矢田部:これが今、映画と映画祭をめぐるもっとも大きなトピックのひとつです。Netflix作品は話題作が多いので、実はカンヌ側はコンペに出したいと考えています。ただ、Netflixとしては劇場公開しないですぐに配信するということを旨としている。そこで、カンヌ映画祭はそういった作品はコンペには入れないということになりました。昨年すごく話題になった『ROMA/ローマ』という作品がありましたが、カンヌはこの作品を上映しませんでした。でも、ヴェネツィア国際映画祭は上映したんです。その結果、カンヌは古くてヴェネツィアは新しいというような言われ方をして、Netflixと映画祭の付き合い方をどうすればよいかという話になっていきました。

しかし、矢田部は「そう単純なことではない」と語る。カンヌ国際映画祭を含め、劇場公開された興行収入の一部は映画に関する省庁にプールされ、それがインディペンデント映画の製作資金として還元される。そのため、劇場公開されたものでなくてもよいと認めてしまうと、映画を作る構造自体がダメージを受けてしまうという根が深い問題だと矢田部は解説する。

そしてもうひとつ、今後の大きなテーマとされているのが「女性の才能の発掘」だ。

矢田部:「#MeToo」という問題自体、映画業界が発端だったわけですが、女性監督の数が少ないということがカンヌ映画祭でも大きく取り上げられてます。私もインタビューを受けるたびに、Netflixと女性監督の問題をどう考えるかということについて、この1〜2年で必ず質問されるようになりました。なので、女性が映画監督になりづらいという構造が業界にあるとしたら、それは絶対に訂正していかなければいけないと思いますし、とても重要な問題だと思っています。


■今年の東京国際映画祭の注目ポイント

今年は10月28日(月)から11月5日(火)までの9日間にわたって開催される「第32回東京国際映画祭」。現在の段階で公表できる耳より情報について矢田部に尋ねた。

矢田部:まずひとつは、今年のコンペティション部門の審査委員長が中国のチャン・ツィイーさん。とても素敵な女優さんがいらっしゃるということで楽しみです。もうひとつが、オープニング作品が決まっていて、なんと『男はつらいよ お帰り 寅さん』という、寅さんの50年目、50本目という記念の作品です。寅さんが蘇るという作品を、今回オープニングで上映することが決定しています。すごい作品なので楽しみにしていてください。

このほか、今年からは「大学対抗ショートフィルムコンテスト」という新しい企画もスタートすることとなっている。

最後に矢田部は、映画祭における“未来の鍵”について「エンタメとアートの融合」を挙げた。

矢田部:映画はエンタメなのか芸術なのかというのは、映画が作られて100年以上ずっと変わらないテーマだと思いますし、それは未来も変わらないですよね。両方があるからこそ、映画は100年以上こんなにずっと続いていると思うんです。ただ、どうしても映画を作ること自体にお金がかかるので、商業作品が主要になっていくわけなんですけど、われわれが映画に感動するときって、そういう作品ばかりではないですよね。お金はあまりかかっていないけど、何か自分の心をざわつかせるものがある。それはやはり芸術だと思うんです。そのふたつの柱を映画祭が盛り上げていくことによって、映画は存続していくのかなと僕は思います。

今年もさまざまな話題を提供するだろう「東京国際映画祭」。チケットの購入方法などについては公式サイトにて紹介されているので、興味を持った方はぜひチェックしていただきたい。

J-WAVE『TOPPAN FUTURISM』では、「未来を創る鍵を探る」をテーマに、各分野で活躍するゲストを毎回迎えてお送りしている。時間は21時から。お楽しみに!

この番組をラジコで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:毎週日曜 21時−21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/

タグ

菅井友香、振付家TAKAHIROと当時の思い出を語る!

サントリー生ビールpresents『菅井友香の#今日も推しとがんばりき』のゲストにダンサー・振付家のTAKAHIROが登場し、菅井と出会った時の印象からグループ最後の楽曲「その日まで」についてまで菅井との思い出を語った。

-TAKAHIRO「菅井さんは不器用なんです」-

菅井とTAKAHIROの出会いは2016年。欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」の振り付けの時だったという。TAKAHIROは当時の菅井について、「菅井さんはいっぱい練習する子でした。いっぱい練習しましたね。『不協和音』の立ち方だけでとか、手の引っ張り方だけで、一時間ぐらいずっとやっていた」と当時のことを振り返った。

また、リスナーからの質問で菅井のグループ時代の最後の楽曲「その日まで」の振り付けにどんな意味を込めたのかについて問われたTAKAHIROは、「あの楽曲は全部が逆再生されるように作ってあったんですが、でも、過去のことだけではなく今の菅井さんが表現できることを大切に、前に進んでいけるように。菅井さんはいっぱい背負ってきましたので。だからそのリュックを一回置いて、ただただ走って風を感じられるように。そういう思いを込めて、振り付けをさせていただきました」と語った。

そんな「その日まで」はミュージックビデオの撮影中に釣りをしている人を待つために一時撮影が中断されることもあったという裏話も語ってくれた。

さらに、リスナーから菅井のパフォーマンスに関する裏話を聞かれたTAKAHIROは、「菅井さんは不器用なんです」と断言。しかし、その不器用さ故の長所があると語った。「不器用だけど、努力するという力を持っていた。感覚でみんながやれるところを努力で全部補おうとする。だから本当にその瞬間を任せたときに、ある程度までは要領のいい人が勝つんだけれども、そこから先の努力でもっと深めることができるから、ステージに立った時に誰よりも輝く瞬間がある」

菅井は、その様にやり遂げられたのはTAKAHIROの存在が大きかったと語り、「少年のような大人でずっと誰より近くにいてくださった」と当時TAKAHIROに感じていたことについて振り返った。

その他、「キミガイナイ」の振り付けについての話やTAKAHIROが櫻坂46の振り付けを考えるうえで一番大切にしていることなど、様々な話が語られた。そちらについては是非タイムフリーで

Facebook

ページトップへ