パワハラやセクハラの証拠集めに…「職場でこっそり録音」は法的にOK? 弁護士が解説

社内でのパワハラやセクハラの証拠となる録音。でも、もし就業規則に「勤務中の会話の録音は禁止」と書かれていたら……? また、こっそり録音することで、プライバシー侵害として自分が悪い立場になってしまわないのだろうか。

職場での会話をこっそり録音する“秘密録音”はありなのか、レイ法律事務所の弁護士・近藤 敬さんが、法律的な観点から解説した。

【8月21日(水)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】


■社内の秘密録音は法律的にはあり?

職場での会話の録音は違法なのだろうか。近藤さんは、盗聴と秘密録音の違いや注意点を含めて、以下のように解説した。

近藤:前提として、盗聴と秘密録音は区別する必要があります。盗聴は第三者の会話を、盗聴器などを用いて無差別に録音する行為です。この場合も、録音すること自体を規制する法律はないのですが、建造物侵入罪や電気通信事業法に違反する可能性が非常に高いので違法と判断されることになります。一方で秘密録音は、録音する人物が会話の一方当事者なので、会話の相手の同意がなくても録音すること自体は違法ではないです。ただ、その録音をSNSに公開したりすると、相手への名誉毀損やプライバシー侵害で、逆に民事で訴えられる可能性があります。

民事裁判で録音を証拠として提出することは「証拠能力あり」と認められているので、秘密録音は自己防衛の手段になり得ると近藤さん。また、「パワハラやセクハラに限らず、契約するときに“言った・言わない”はあとで問題になるので、書面化することが大切ですが、それがない場合は録音が証拠になる」とした。

また、会話を録音する際は「可能であれば最初から最後まで録音することが重要。自分に都合のよい部分だけを切り取って提出しても裁判所が信用しない」と近藤さんは指摘する。


■録音される会社側に求められる対応は?

一方、会社側の防衛策として就業規則に「勤務中の会話の録音は禁止」と定める手段がある。ただし、これを違反したとしてもそれを理由に一方的に解雇することは認められないと近藤さん。「パワハラを受けた従業員が自己防衛のために録音したものが証拠として認められたという裁判例もあります」と話した。

また、近藤さんは「そもそもパワハラやセクハラをしてはいけない職場を整えるのが会社の責務で、会社はいつ録音されても困らない対応をするべき」と答えた。

近藤:社員に録音される時点で、社内のコミュニケーションが不足している証拠なので、コミュニケーションをうまくはかり、日頃から録音されないような職場づくりをすることが大事です。

最後に近藤さんは「録音することと、それをどう使うかは別の話であると理解してほしい」と語った。SNSでさまざまな情報を容易に公開できる現代だからこそ、その情報の管理を怠らず、賢く使い分ける能力を身に着けていく必要があるようだ。

『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜〜木曜の10時10分頃から。お聴き逃しなく!

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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時−13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

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