「電車が止まった」「雨が止んだ」で居場所が特定されるかも…デジタルストーカー対策

瞳に映った景色を手掛かりに女性アイドルの居住エリアを特定してあとをつけ、わいせつな行為をした20代の男が逮捕されたニュースを受け「デジタルストーカーの恐怖とその対策」について、ITジャーナリストの三上洋さんに詳しく訊いた。

【10月16日(水)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】


■瞳に映ったランドマークから駅を特定した犯人

サッシャ:瞳に景色が映って場所がわかってしまった......どういう話なんでしょうか?
三上:ファンがアイドルのSNSの投稿を見ると、写真の瞳に駅の特徴的なランドマークが映っていた。それをきっかけにアイドルの住んでいる最寄りの駅を特定して、そこで待ち伏せをしていたんですね。そこから尾行をするなどして、最終的には暴力を振るうようなことをしてしまった。(被害者だと思われる)人の写真を見ると、けっこう黒目がはっきりしているというか、目をパッチリとさせて撮っているので、確かになにか映るように見えるんですよ。なので(写真を)全部見比べていって、場所を特定したのかもしれません。
増井:1枚の写真ではなく、いろいろとSNSに上げられていたものを見ていた?
三上:今回のランドマークの話は1枚の写真ですけども、ファンの方はSNSでの今までのツイート、インスタグラムの投稿を積み重ねて見ています。


■SNSの投稿で気をつけなければいけないタイミング

三上:1番怖いのは今回の台風。「停電をした」「うちのそばで水が出た」「電車が動いた、動いてない」と、みんなツイートしましたよね? それで場所が大体わかります。「雨が一瞬止んだ」とか、このタイミングで雨雲レーダーのログを見ていけば「ここは雨が降っていなかった」とわかる。現在、台風の影響で武蔵小杉のタワーマンションが大変なことになっています。私は川崎市に住んでいるんですが、私の知り合いで「あ! 武蔵小杉のタワマンに住んでいたんだ」という人が、ツイッターとフェイスブックを見ているだけで、もう数人出てしまい「こんな有名人がこのタワマンにいたんだ」ということがわかってしまう。みんな台風や災害だったら仕方がない、バレてもいいと思ってやっていますけど、長期間SNSをやっていくとそれが段々と積み重なって情報がわかります。

また、建物の上の階の窓から撮る写真についても、撮影された場所に赴けば、角度や横に立ったビルの見た目から、写真を撮った場所が何階の何号室といったことまで推測できると三上氏は注意を促した。

■料理の素材の写真のなかに潜んでいる情報

三上:料理の写真を撮るときに「今日はこの素材を使います」と並べて、上からパチっと撮るじゃないですか。そういったときに、スーパーのパッケージにはスーパーの名前が書いてあるわけです。肉や野菜のパッケージには近くとは限らないけども、そこのスーパーの名前があるので、自宅特定の材料になります。インスタグラムのお料理写真でやってしまいがちです。

■写真から間取りを推測するファン...インターネット生放送では自宅を特定されることも

三上:有名なタレントさんが自分の家で飼っている犬のアップの写真を繰り返し上げていたんです。ファンの方はそれを全部ストックして、間取りを推測で書いた。それをテレビ番組で「これでしょ?」と出したらほとんど合ってるんです。背景を写さないように犬のアップだけなんですよ? でも、部分的にドアや壁が写っていると間取りがわかる。

インターネットを使っての生放送も、自宅の特定につながるリスクがあるという。

三上:インターネットで生配信をしている生主(生放送主)さんや、ネット放送のタレントさんというのはかなり早く自宅を特定されるんですよ。生放送をしているときに、当然バレてはいけないから窓は映さないんです。でも太陽の光は入ってくるので、影は出るわけです。そうすると「何時何分にその影が出たということは」と、その窓の向きが正確にわかる。

窓の方向が分かれば壁の向きもわかるため、正確な建物の形が出ている地図アプリを使って候補の建物をあぶりだし、それを順次確かめて特定に至るケースがあるのだそう。


■マンホール、靴下の跡、ルッコラの葉脈から情報を得るネットユーザー

三上:「車を買いました」「カーシェアでこの車今日借ります」と写真を撮ります。ボンネットにマンションが映ってたりすることがあります。フェイスブックにその写真があったがために「このマンションだろう」と特定された例が実際にあるんです、車だと広い範囲で映るので。

情報の流出を警戒したアイドルが、風景を写さないように真上から地面を撮る際にも思わぬ落とし穴があるのだとも語った。

三上:上からだと可愛く撮れるし、地面だけ写ればいいだろうと上から撮ったらマンホールが写っていた。マンホールは自治体ごとにものが違う。マンホールのマニアの方がいらっしゃるので、マンホールが出ると「ここで撮影しましたね」ということを言われてしまう。

追っかけファンの洞察力でアイドルが驚かされた例もあるそうだ。

三上:追っかけのファンの方ってすごくて、アイドルの方が素足の写真を載せたら微妙に靴下のゴムの跡がついていたんですけど、その模様でどこのブランドの靴下かを当てた人がいるんですよ。これは有名な話で、そのファンはもともと、そのアイドルが食事の写真を上げると、カロリー計算をしてくれるという有名な人で、そうしたらその人がいきなり靴下のブランド名まで当てて、本当に当たってて、アイドルさんがびっくりしたという話。

「葉脈」の形からカップル認定されてしまうことも。

三上:自分の家でルッコラを使っていた。AさんとBさんが撮った葉っぱの写真の葉脈(ようみゃく)がほぼ同じなので「この人たちは付き合っているんじゃないか?」と疑惑が出たことがある。ファンの方々が「そうではないか」と言っている段階で、それが事実かどうかはわかりませんが。

さらには、映り込みが原因で「ネカマ」が判明してしまったことも......。

三上:あとはよくあるパターンは、写真を撮ったらテレビ、パソコンの画面に自分の顔が映っちゃうという形で、いわゆる"女性のフリをしているツイッターアカウント"が「私、今日こんなところにいるの」と撮ったら、実はおじさんが映っていたという(笑)。


■投稿をする前に気をつけることは「時間差」と「背景」

三上:そのときにその場所にいるということがバレたら困るので、台風でも停電でも、1時間後とか少し時間を置くんですね。観光地での旅行の写真もそうです、その場で上げないで少しタイミングをずらしたほうがいい。あとは写真を上げるときに「この背景でバレないのかな、大丈夫なのかな」と、穴の開くほど背景をチェックしていただきたいです。熱烈なファンやストーカーといった心当たりがなければ、そこまで気にすることではないですが。

また、三上さんは熱烈なファンやストーカーとSNSで遭遇した場合に「ブロック」の機能を使いたくなるが、相手を逆上させる可能性があるため「ミュート」や「サイレンス」機能を使うようにとアドバイス。「写真はアップをする前に、本当によくチェックをしていただければ」と再度注意を促していた。

『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。お聴き逃しなく!

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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

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国民年金の納付期間を5年延長するという案。これは国民にどう影響が出るのか?

4月24日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、今国会で持ち上がっている、国民年金の納付期間を5年延長する案について意見を交わした。

国民年金保険料の納付期間を5年延長する案を巡り、国会で質疑が集中している。野党は「子ども・子育て支援金に続く新たな負担増隠し」と攻勢を強めるが、実際に5年延長すると負担は増えるばかりなのだろうか?

寺島尚正アナ「国会で注目されているのは、厚生労働省が今年の夏にも結果を公表する財政検証で、5年延長した場合の効果を検証する方針を示したからです。オプション試算と呼ばれ、厚労省が制度変更を検討する目安になるということなんですが、森永さん、これはどう思われますか?」

森永康平「これはそもそもこのオプションを取った場合に、負担が増えるのかっていう話なんですけども、そりゃ負担は増えるわなっていうことなんですね。負担が増えないから大丈夫って言う論戦を張っている人たちっていうのは、納める追加的な負担……今回の件で言うと5年間でおよそ100万円ぐらいって言うのが出てきましたけども、それが増えたとしても結果的に給付の期間が延びることによって、給付費は年間で10万円ぐらい増加しますと。と言うことでは長く生きれば生きる程、ペイ出来ると言うようなことを言ってて、そもそも年金というのは保険的な発想からすれば、それ自体は正しいと思うんですけど、ただ人間いつ死ぬか自分自身もわからないわけだし、そういう意味では払う方が先に来るので、負担は増えるっていう考え方の方が僕は正しいと思うんですよね。そりゃ長く生きれば、トントンとかペイされるっていうのはわかるんですけど。そのあたりを、制度的に現役世代とか働き手に対しての負担をどう下げていくかっていうところも、同時に考えなきゃいけないなって思っていて。そりゃ単純に納付期間を増やせば財政は安定するだろうけどさっていうところですよね。だから結局これも少子化とか高齢化とか諸々の社会問題が背景にあって、その中のひとつとしては、現役世代の経済力の低下っていうのが、直接的な影響としても出てると思うんですね。ここで現役世代の負担を増やしましょうって言う策を取ってしまうと、結果的により悪化する可能性もあるので、このあたりの負担増の部分にちょっとウェイトをかけて議論して欲しいなと思いますね」

寺島「国民年金の保険料、およそ100万円の負担というのが森永さんからありましたが、現在は月16980円。40年間納め続けると、受け取れるのが月68000円。現行の保険料で計算すると、追加的な負担は5年間で100万円になると。一方で納付期間が延びることになると年金額も増加。武見厚労大臣は『給付費は年間10万円増加する』といい、この理解も求めているということなんですが、およそ12.5%増える計算です。ただ、森永さんご指摘のように、人っていつ逝っちゃうかわからないし、逝っちゃった時に『あ、得したね、損したね』っていうのが、わかるっていうのもなんだかなあって言う(笑)」

森永「まあ、保険って言う考えで行けば、そりゃ性質上そうなるっていうのはしょうがない部分がありますが、ただやっぱりその今、年金の負担だけに限らず、例えば子供支援金制度だとか、ああいうのを諸々見ると、わかりやすい形の増税ではないですけど、ちょっとわかりにくい形で負担増の政策がかなり並べられていますよね?だからそこの負担増の話ばっかり出ているということ事態が、やはり問題だと思いますし、実際例えば子供支援金制度だって別に『今すぐやります』って話じゃないですけども、そういう話が出た時点で、これって景気にとってはあまり良くないことなんですよね。よく増税の議論でもある話で、今すぐ増税しないにしても、○年からしますって言われたら、消費者ってそれに合わせて消費計画を立ててしまうので、実施する前から負の影響が出てしまう。最近多分皆さんニュースを聞かれてて、増税とは言ってないけど『やたら毎月取られていく金額が増えていく話が多くない?』っていう話になっていくと、足元、消費のデータはずっと落ち込んでいるわけで、これは単に100%物価高のせいだとはなかなか言い切れない部分もあるんじゃないかなって思いますね」

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