Van de Shopの“始まり”と言える楽曲は? 日本のポップスの表現とは異なる魅力

Van de Shopの栗山夕璃(Vo, Gt)が、自身のルーツとなる楽曲、そして新曲『Tiny』に込めた想いを明かした。

栗山が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』内のコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。オンエアは8月3日(水)、4日(木)。同コーナーでは、アーティストたちの自身の楽曲に込めた想いと、彼らのアーティスト人生に大きく影響を与えた楽曲との出会いの話を通じて、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする。

進学や就職…周囲に取り残された人たちに向けた歌

デビューシングル『レセプション』が、以前「J-WAVE SONAR TRAX」に選出されていたVan de Shop。元々、ボカロP・蜂屋ななしとして活動していた栗山がその活動を卒業し、シンガーソングライター・栗山夕璃として復活。そんな栗山が率いているバンドが、Van de Shopだ。メンバーは栗山のほか、端倉鑛(MANIPULATOR, DJ)、仁井伯(PIANO, KEY)といった面々。メンバー全員が作詞・作曲・編曲をすることができ、楽曲毎にさまざまな表情を見せている。そんなVan de Shopが新曲『Tiny』を8月12日に配信リリース。果たしてこの曲ではどんな自分らしさが込められているのか。栗山に聞いた。

栗谷:新曲の『Tiny』ですが、実は6〜7年前からある程度、形は出来上がっていました。バンドにとって2曲目でして、夏の爽快さとジャジーなアンサンブルが気持ち良い楽曲となっています。

この曲は、進学だったり就職だったり、新しい1歩を踏み出している周囲に取り残された人たちに向けて歌っています。失敗するのはとても怖いけど、自分の持っている夢とか大切なものを失うくらいなら、もう1回チャレンジしようという内容が歌われていて、つまり当時の僕に向けた曲なんです(笑)。全然完成させることができなかったんですけど、今の僕たちなら完成できるかなと引っ張り出して挑戦した曲です。

この『Tiny』という曲はとても変拍子が多くて、そこも楽曲的に表現するのが難しいと感じているんですけど、音色的には、PC上に作り込んだシンセ類の音と生楽器のアンサンブルのバランスにこだわっています。

例えばピアノなどは生演奏のピアノとPC上のリリースカットしたピアノという2つの音色を絶妙なバランスで混ぜているんです。リリースカットというのは拍にピッタリ合わせているので、生演奏がちょっとでも遅れてしまうと、すごくかっこ悪くなってしまう。こういう点が高度に表現しなくちゃいけない部分ですね。

でもこの表現はすごく面白いんですよ。生音をどれだけグリットで合わせても、PC上で作った音とはまた違うんです。やっぱり人の手で演奏した感じが確実に出るんです。考え方はメタルに近いですかね。メタルもキックとギターのリフをぴったり合わせてサウンドを構築していく。つまりそのピアノ・ドラムバージョンをやっているんです。

「僕らの始まり」と語る楽曲は?

メンバー全員が作詞・作曲・編曲をすることができるVan de Shop。そんな彼らのルーツとなる1曲は?

ルーツの1曲として選んだのはCaravan Palaceの『Suzy』です。この楽曲に出会ったのはだいたい7〜8年前。僕たちのルーツだと思う理由なんですけど、僕がまだ学生だった頃、まだ友人関係だった今のメンバーに「スゴい曲があったよ」と共有したんです。振り返るとこれが僕らの始まりだったなと思います。

その頃、僕はすでに作曲をしていて、仁井くんはゴリゴリにジャズピアノを弾いていて。エレクトロ・スウィングというジャンルは生音が大切で、古いジャズを基礎としたものをEDMっぽくアレンジしていくジャンルなんですね。そんな中で、ゴリゴリにピアノ生音を弾ける人が必要だということで、仁井くんに声を掛けることになりました。

まだバンドは結成されていなかったけど、この曲を聴いた1年後くらいに、初めてVan de Shop名義で曲を作りました。この『Suzy』って日本のポップスの表現とは異なる魅力があるんですよね。曲の構成がドロップとサビの部分しかなくて、そこが面白いと感じました。

今のVan de Shopに繋がる部分は、生音とEDM、そしてPC上の音楽との融合というところじゃないですかね。僕らもそういう表現を目指しているし、PCの良いところ、そして生音でしかできないこと、それぞれの高品質な部分をどうミックスしていくか、というのは常々考えています。

1曲の中でさまざまな音色を聴くことができ、その上で思わず体を動かしたくなるようなビートが印象的なCaravan Palace『Suzy』。この曲との出会いは、今のVan de Shopを作る上で大きな影響を与えたようだ。
アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。

【Van de Shopの栗山夕璃 出演回のトークを聞く】

・Apple Podcastで聞く
前編後編

・Spotifyで聞く
前編後編

・公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/opportunity/

(構成=中山洋平)
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日本はなぜ人の命を粗末に扱うのか?今も残る戦時の精神文化を研究家が指摘

8月15日の大竹まことゴールデンラジオでは、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんをお招きし、集英社新書から刊行した著作「未完の敗戦」について掘り下げた、

大竹まこと「こちらの本にはこう書かれています。コロナ対策、東京五輪強行開催、ハラスメント、長時間労働、低賃金、なぜ日本ではこんなにも人が粗末に扱われるのか。この状況と酷似するのは戦中の日本社会だ。本書では大日本帝国時代の歴史を追いながら、その思考形態を明らかにし、今もなおその精神文化が蔓延っているということを様々な事例を通して検証。敗戦で否定されたはずの当時の精神文化と青春文化と決別しなければ、一人一人の命が尊重される社会は実現しない。とお書きになっています。

山崎雅弘「こういうことは、以前からいろんな方が著作や言説で指摘されてきたんですが、僕はこの10年ぐらいでそれがさらにひどくなってるような気がするんですね。その原因を色々調べた結果、戦後の日本は人を大事にするようになったと表向きには言われているんですが、実はそうではなく戦争中の人の命を軽んじる精神文化が完全に断ち切れず、いろんな社会の分野に根強く残っていて、その影響が今また大きくなってる気がしています。」

大竹まこと「確かに今の社会は人を粗末にしていると感じます。これは日本人の精神的な構造にも影響してるんですか?」

山崎「私はそう思います。特にこの10年ぐらいは国民の意識がすごく受け身になっているような気がします。昭和の後期なら理不尽なことがあれば「みんなで団結しておかしいと声をあげよう」という動きがあったんですけれど、この10年ぐらいはそういう状況に直面しても「これは、こういうものだから仕方ないんだ」という風に、諦めている人が増えてるんじゃないかと。この状況を放置しておくと社会全体が荒むと言いますか、特に若い世代がどんどん不幸になっていくのではないかと思うので、今の段階でなんとかしないといけない。」

大竹「同じ働く人でも、正規と非正規など、社会のあちこちで分断が起こってるような気がします。」

山崎「社会の中で、格差や、自分たちと彼らとは違うんだという意識を植え付けられることによって、立場が下の人たちがひどい目にあっていても、自分とは関係ないんだとか、自分はマシな立場にいるから良かった、と見捨てるような感覚もあるのかなと思います。」

大竹「そんな中で行われたコロナ対策についてはどうご覧になっています?」

山崎「政府のコロナ対策を見ると、社会秩序を維持することが先になっているような感じがします。例えばヨーロッパだと人々の暮らしを守るためにすごいスピードで給付金を出しています。ドイツでは、そこに住む日本人も簡単な申請で生活が最低限維持できるようなお金が素早く振り込まれます。例えば、沈みかけの船でも海に浮かんでる人を見つけたら、とにかく浮き輪を投げるようなことで、これが日本だと海で人を見つけたら、ます「自分が泳げないことを証明してください」と手続きを優先する感じです。生活が保たれているのか、あまり関心を持ってないような気がするんですね。」

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