茂木健一郎が警鐘「情報収集」でパニックに…脳科学者が教える“解決策”とは?

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FM がお送りするポッドキャストポータルサイト「TOKYO FM ポッドキャスト」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。
この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
10月4日(土)の配信では、リスナーから寄せられた「情報過多」に関する相談に答えました。


パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
自分は情報を集めることが好きなのですが、集めすぎて、以前はパニックになっていました。
今はだいぶうまくなりましたが、たまに疲れ果ててしまいます。これは、経験を積み重ねないとダメなのでしょうか?

<茂木の回答>
メッセージありがとうございます。今は、インターネットやSNSなど、欲しい情報が無限に手に入る時代です。アルビン・トフラーという未来学者の方がいらっしゃって、その方が現代の状況を予言していたんです。オーバーフロー、つまり、溢れてしまう時代になるよと。

そういうことを予言していて、まさに相談者さんがお書きになっているように、(受け手側にとって)情報が多すぎることもあります。

脳の研究をしている立場から言うと、無限の情報を集めたとしても、一度に注意を向けられるのは1つだけなんです。情報の垂れ流し状態と言いますか。ですので、実は「何に注目するのか」が大事なのです。

パニックになってしまうというのは、結局、全部それに対応しなければいけないと思うからパニックになってしまうのですが、世の中の森羅万象(しんらばんしょう)の情報のなかで、そもそも自分が注意を向けられるというか、自分の生き方に反映できる情報なんて、ごく一部なんでね。

例えば、今は、誰もが知っているヒット曲ってなくなりましたよね。僕は、人に会ったときに好きなアーティストを聞くのが好きなのですが、聞いても分からないことが多いんです。そういうことってありますよね。

しかも、日本だけでもそうなのに、例えば海外のアーティストとか、アメリカで流行っている人や、メキシコで流行っている人など、もうわからないですよね。だから、これは、もうしょうがないんです。

なので、むしろ自分の感性を大事にする。感性は結局、今ここで何に注意を向けるか、自分が好きなものは何か、自分の人生これからどういう方向に行きたいか、ということでしょう?

それはどちらかというと情報に注意を向けるというよりは、自分自身の心の声を聞くということになると思うんです。

おすすめの方法は、情報を集めるだけではなくて、自分の心の声を聞くこと。そこから、結果として自分にとって必要な情報がわかってくるのではないでしょうか。

情報を集める時間、それから情報を咀嚼(そしゃく)して、情報について考える時間。これをわけて、自分の内部で咀嚼して脳を休ませたり、軽い散歩をしたりして自分の心を整えて、自分の声を聞く時間をお持ちになることを、ぜひおすすめします。

自然体が一番いいのではないかと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎

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自動車修理工場の女性社長が「自動販売機のハンバーガー」を開発

トラックなどのドライバーさんのなかには、昭和の頃は、よく幹線道路沿いにあった自動販売機のハンバーガーで、お腹を満たした経験がある方もいらっしゃることでしょう。じつは最近、令和版の「自動販売機のハンバーガー」がじわりじわりと増えているんです。今回は、この自動販売機のハンバーガーを手掛けている自動車修理工場の方のお話です。

ハンバーガー自販機と小林さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

東京・新宿から中央道の高速バス、または新幹線と飯田線の特急「伊那路」を乗り継いで、およそ4時間の長野県飯田市に「ガレージいじりや」という自動車修理工場があります。敷地内には、トヨタ・パプリカ、マツダ・シャンテをはじめ、昭和の車がズラリ。しかも、工場の前にある懐かしい自動販売機コーナーが目を引きます。

お店の代表・小林由季さんは、埼玉県出身の41歳。小さい頃、ちょうどミニ四駆が大人気だったこともあって、クルマに興味を持ちました。19歳でオートマチック車限定の運転免許を取ると、街を颯爽と駆け抜けていった、白い「マツダ・RX7」に心躍ります。

『カッコいい!あのクルマに乗りたい!!』

そう思った小林さんは、知り合いの自動車関係者に相談すると、軽くあしらわれました。「RX7? アンタ、あのクルマ、マニュアルだし、ロータリーエンジンって知ってるの? 乗りたいなら、自分で自動車が整備出来ないと、まず無理だよ」

愛車のマツダ・シャンテと小林さん

マニュアルもロータリーエンジンも、全くチンプンカンプンだった小林さんですが、乗りたい思いが高まって、マニュアルで免許を取り直し、自動車整備士を目指します。男社会の自動車修理工場で、厳しい試練を乗り越えて、見事、整備士資格を取得。縁あって信州に移り住むと、趣味で借りたガレージで、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えを請け負ったことをきっかけに、2010年、自ら自動車修理工場を立ち上げました。

やがて、工場のスタッフが昭和43年製・スバル360の修復を成し遂げたことから、小林さんも古い車に興味を持ち、旧車が続々持ち込まれて、車雑誌にも注目されます。あれよあれよと、旧車好きならまず知らない人はいない工場に成長。小林さんは雑誌連載企画で、旧車でレトロな自動販売機巡りをすることになりました。

ところが、ここで小林さんは大変なことが起きていたことに気付くんです。

『大きな道路沿いにたくさんあったハンバーガーやうどん・そばの自動販売機コーナーがどんどん無くなっている……』

24時間営業のコンビニエンスストアが増えた一方で、自動販売機は経年劣化、オーナーさんの高齢化も進んで、自動販売機コーナーは次々と姿を消していたんです。そんな折、小林さんはお祖父さまを亡くしたことで、小さい頃、自動販売機のハンバーガーをなかなか買ってもらえなかった記憶がよみがえりました。

『あの思い出の、自動販売機のハンバーガーを残したい。ならば、ハンバーガーを作っている食品メーカーを助けよう!』

自動販売機コーナー

そうひらめいた小林さんは、さっそく自動販売機用のハンバーガーを仕入れます。自動車工場の前に冷蔵機能付きの自動販売機と電子レンジを設置して販売を始めると、ちょうどコロナ禍と重なったことで、テイクアウトのニーズをつかんで大繁盛。各地のレトロ自動販売機で売れたハンバーガーのおよそ4倍を1台で売り上げました。

小林さんはもうイケイケドンドン、自動販売機を増やして各地で大人気となりますが、あまりの売れ行きにハンバーガーメーカーのほうが悲鳴を上げてしまいます。安定した納品が出来ないので、もう勘弁してくれませんか、と言われてしまったのです。代わる製造業者も無く、困り果てた小林さん、思い切りました。

『ハンバーガーを作ってくれる会社が無いなら、自分の会社で作ってしまおう!』

もちろん、小林さんは自動車整備士ではありますが、食品の知識は全くゼロ。体当たりで、様々な食品製造に関する許可や食品衛生を、片っ端から学んでいきます。食品部門の「いじりやフードサービス」も立ち上げ、ハンバーガーを作ってみましたが、パンはパサつき、肉の脂は溶け出し、レタスなどの生野菜は安全性の面で使えません。しかも、自動車修理工場と食品工場の二刀流で、睡眠時間3時間の日々が続きました。

ふんわりバンズのチーズバーガー

それでも試行錯誤を繰り返し、味やソースにもこだわったチーズバーガーに辿り着いて、安定した製造、出荷も出来るようになりました。今は、全国で39台の自動販売機が元気に稼働中。自動車修理工場生まれの自動販売機とハンバーガーは、各地域で話題になっています。

「気合と根性でやってきました」と笑う小林さんですが、やりたいことはいっぱいです。

「レストランもやってみたいですし、クルマのテーマパークがあっても面白いですよね。ハンバーガー片手にみんなに巡ってもらって。夢は大きく持てば、きっと叶います!」

「RX7に乗りたい」から始まった小林さんの夢、今はまだ、その途中です。

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