モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。
今回の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「街から消えるガソリンスタンド。“40年問題”とこれから」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師の塚越健司さんが解説しました。
(※この記事は放送当時の内容です)
※写真はイメージです
ーー帝国データバンクによりますと、2026年1~8月に倒産や休廃業・解散となったガソリンスタンド運営事業者は、全国で144件と、前年同期を約1割上回り、1~8月としては過去10年で最も多い水準となっています。
2026年1~8月に倒産したガソリンスタンド運営事業者は19件、休廃業・解散は125件で、合わせて144件となりました。前年同期の127件から17件増加しています。
※この数字は閉鎖した店舗数ではなく、ガソリンスタンドを運営する事業者の倒産・休廃業・解散の件数です。
*
ユージ:確かにうちの近所でもね、本当に長年お世話になっていたガソリンスタンドが、ちょっと今年で閉めますということでご挨拶されましたよ。身近でも起こっているのですが、塚越さん、なぜガソリンスタンドが減っているのでしょうか?
塚越:まず、ガソリンスタンドのピークは1990年代の半ばで、6万軒を超えていました。それが2025年度は2万6,000軒程度と、ピークの半分以下になっています。
原因はいくつかありますが、まずは自動車の燃費が向上したことや、ハイブリッド車やEVなどが登場して、ガソリンの需要が減っていること。次に、やはり人口減少でそもそもお客さんが減っていることです。
もう1つは、人手不足や後継者不足、経営者の高齢化という供給側の人手の問題があります。加えて、ガソリンスタンドというのは価格競争が厳しくて、1リットル売ったときの利益が小さいので、洗車や車検などガソリン以外の収入がないと経営が難しい店舗もあります。これに重なってくるのが、いわゆるガソリンスタンドの「40年問題」です。
ーー資源エネルギー庁によると、2025年度末の全国の給油所数は2万6,412カ所で、前年度末から597カ所減少しました。1994年度末のピーク時は6万421カ所で、現在はその半分を大きく下回っています。
ガソリンスタンドの経営を圧迫する要因の1つが、地下に埋設されたタンクなどの設備の老朽化です。設置からの経過年数やタンクの構造、漏えい防止措置の状況などによって必要な対応は異なりますが、設備の改修や更新には大きな費用がかかる場合があります。こうした設備投資の負担も、事業継続を難しくする要因となっています。
吉田:ガソリンスタンドの減少、車社会、地域インフラへの影響はどうでしょうか?
塚越:まず資源エネルギー庁によると、町や村にスタンドが3軒以下しかない市町村は、2025年3月末の時点で381市町村で、全国の市町村の2割を超えています。地方では車が単なる移動手段ではなくて、通勤、通院、買い物に欠かせない生活インフラです。
さらに農業機械、漁業、物流トラック、そして冬の灯油の配送にも燃料が必要です。そのため、ガソリンスタンドがなくなるというのは、「ちょっと給油が不便になる」という話ではなく、生活そのものの基盤が維持できるかという問題になってきます。
もう1つ重要なのが災害時です。地震や台風で停電したときにも、自家発電設備を使って給油を続けられる「住民拠点SS(サービスステーション)」が全国に整備されています。2026年3月末時点で1万4,000カ所以上ありますので、スタンドは災害時の燃料供給拠点という役割も持っています。
ユージ:他にも、給油以外で地域に貢献していたこともありますよね?
塚越:そうですね。これは特に地方で重要なのですが、ガソリンスタンドは「人がいる地域の拠点」になっています。
例えば地域によっては、高齢者のおうちに灯油を配達するときに、あわせて安否を確認する、見守りをする活動も行っています。ほかにも多くの都道府県で、ガソリンスタンドが子どもや女性が危険を感じたときに逃げ込める「かけこみ110番」になっています。
単にガソリンを売るだけではなく、コンビニや郵便局と同じように人がいる、地域に残っている数少ない拠点になっているという側面があるわけですね。
ユージ:そんなガソリンスタンドの跡地は、どんな使い方が考えられるでしょうか?
塚越:難しいのが、先ほどお話しした地下のタンクです。これを除去して土壌を調査したり浄化するのに費用がかかります。そのため、すぐには活用できない跡地もありますが、立地がいいのでコンビニや駐車場になるケースがあります。
一方でこれから重要になってくるのは、全部やめて別の店にするのではなく、今あるガソリンスタンドを「複合施設」に変えていくことです。地域の拠点として、カフェやコミュニティスペースなど、次世代型のサービスステーションとして、給油だけでなくEVの充電やコンビニ、コインランドリーなども設置した複合施設にするなどの活用方法があります。
大手ではコンビニなどを併設する動きがありますし、地方では移動販売や高齢者の見守り、コミュニティカフェなどと組み合わせて、地域の拠点にしているところがあります。結局のところ、人口が減る中でこれまで通りとはいきません。
ただ、大手ではない独立経営のスタンドが、自前で複合施設をつくることはなかなか難しいですよね。国の調査でも、スタンドが少ない自治体の6割が、スタンドの維持を問題だと感じているのに、実際に対策をしているのは1割ほどです。
ーー経済産業省は2026年8月、過疎地などでガソリンスタンドを維持するための「新たな地域燃料流通に関する研究会 中間とりまとめ」を公表しました。最寄りのガソリンスタンドまでおおむね15キロ以上離れた地域にある給油所を「地域インフラSS」の候補として選定し、自治体や石油販売事業者などによる地域の燃料供給計画づくりを支援する方針です。また、自治体向けのガイドラインも策定されました。
塚越:やはり自治体が動いていって、ここは重要だというところには、別の業種との連携を促すとか、今後対応が迫られていくと思います。どうやって作っていくか、人口は減っていきますけれど、進めることは重要です。ユージさんどうでしょう。ガソリンスタンドはどんな場所ですか?
ユージ:僕にとっても車に乗るので欠かせない場所ですが、ガソリンスタンドだったのだろうという跡地が中古車店や駐車場になっているのを見かけると、ガソリンスタンドの数が減っているなと思います。給油が必要な車にとってはまだまだ必要なインフラだと思う。
塚越:やっぱり顔見知りになるじゃないですか。
ユージ:なります!!
塚越:そこは結構大きいのでね、なんとか活用していただきたいですね。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世