村上春樹 “文章を書くコツ”を聞かれて意外な回答「書きたくないのなら、べつに何も書かなくていい」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。10月25日(日)の放送は「村上RADIO~マイ・フェイバリット・ソングズ&リスナーメッセージに答えます6~」をオンエア。
今回は恒例の人気企画第6弾として、普段はなかなか紹介しきれないリスナーからの多彩なメッセージやお悩みに、村上さんがユーモアと独自の人生観を交えて温かく答えました。息子との関係に悩む父親へのアドバイスや文章を書くコツ、失恋時に飲むべきウィスキー、母校・早稲田大学の校歌にまつわるエピソードまで、等身大の語り口で展開。モダネアーズやブラザーズ・フォー、ウィルコといった村上さんならではのこだわりの選曲とともに、軽妙なトークが響き渡る充実したひとときとなりました。
この記事では、中盤1曲について語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
◆Vinicius De Moraes「Carta Ao Tom 74」
ぴょんこさん、東京都にお住まいの57歳女性です。
「本を読むのは好きですが、文章を書くのが難しくて、日記を書きたい、読書メモを書きたいと思い続けて、まだかないません。自分の思いを文字にするコツを教えてください」
うーん、いい文章を書くコツを「はい、いいですよ。どうぞ」と教えてあげられるといいんですが、正直なところ、教えようがないんです。僕は半世紀近くプロとして文章を書いてきて、それなりにものを書くことに上達してきたとは思うんだけど、「最初の頃の作品がいちばん良かった」と言われることも時にあったりして、何がいいのか悪いのか、自分でもよくわかんないですね。
実を言うと、僕は筆無精なんです。簡単な日誌は別にして、きちんとした日記ってつけたこともありません。手紙の返事もよほど必要がない限り、まず書きません。なんかそういうものを書くのが苦痛なんです。書きたくないのなら、というか書く必要がとくにないのなら、べつに何も書かなくていいんじゃないかなと、僕は個人的には思いますが、いかがでしょう。
ヴィニシウスとトッキーニョ、そしてコーラス・グループ「クアルテート・エン・シー」(Vinicius & Toquinho, Quarteto Em Cy)が歌います。「トムへの手紙74」。トムというのはアントニオ・カルロス・ジョビンの愛称です。ジョビンさんは驚異的な手紙魔だったそうで、誰彼構わず手紙を書きまくっていました。それをからかってトッキーニョさんがこの曲を作りました。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~マイ・フェイバリット・ソングズ&リスナーメッセージに答えます6~
放送日時:10月25日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/