音楽評論家・湯川れい子「黒人と白人との融合を果たしていた」マイケル・ジャクソン「Thriller」がもたらした功績

TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。10月8日(木)のお客様は、音楽評論家の湯川れい子さんと、NONA REEVESの西寺郷太さん。お2人の真骨頂でもある“マイケル・ジャクソン”の「Thriller」がもたらした功績について、語り尽くします。

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(左から)西寺郷太さん、湯川れい子さん


◆「Thriller」は起爆剤でした(西寺)

湯川:これは郷太さんも言っていたと思うけど、マイケル・ジャクソンの「Thriller」(スリラー)というアルバムは、世間の評価をある種二分してしまった。本当に高く評価する人と“あんなのはブラックミュージックじゃない”っていう評価があって。

西寺:そうなんですよね。そういうパラダイムシフトというか、考え方が変わったのが、「Thriller」というアルバムだと僕は思います。

湯川:そのなかでキーを握っていたのが、「Beat It」(今夜はビート・イット)で白人ハード・ロックの代表者であるエドワード・ヴァン・ヘイレン(ヴァン・ヘイレンのギタリスト)が参加していたこと。

西寺:エディ自身がオファーを受け入れて。そのオファーをするほうもすごいけど、彼が参加していたということが、いわゆる“白人の奏でる「ロック」”に夢中だった人も、マイケルやブラック・ミュージックに注目する1つのきっかけにもなったと思うし。

湯川:そうなんですよ。音楽のクロスオーバーで、地平を広げたなと。あそこから変わったものって、ものすごくあってね。「Thriller」を最初に聴いたときに“え? これすごい!”って本能的に思ったのは、黒人と白人との融合を果たしていたからなんですね。

西寺:湯川さんが当時ライナーノーツを書かれていて、今は僕が書かせてもらっていますけど、あのライナーノーツに“ギネスの新しい記録を塗り替えるのはマイケルかもしれない”って、当時は湯川さんくらいしかそんなことを言っていなくて。ポール・マッカートニーと歌った「The Girl Is Mine」(ガール・イズ・マイン)とかも。

湯川:すごい歌だったね。

西寺:「Thriller」からのファースト・シングルですよね?

湯川:そう。あのときに“こんな歌を歌って、マイケルはアメリカの中で生きていけるのだろうか”って思ったもん。

西寺:それくらい?

湯川:「The Girl Is Mine」のすごさは、白人と黒人が同等に1人の女の子を巡って取り合って、でも彼女が本当に好きなのは僕(マイケル)なんだよって。

黒人の若い子が言ってしまうの。それがヒットしてしまったことで、“自分たちがマイケルをスターにしてやったんだ”って思っている、潜在的なアメリカのある種の層の人たちがいるのね。

西寺:白人層の男性とかですよね。

湯川:そう、今のブラック・ライヴズ・マターを見ていれば分かるけど、今から39年も前の話なんですよ。

西寺:だからそういう意味では、ポール・マッカートニーも大きなファクターだったというか。「Thriller」にポールが参加して、エドワード・ヴァン・ヘイレンも参加したことで、あらたなダイナミズムが生まれて、その後のヒップホップの爆発へと繋がるブラック・ミュージック優勢の社会になっていった。本当に「Thriller」は起爆剤でしたよね。

◆ビートルズの版権を買うためにキャッシュで1億!

湯川:あそこでマイケルがやったことは、自分たちのライブのステージのプロダクツを何から何まで、全部白人社会に持ってきたというか、取り込んだというか。そこから大きく広がってきたものが、実はものすごく社会的にインパクトがあったんですよね。

西寺:あとはポールから版権を買ったりとか、出版の権利を買ったりすることも学んで。

湯川:そう。だって“これからは不動産じゃないよ。音楽著作権だよ”って言い始めたのはポール・マッカートニーですからね。マイケル・ジャクソンがビートルズの著作権・版権を買うって言ったときに、日本からも実は参加していたのよね。シンコーミュージックの草野昌一さんが、ボストンバッグに1万円札を1億円分くらい詰めて、落札するためにキャッシュで持って行ったんだって。

西寺:それはすごいですね!

湯川:“絶対にこれで勝てる”って最高値を付けたんだけど、負けたんだって。そのときに勝ったのがマイケル。最高値プラス自分のライブ収益の何パーセントかを上乗せするっていう値段を付けたんだって。

西寺:え? 自分のライブの権利みたいなもの?

湯川:うん。ライブの収入。

西寺:いくらでも最高値から足せるように?

湯川:そう。足せるようにしたんだって。それで草野さんは結局負けて、1億円の札束をすごすごと持ち帰ったという話を、ご本人から聞いたんだけどね(笑)。

(TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」10月8日(木)放送より)

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来週の「TOKYO SPEAKEASY」のお客様は……

10月26日(月)日比野克彦さん×平論一郎さん×田口智子さん
10月27日(火)羽田美智子さん×田村孝裕さん
10月28日(水)武尊さん×棚橋弘至さん
10月29日(木)えなりかずきさん×Snow Man 阿部亮平さん

がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!

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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/speakeasy/
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Kan Sano×環ROYが飛び入り参加! henlyworkが東京の街の音をサンプリングした楽曲【音源あり】

11月23日(月・祝)、J-WAVEでは勤労感謝の日を「道や車、ドライバーに感謝をする1日」とし、「感車(かんしゃ)」と「ありが道(とう)」の気持ちを込めて、リアルな展開も織り交ぜながら届ける特別番組『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL JAPAN SMART DRIVER presents THANKS TO LA STRADA』(ナビゲーター:小山薫堂・増井なぎさ)を、9時間にわたりオンエアした。

ここでは、この番組でアーティストのhenlywork、Kan Sano、環ROYが偶然出会ったことをきっかけ生まれた楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』の制作の様子を紹介しよう。

思いもよらない展開から生まれた車を連想させる1曲

番組では、生活の中にあふれる音を収集して音楽を制作するアーティスト・henlyworkが、JAPAN SMART DRIVERのコンセプトカー、ほめるパトカー「ホメパト」に乗って東京の道をドライブしながら、そこにある声や音を採取して番組放送中に1曲の楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』を制作した。

henlyworkは食材を食べる音や調理音からその場で音楽をつくりだすなど料理と音楽の融合を行う「EAT BEAT!」を主宰するなど、即興的なパフォーマンスを得意としつつ、音楽制作の過程にも独自のセンスを発揮する。

東京の街のさまざまな音を採取したhenlywork。スタジオに戻り曲作りに取りかかると、同番組でゲスト出演したKan Sanoとのセッションが実現。henlyworkは突然の共演を喜んだ。

・Kan Sano ゲスト出演の様子
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20201123152009(2020年11月30日28時59分まで)

増井:今日はどんなところで音を拾ってきたんですか?
henlywork:朝スタジオを出てから、三田にある法音寺さんで車のおはらいをしてもらって、そこから渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で雑踏の音を録りました。そこから東京湾のお台場の方に行き、せっかくなので車を降りて海の音を拾ったりして戻ってきました。

さらに、楽曲制作中のhenlyworkに偶然の出会いが。別のスタジオで収録をしていたラッパーの環ROYも飛び入り参加することになり、henlywork、Kan Sano、そして環ROYと、この日でしか生まれないセッションが実現した。

増井:3人のセッションでさらに曲作りって難しくなかったですか?
henlywork:もう何がなんだか分かってないですね(笑)。でも。こうしてゲストで曲作りに入ってもらって感無量です。

完成した楽曲は…

早速、henlyworkは一日を通して完成した『SOUNDS OF LA STRADA』henlywork FEAT. Kan Sano / 環ROY を披露した。

『SOUNDS OF LA STRADA』henlywork FEAT. Kan Sano / 環ROY
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20201123171802(2020年11月30日28時59分まで)

henlyworkが採取した東京の街のざわめきや車のエンジン音やウインカー音、Kan Sanoのキラキラと輝くようなメロディー、そして環ROYの「どこまでも続く道を1、2 と走り出す姿」を連想させるようなラップが混ざり合い生まれた1曲。

聴き終わると、小山は「今作ったわけなんですよね」とその完成度の高さに驚いた。

henlywork:鳥肌が立ちました。みなさんありがとうございます!
小山:すごいクールなんですけど、ちょとコミカルな感じもありましたね。
henlywork:車のエンジン音とかドアを閉める音も混ぜ込みました。
小山:自分の車でもう一度聴きたいですね。

Kan Sanoと環ROYは突然のセッションを終えた感想を語った。

Kan Sano:ものすごい楽しかったです。ライブ感がすごかったですね。人とセッションするのも久々で、しかも生放送。貴重な機会を本当にありがとうございました。
増井:henlyworkさんが採取した東京の音はどうでした?
Kan Sano:僕も外に行ってフィールドレコーディングとかやったこととかあるんですけど、けっこう大変な作業なんです。henlyworkさんが今日一日それをやられてきたということで、最後にこういう曲になってよかったですね。環(ROY)さんの力も大きいですけど。
環ROY:「六本木の高い所にいるな」と思って、夜景を見ながら作りました(笑)。
増井:六本木ヒルズ33階のスタジオから、言葉を曲にのせてもらったわけですね。偶然の出会いとは思えないような3人のコラボレーションでしたね。
henlywork:ヤバいっすね(笑)。

思いもよらないかたちで生まれた楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』。今回の展開に終始興奮を隠せない様子のhenlyworkだった。

環ROYはニューアルバム『Anyways』を、Kan Sanoはニューアルバム『Susanna』をリリース。ぜひチェックしてほしい。

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