村上春樹「秋の夜長にしっとりと味わえるジャズを…」自身のラジオ番組「村上RADIO」で“ジャズの大吟醸”をお届け

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。10月25日(日)の放送は「村上RADIO~秋のジャズ大吟醸~」と題して、村上さんが所有するアナログ・レコードのなかから、まさに“大吟醸”の名にふさわしいジャズをセレクト。村上さんが愛聴してきたレコードや、「大好きなジャズ・ミュージシャン」と語るアーティストの曲など、秋に似合うさまざまなジャズをお届けしました。この記事では、前半2曲についてお話された概要を紹介します。


<オープニングテーマ>
Donald Fagen with Jeff Young & the Youngsters「Madison Time」

こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、今日は「秋のジャズ大吟醸」と銘打って、秋の夜長にしっとりと味わえるジャズをお届けします。というわけで、今夜かけるのは全曲アナログ・レコードになります。

うちにある古いレコードなので、途中で少しぶつぶつ入るかもしれませんが、秋の夜長、お酒のグラスでも傾けながら、骨太なジャズのサウンドを気楽に楽しんでください。いや、べつに無理して飲む必要はありませんけど……。
    


うちにあるレコードは、だいたい7割がジャズ、2割がクラシック、1割がロック、ポピュラー音楽という感じになっています。CDに関しては、かなり事情は変わってきますが、アナログに関しては、そういう比率になります。

その7割のなかから、僕が昔から愛好している曲と演奏を厳選しました。古い時代のものが中心になりますが、気に入っていただけると嬉しいです。

◆Sir Charles Thompson+Coleman Hawkins「It's a Talk Of The Town」
最初はサー・チャールズ・トンプソンというピアニスト。1940年から1950年代に活躍したピアニストで、なかなか趣味の良い黒人ピアニストです。

この人は、チャーリー・パーカーやマイルズ・デイヴィスとも共演しましたが、本来もっと古い時代の音楽をやっていた「中間派」と呼ばれるミュージシャンで、バップ以前の音楽が肌にあっていたみたいです。

スウィング時代に活躍したミュージシャンが、ビバップのあとで、ちょっと古いスタイルの演奏をするのを「中間派」と呼んでいました。コールマン・ホーキンズなんかはそういうタイプのミュージシャン。つまり50年代、60年代というのは、ビバップとかハードバップになっているんだけど、その時代にあっても、古いスタイルのジャズでやっていた人ということですね。このへんの時代の音楽は今では聴く人が少ないみたいです。残念ですけど。

テナーサックスの巨匠コールマン・ホーキンズと共演した素敵なバラード、“It's The Talk Of The Town”「街の噂」を聴いてください。でも「街の噂」になると嫌ですね、最近はSNSとかあるから(笑)。



このレコードは昔からの僕の愛聴盤で、水道橋のジャズ喫茶でアルバイトをしていたころ、よくこれを聴いてました。サー・チャールズ・トンプソンという人は、日本が好きで、日本の女性と結婚して、晩年は日本に住んでいたんです。日本でよく演奏をしていて、長生きして、最近亡くなったんですよね。

◆Stan Getz「Bronx Blues」
次は僕の大好きなスタン・ゲッツです。去年僕は、スタン・ゲッツの伝記を翻訳して出版しました。翻訳はけっこう大変でした。今日かけるのは、スタン・ゲッツがオスカー・ピーターソンのトリオをバックに、自作のブルーズ曲を演奏したものです。スタン・ゲッツは、自分で曲をつくって演奏するということはあんまりないんです。だいたいありものの曲をとてもうまく演奏するというのが持ち味の人なんだけど、これは珍しく自作のブルーズを演奏しています。

タイトルは「ブロンクス・ブルーズ」。彼はニューヨーク市のブロンクス地区で生まれて、貧しい家庭で少年時代を送りました。音楽が少年時代の彼にとってほとんど唯一の喜びだったんです。

僕の訳した本のなかに、このセッションについて回想している一節がありますので紹介します。

「ここには素晴らしい雰囲気が満ちている。ぼくがこれまでおこなった中では、いちばん楽しめる録音だったね。一流のプロと演奏するのは、実に心地の良いものだ。ドラムは入っていないが、そんなものは不要だった。ぜんぜん気にならなかった」

昔なじみのミュージシャンが集まって、気軽にジャムっているような、温かい雰囲気の気楽なセッションだったんですね。ブルーズというのは、ミュージシャンがみんなで集まって、適当にセッションをやっているうちにメロディができちゃったみたいなことが多いから、そういうものかもしれない。

メンバーはピアノがオスカー・ピーターソン、ベースのレイ・ブラウン、ギターのハーブ・エリス。

このブルーズで、最初にスタン・ゲッツがすごくリラックスした、いいソロを吹くんですよ。それからオスカー・ピーターソンのソロが入って、次にベースのレイ・ブラウン。このベースソロがめちゃめちゃかっこいい。派手なことはやってないんだけど、レイ・ブラウンのベースが沁みるんですよね。なかなかこんな演奏はできないです。「おお」と、うなりたくなるようなソロで、スタン・ゲッツはそれを聴いて燃えるんですね。そのあとのゲッツのソロときたら、もう絶妙の一言です。ジャズって、「どう燃えるか」、お互いをインスパイアして高めていく過程がいちばん面白いところなんです。

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聴取期限:2020年11月2日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO~秋のジャズ大吟醸~
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:10月25日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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Kan Sano×環ROYが飛び入り参加! henlyworkが東京の街の音をサンプリングした楽曲【音源あり】

11月23日(月・祝)、J-WAVEでは勤労感謝の日を「道や車、ドライバーに感謝をする1日」とし、「感車(かんしゃ)」と「ありが道(とう)」の気持ちを込めて、リアルな展開も織り交ぜながら届ける特別番組『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL JAPAN SMART DRIVER presents THANKS TO LA STRADA』(ナビゲーター:小山薫堂・増井なぎさ)を、9時間にわたりオンエアした。

ここでは、この番組でアーティストのhenlywork、Kan Sano、環ROYが偶然出会ったことをきっかけ生まれた楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』の制作の様子を紹介しよう。

思いもよらない展開から生まれた車を連想させる1曲

番組では、生活の中にあふれる音を収集して音楽を制作するアーティスト・henlyworkが、JAPAN SMART DRIVERのコンセプトカー、ほめるパトカー「ホメパト」に乗って東京の道をドライブしながら、そこにある声や音を採取して番組放送中に1曲の楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』を制作した。

henlyworkは食材を食べる音や調理音からその場で音楽をつくりだすなど料理と音楽の融合を行う「EAT BEAT!」を主宰するなど、即興的なパフォーマンスを得意としつつ、音楽制作の過程にも独自のセンスを発揮する。

東京の街のさまざまな音を採取したhenlywork。スタジオに戻り曲作りに取りかかると、同番組でゲスト出演したKan Sanoとのセッションが実現。henlyworkは突然の共演を喜んだ。

・Kan Sano ゲスト出演の様子
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20201123152009(2020年11月30日28時59分まで)

増井:今日はどんなところで音を拾ってきたんですか?
henlywork:朝スタジオを出てから、三田にある法音寺さんで車のおはらいをしてもらって、そこから渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で雑踏の音を録りました。そこから東京湾のお台場の方に行き、せっかくなので車を降りて海の音を拾ったりして戻ってきました。

さらに、楽曲制作中のhenlyworkに偶然の出会いが。別のスタジオで収録をしていたラッパーの環ROYも飛び入り参加することになり、henlywork、Kan Sano、そして環ROYと、この日でしか生まれないセッションが実現した。

増井:3人のセッションでさらに曲作りって難しくなかったですか?
henlywork:もう何がなんだか分かってないですね(笑)。でも。こうしてゲストで曲作りに入ってもらって感無量です。

完成した楽曲は…

早速、henlyworkは一日を通して完成した『SOUNDS OF LA STRADA』henlywork FEAT. Kan Sano / 環ROY を披露した。

『SOUNDS OF LA STRADA』henlywork FEAT. Kan Sano / 環ROY
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20201123171802(2020年11月30日28時59分まで)

henlyworkが採取した東京の街のざわめきや車のエンジン音やウインカー音、Kan Sanoのキラキラと輝くようなメロディー、そして環ROYの「どこまでも続く道を1、2 と走り出す姿」を連想させるようなラップが混ざり合い生まれた1曲。

聴き終わると、小山は「今作ったわけなんですよね」とその完成度の高さに驚いた。

henlywork:鳥肌が立ちました。みなさんありがとうございます!
小山:すごいクールなんですけど、ちょとコミカルな感じもありましたね。
henlywork:車のエンジン音とかドアを閉める音も混ぜ込みました。
小山:自分の車でもう一度聴きたいですね。

Kan Sanoと環ROYは突然のセッションを終えた感想を語った。

Kan Sano:ものすごい楽しかったです。ライブ感がすごかったですね。人とセッションするのも久々で、しかも生放送。貴重な機会を本当にありがとうございました。
増井:henlyworkさんが採取した東京の音はどうでした?
Kan Sano:僕も外に行ってフィールドレコーディングとかやったこととかあるんですけど、けっこう大変な作業なんです。henlyworkさんが今日一日それをやられてきたということで、最後にこういう曲になってよかったですね。環(ROY)さんの力も大きいですけど。
環ROY:「六本木の高い所にいるな」と思って、夜景を見ながら作りました(笑)。
増井:六本木ヒルズ33階のスタジオから、言葉を曲にのせてもらったわけですね。偶然の出会いとは思えないような3人のコラボレーションでしたね。
henlywork:ヤバいっすね(笑)。

思いもよらないかたちで生まれた楽曲『SOUNDS OF LA STRADA』。今回の展開に終始興奮を隠せない様子のhenlyworkだった。

環ROYはニューアルバム『Anyways』を、Kan Sanoはニューアルバム『Susanna』をリリース。ぜひチェックしてほしい。

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