村上春樹「ダンキンドーナツが無性に食べたくなります。食べたいなあ」ボストン在住当時、毎日のように通っていた思い出を語る

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。11月27日(日)の放送は「村上RADIO~ホーギー・カーマイケルをご存じですか?~」をオンエア。名曲「ジョージア・オン・マイ・マインド(我が心のジョージア)」「スターダスト」などを生み出したアメリカのソングライター、ホーギー・カーマイケルの音楽と彼の魅力を、エピソードを交えながら紹介していきました。
この記事では、その一部の内容をお届けします。



◆Mildred Bailey「Rockin' Chair」
僕がカーマイケルの音楽を好きなのは、たぶんあんまりがつがつしたところがないからじゃないかと思います。決して裕福な育ちではないんですけど、中西部の小さな町の出身だからかもしれないけど、彼の作る曲にはどこかのんびりした、リラックスした雰囲気が漂っています。当時のソングライターはニューヨークの下町育ちのユダヤ系の人が多かったから、どことなく毛色が違うんですね。

次は、これも名曲「ロッキン・チェア」を聴いてください。「ロッキン・チェア」といえばなんと言ってもこの人、ミルドレッド・ベイリーです。ミルドレッドはこの曲を得意な持ち歌として歌い続けて、「ザ・ロッキン・チェア・レイディー」と呼ばれました。

カーマイケルはこの曲をインディアナ大学の学生時代、行きつけの酒場のアップライトピアノに向かって作曲したということです。ミルドレッド・ベイリーは何度もこの曲を吹き込んでますけど、僕のいちばん好きなのは、このザ・デルタ・リズム・ボーイズと共演したものです。とてもリラックスした歌唱です。聴いてみてください。The Rockin' Chair Lady sings「Rockin' Chair」。



アメリカには「ダンキン」というドーナッツ・チェーンがありまして、アメリカ東部、とくにニューイングランド地方を中心に展開しているんだけど、僕はここのファンでして、ボストンに住んでいるときは、毎日のようにダンキン・ドーナッツに寄って、コーヒーを飲み、プレーンドーナッツを食べていました。ここのコーヒー、あまりおいしくないですけど、ドーナッツに不思議に合います。

ボストンのフェンウェイ球場にこのダンキン・ドーナッツの大きな看板がありまして、グリーン・モンスターの上あたりなんですが、テレビの野球中継でこの看板が映るたびに、ドーナッツが無性に食べたくなります。食べたいなあ。

◆Jan & Dean「Heart And Soul」
次は「ハート・アンド・ソウル」、あまりカーマイケルらしくないというか、シンプルな構成の、かなりすかっと明るい歌です。ジャンとディーンの歌で聴いてください。1938年に作られた古い曲ですが、彼らは明るくドゥーワップ風にアレンジして歌い、1961年にマイナー・ヒットさせました。

<収録中のつぶやき>
これはアメリカでは子どもがピアノで弾く曲の定番になっているんです。和音3つくらいのブロックコードで簡単だからね。

◆James Taylor「The Nearness Of You」
次は美しいラブソング、「The Nearness Of You(あなたのそばに)」です。カーマイケルはこの曲を1935年に映画『真夏の夜の夢』のために書いたんですが、プロデューサーに却下されて、ボツになりました。ひどいことしますよね。こんなに素敵な曲なのにね。

でも5年後にグレン・ミラーが取り上げて、そのバージョンがヒットして、いまでは押しも押されぬスタンダード・ソングになりました。カーマイケルの書いた曲の中では、最も多くのミュージシャンによって取り上げられた曲のひとつになっています。
とくにジャズ畑の人たちが好む曲なんだけど、今日はジェームズ・テイラーさんが歌います。なかなかいいんです、これ。

<収録中のつぶやき>
(カーマイケルの魅力は)やっぱり人柄だと思う。人柄が曲に出ているんですよね。きっといい人だったと僕は想像するんだけど。ある種の独特の温かみがあるんですよね。聴いていて、それが伝わってくる。

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限:2022年12月5日(月)AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:村上RADIO ~ホーギー・カーマイケルをご存じですか?~
放送日時:11月27日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
村上RADIO
放送局:TOKYO FM
放送日時:毎週日曜 19時00分~19時55分

※該当回の聴取期間は終了しました。

タグ

青木愛 “お金をいくら積まれても現役当時には戻りたくない”発言の深意とは?

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」(毎週土曜 7:00~7:25)。11月26日(土)の放送は、元アーティスティックスイミング日本代表の青木愛(あおき・あい)さんをゲストに迎え、お届けしました。


青木愛さん(左)とパーソナリティの丸山茂樹



◆「幾ら積まれても、(現役当時に)戻りたくない」発言の深意とは?

丸山:まずは簡単に、青木さんのプロフィール紹介を。8歳のときに当時やっていた水泳からシンクロナイズドスイミング(現名称:アーティスティックスイミング)に転向し、小学4年のときにジュニア五輪で優勝。2006年ワールドカップに出場し、チーム種目で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックでは、日本代表にチーム最年少で選出され、5位入賞。同大会を最後に現役引退し、現在はアーティスティックスイミングの指導とともに、モデル、タレント、リポーターなど幅広く活躍されています。水泳を始めて、シンクロに転向しようと思ったきっかけは?

青木:私は京都出身で、自分の家から一番近いスイミングスクールにベビースイミングがあったので、母が親子の健康のためにと0歳10ヵ月からベビースイミングに入れて。そのスイミングスクールが、たまたま京都で唯一シンクロコースのあるスクールだったんですよ。

丸山:もしそのスクールになかったらやっていなかったかもしれない?

青木:そうですね。違うところに住んでいて、近所のスイミングスクールに行っていたらシンクロコースがないからやっていないと思います。ずっと水泳を続けていたんですけど、幼稚園ぐらいのときに奥野史子(おくの・ふみこ)さんがそのスイミングスクールの出身でよく練習に来られていたんです。それを母と見て「あの人、すごい選手なんやで」って聞いて、奥野さんの泳ぎを見て“めっちゃ、綺麗やなぁ”って思って。あと、シンクロコースに通っているお姉さんたちが、よく一緒に遊んでくれてすごくやさしかったので。

丸山:なるほど。それでシンクロコースに転向したと。0歳の記憶にない頃からやっていたら、水泳が好きも嫌いもなく、日常にあったということですよね。

青木:そうですね。だから、水が怖いと思ったこともなかったですし、水のなかにいるのが当たり前みたいな感じでした。

丸山:青木さんは身長が高いですから、小中学生ぐらいのときに、例えばバレーボールやバスケットボールなど、ほかの競技をやりたいと思ったことはなかったですか?

青木:まったくなかったです。シンクロの練習が厳しすぎて、正直嫌になったことはありますけど、かといってほかの競技をやりたいというのはまったくなくて。

丸山:へぇ~、そうなんだ。

青木:体育の授業でいろいろな競技をやるじゃないですか。それは楽しかったですけど、やっぱりシンクロが好きだったんだと思います。

丸山:途中でやめたくないという思いがあるなか、「(現役)当時に絶対戻りたくない」というコメントがあったようですけど、相当練習が厳しかったんですか?

青木:例えば、高校生のときって、部活動が厳しいとかあるじゃないですか。私は高校時代にクラブチームでやっていたんですけど、テレビ番組のトークテーマで「(お金を)幾ら積まれたら、当時に戻る?」と聞かれて、「幾ら積まれても、戻りたくない」って言ったんです。

丸山:なるほど。

青木:やっぱりそのときにやり切っているし、(練習は)つらいから。例えば、お金をいただいて、ただ高校生に戻って違うことをしてみるのならわかるんですけど、またあの当時の生活をとなると「やるかいっ!」って(笑)。

丸山:「やるかいっ!」ってね(笑)。

青木:今、普通に生活できているから、「別に何十億積まれても、絶対に(シンクロは)やらん!」みたいな。

丸山:中学のときに、“鬼コーチ”と言われる井村雅代さんと会ったことも大きな起点になったと思うんですけど、当時かなり厳しかったから「何十億積まれても、絶対に戻らない」と(笑)。それは話しづらいですよね(笑)?

青木:中学2年生のときに井村シンクロクラブ(現:井村アーティスティックスイミングクラブ)に移籍したんですけど、当時、井村先生は日本代表監督をされていたので、井村シンクロクラブでチームを見る担当を持っていなかったんです。もちろん何度も教えてもらったことはあったんですけど、変な話、神様みたいな存在なんですよね。だから今でも怖いです(苦笑)。

◆アーティスティックスイミングの魅力とは?

丸山:オリンピックに出場したいという思いはいつ頃から芽生えたんですか?

青木:シンクロを始めたときから“オリンピックに出る”と思っていました。

丸山:かっこいい~!

青木:奥野史子さんを見て“シンクロをやりたい”と思ったのと、奥野さんがオリンピック選手だったのもあって、競技を始めたときは“(オリンピックに)出れるもんや”と思っていたんですよね(笑)。でも、高校生になってジュニアの日本代表に入るなどしていくにつれて、オリンピックの重みを直に感じるようになって……始めた当初の“オリンピックに出る”というときからは変わりましたね。

丸山:なるほど。

青木:しかも“オリンピックに出る”イコール、いつからか“メダルを獲って当たり前”というのがついてくる。シンクロは「日本のお家芸」と言われていましたから。私たちの代でメダルは逃してしまいましたけど、歴代の先輩方はずっとメダルを獲ってきていたので。始めた当初からは(オリンピックに対する)感じ方が変わりましたね。

丸山:そうですよね。あらためて、アーティスティックスイミングの魅力とは?

青木:わかんないです(笑)。とりあえず、やっていて楽しいんですよ。めっちゃ怒られるし、しんどいし、練習はめっちゃ嫌いでしたけど、何かはわからないけどやっぱり大好きで。8人で息を合わせて、4分間完璧に泳ぎ切れたときの気持ち良さは、ほかには代えがたいものがありますね。

あと、シンクロのコーチって大体厳しくて、やさしいコーチって基本いないんですよ。そんなコーチが4分間泳ぎ切ってその演技が良かったときに褒めてくれるのがすごくうれしい。

丸山:そっかぁ~。

青木:メダルを獲るよりもうれしいですね。

次回12月3日(土)の放送も、引き続き青木さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。

----------------------------------------------------
▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2022年12月4日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒ 詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/

Facebook

ページトップへ