「WBC」で見せた大谷翔平の意外な一面とは?WBCブルペン捕手・鶴岡慎也が語る「ガッツポーズをするような選手じゃなかったんですよ」

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。9月16日(土)の放送は、侍ジャパンでブルペンキャッチャーをつとめた、元プロ野球選手の鶴岡慎也(つるおか・しんや)さんへのインタビューをお届けしました。


鶴岡慎也さん


鶴岡さんは、1981年生まれ鹿児島県出身の42歳。鹿児島・樟南(しょうなん)高校で捕手として甲子園に2度出場。社会人野球を経て、2003年にドラフト8位で日本ハムファイターズ(現:北海道日本ハムファイターズ)に入団し、4度のリーグ優勝に貢献。2014年にFAで福岡ソフトバンクホークス に移籍し、日本一に3度輝きました。

2018年から日本ハムに復帰し、2019年シーズンからは一軍バッテリーコーチも兼任。日本ハム時代はダルビッシュ有選手、斎藤佑樹選手、大谷翔平選手らとバッテリーを組み、2021年を最後に現役引退。現在は野球解説者、そして「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(第5回ワールド・ベースボール・クラシック)」では、侍ジャパンのブルペンキャッチャーをつとめました。

◆侍ジャパンを1つにしたダルビッシュ有の功績

――栗山英樹監督から、どのようにブルペンキャッチャーへのオファーがあったのですか?

鶴岡:栗山さんがWBCの監督を引き受けるとなったときに、もちろんバッターも優秀な選手が多いのですが、日本のピッチャーは世界的にレベルが高いので、そのピッチャーを軸にして戦っていこう、“ピッチャーで世界一になろう”と考えたみたいなんです。

そのなかで、ブルペンで待機するピッチャー、調整する先発ピッチャーがしっかり気持ちよく投げられるように、ブルペンという場所はすごく大事だと監督が考えたらしくて、そこで誰がそのブルペンキャッチャーをやるかとなったときに、僕がたまたま引退して体も空いてたのもあり、お声がけをいただきました。

――鶴岡さんが、現役時代に「雲の上の後輩」としているダルビッシュ有投手について、侍ジャパンではどんな存在でしたか?

鶴岡:キャンプ初日から合流してくれて、侍ジャパンを1つにまとめてくれる……そういう空気を作ってくれました。やっぱり、いろんなチームの主力が集まってきて、それを1つのチームにまとめるのには時間がかかると思うんですけど、ダルビッシュ投手が来てくれたおかげで、大会前にはすでに強固なチームになりましたので、彼の功績は大きかったです。

その後に、大谷翔平選手やラーズ・ヌートバー選手、吉田正尚選手が合流してきたのですが、MLB(メジャーリーグベースボール)の選手たちも合流してすぐにチームに溶け込める雰囲気をダルビッシュ投手が作ってくれたと思っています。

──チームメイトに対して、ダルビッシュ投手はどのように接していましたか?

鶴岡:若い選手たちには、ダルビッシュ投手に会う前からリスペクトの気持ちがあったと思うんです。そんななか、ダルビッシュ投手は自ら後輩たちに声をかけたり、いろんなアドバイスを積極的にしてくれたんです。

だから、後輩たちは“ダルビッシュさんって、ものすごく話しやすい人だし、素晴らしい人間だな”と全員が感じたと思いますし、そのおかげで、チームとして1つになるのも早かったなと感じました。

──そして、現役時代に鶴岡さんがバッテリーを組み、プロ初勝利をアシストした大谷選手との再会もありました。

鶴岡:あの大谷翔平ですよ! 緊張しないわけがないですよね(笑)。

僕も皆さんと一緒で、(大谷選手は)テレビの向こう側の人だし、世界的なスーパースターなので、久しぶりに会ったときはすごく緊張しました。(今となっては)ものすごく距離がある存在だと思っていたんですけど、彼のほうから気さくに話しかけてくれたので、距離が一気に縮まりましたし、人間・大谷翔平というのは(日本ハム時代と)全然変わっていなかった。

本当に純粋で素晴らしい人間で、“やっぱり、(大谷翔平って)そうだったよな”と思わせてくれるような、うれしい思いが湧き上がってきましたね。

あと、栗山さんも言っていたのですが、バッティング練習で(打球をスタンドまで)飛ばしたときに、ガッツポーズをしていたんですけど、あんなことをするような選手じゃなかったんですよ。

彼自身が意識して、侍ジャパンの雰囲気を盛り上げていく、機運を上げていく、そして“日本中を侍ジャパン・WBCに注目を向けさせる”という、彼なりの考えがあっての行動だったんじゃないかなと思います。“今考えてみたら”ですけど。

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9月16日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年9月24日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/
SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送局:TOKYO FM
放送日時:2023年9月16日 土曜日 10時00分~10時50分

※該当回の聴取期間は終了しました。

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約11人に1人が「体外受精」…不妊治療に欠かせないスペシャリスト「胚培養士(エンブリオロジスト)」とは

1週間のニュースをまとめてお伝えしているTOKYO FMのラジオ番組「TOKYO NEWS RADIO~LIFE~」(毎週土曜 6:00~6:55)。9月16日(土)放送の特別番組「胚培養士~エンブリオロジスト」では、知られざる“胚培養士の世界”に迫りました。


「浅田レディース品川クリニック」スタッフの方々と


◆11人に1人が体外受精で生を授かる時代

2021年の調査では、1年で約6万9,800人が体外受精で生まれており、生まれてきた子どもの約11人に1人が体外受精で生まれている計算になります。

この体外受精をはじめとした不妊治療には、医師と並んで重要な役割を果たす胚培養士(はいばいようし/エンブリオロジスト)の存在が欠かせません。胚培養士とは、不妊治療における人工授精や体外受精のための卵子と精子、そして受精卵を取り扱うスペシャリストのことで、不妊治療をするカップルから預かった卵子と精子を受精させ、女性の体内に移植する直前まで、さまざまなサポートをおこないます。

不妊治療は、2022年4月から保険の適用対象となりました。そこで番組では、知られざる胚培養士の仕事現場を取材。胚培養士の技術と知識、仕事への想いを現役の胚培養士から伺いました。


「浅田レディース品川クリニック」培養室の様子


◆卵子と精子に夫婦の“願い”が詰まっている

東京都品川区にある不妊治療専門のクリニック「浅田レディース品川クリニック」の培養室では、培養に使う機材・機械・パソコン以外は何もない、清潔な空間が保たれています。また、培養室では卵胞液や培養液の温度が37度で一定になるよう、器具の温度調整も管理されています。

というのも、卵子と受精卵は本来、女性の体内にあるもの。そのため、短時間でも外に出す以上、できる限り温度変化などでストレスをかけないために設備の温度が保たれています。

胚培養士が培養室でおこなう業務は多岐に渡ります。そのなかでも、この仕事を象徴するのが、顕微鏡を覗き、スポイト状の針を使って卵子に精子を直接注入する“顕微授精”です。胚培養士は、たくさんの精子のなかから“運動性”と“精子の形態”を見て正常性の高いものを選別。その精子をスポイト状の針で吸い込み、卵子に慎重に刺して精子を注入します。

ちなみに、卵子の直径は約100マイクロメートル。髪の毛の太さが50マイクロメートルと言われているため、顕微授精では針の操作に極めて繊細かつ慎重な作業が求められます。

不妊治療において、1人の女性から卵子を採取できるのは月に一度だけ。一度の採卵で平均5~10個の卵子がとれるといわれていますが、もっと少ないケースもあります。また、女性にとって採卵は肉体的にも精神的にも負担が大きく、長くかかる人では数年もの期間を不妊治療に費やしている場合もあります。

胚培養士歴20年以上でクリニックの副院長でもある福永憲隆さんは、作業中は常に“怖さ”と向き合っていると語ります。「患者さんの気持ちがこの卵子1個に詰まっているので、ミスは絶対にできません。“怖さ”を知っているからこそ慎重になるし、目の前にある卵子に対して“ミスなく確実にできるように……”と思いながら作業しています」

ただ、顕微授精がうまくいったとしても、卵子と精子そのものに力がないと受精には至りません。胚培養士は受精卵を培養器(インキュベーター)という機械で培養し、経過を見守ります。



◆胚培養士を国家資格に

卵子や受精卵を凍結する作業、保存、融解作業など胚培養士の仕事は多岐にわたり、不妊治療の保険適用によって胚培養士のニーズはさらに高まっています。一方で、福永さんは「胚培養士にはクリアすべき課題がある」と指摘します。

というのも、胚培養士が実践的な教育を受けられる機関がほとんどなく、就職したクリニック内でしか学ぶ機会を得ることができません。そのため、クリニックで適した教育ができない場合、患者に影響が出ていくことが予想されます。

かつて日本は、医者が顕微授精や受精卵の培養を受け持っていましたが、不妊治療のニーズとともに「専門の技術を持つ人が必要だ」という声が高まり、日本卵子学会、日本臨床エンブリオロジスト学会が独自の資格制度を整備し、現在に至ります。

つまり、胚培養士ではない医療スタッフが受精卵などを扱っても法律的には問題はないのですが、2022年から不妊治療が保険適用となり、公的な医療保険の対象になった今、国のお墨付き・後ろ盾として、胚培養士を国家資格にすることが社会の信頼・安心につながるのではないかと議論されています。

手島は、今回の取材を通して“ものを言わない細胞”と対話しながら、真摯に向き合っている姿が印象的だったと言い、「福永さんは『あくまで私たちは、(受精する)その前までをお手伝いするお仕事なので、最後は卵の力にお任せするしかないんです』とおっしゃっていました。しかし、昔はこんな技術自体がなく、子どもが自然にできなかったら、諦めなければならなかったんですよね。そう考えると“子どもを授かりたい”と思っているカップルにとって、胚培養士は命を手繰り寄せるコウノトリのような存在ではないかと感じました」と振り返りました。

不妊治療件数が世界でもっとも多く、もっとも妊娠率が低い日本で奮闘する胚培養士。名前のない細胞に名前が付く日を目指して、日々“100分の1ミリの世界”と向き合っています。

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9月16日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年9月24日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:TOKYO NEWS RADIO~LIFE~特別番組「胚培養士〜エンブリオロジスト」
放送エリア:TOKYO FM
放送日時:毎週土曜6:00~6:55
パーソナリティ:村田 睦、手島千尋

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