佐野元春ニューアルバムリリース!「曲を書くことは、自分を知ることだと思ってる」

佐野元春

10月7日のInterFM897『The Dave Fromm Show』は、この秋、新作「或る秋の日」を発表した歌手の佐野元春さんをゲストに迎えてお送りしました。聞き手は、Dave Frommとジョー横溝。

映画で例えるなら自分の役割はカメラマン、すごく冷静です

ジョー横溝(以下、ジョー):10代の頃から佐野さんの音楽はたくさん聴いてきてて。僕は佐野さんのラブソングが大好きなんですよ。彼女とかバルセラの夜とか。今回のアルバムはラブソング集みたいな感じじゃないですか。今回はなんでそんなアルバムにしようと思ったんですか?

佐野元春(以下、佐野):ここ10数年はコヨーテバンドのアルバムを出してきてたんですよ。ビートの効いたロックンロールなアルバムを。で、今回はバンドから離れてソロのアルバムにしようと思いました。そこでのテーマがラブソングでした。

Dave Fromm(以下、Dave):なんでラブソングにしたんですか?恋してるんですか、最近(笑)。

佐野:シンガーソングライターにとって興味のある題材って古今東西たくさんあるんですけど、そのうちラブっていうのは、掘っても掘っても掘りきれない深いテーマだと思うんですよね。

Dave:佐野さんも昔の彼女とかイメージして歌を作るんですか?

佐野:僕は作家なのでイマジネーションが豊かなんですよね。The Beach BoysのBrian Wilsonってサーフィンできないんですよ。できないけれど素敵なサーフィンソングを書いてる。彼はすごい作家なんだよね。サーフィンができないからよりサーファーたちの気持ちや取り巻く物語を歌にできると思うんですよ。それと同じように、僕も作家です。

Dave:Brian Wilsonの「Good Viberations」って曲、あれはもともと自分の犬に書いた曲みたいなのを聞いたことがあって。それでレコード会社の人が「犬じゃなくて女性にしてくれませんか」みたいな話ありましたよね。佐野さんはペットにラブソングとかは?

佐野:ここでそれ言っちゃうと「え、その曲がそうなんですか?!」って話になっちゃう(笑) 。ファンから苦情が来ますから。

ジョー:じゃあ、作家としての想像力をフル回転させて今回のアルバムを?

佐野:10代の頃から周りを観察するのが好きで、15歳ぐらいから曲を書き始めたんですよ。先輩の車に乗せられて鎌倉とか海の方に行くんですけど、そうすると自分はいつもバックシートにいて。前には先輩と先輩のガールフレンドが2人で乗っていて。いい感じで話したりとかしてるのを後ろで見てるわけですよ。そういう情景を思い浮かべながら初期の何曲かは書きました。

ジョー:僕らだったら頭ひっぱたいて終わりですよ(笑) 。イチャイチャしてんじゃねーよ!って。でもそうはいっても多少は実体験もあるでしょう?

佐野:実体験はトリガーですよ。誰もが楽しんでくれるようなストーリーにしてます。

ジョー:なるほど。自分が書いたストーリーでハッとするような言葉も出てくるんじゃないですか?

佐野:実際はすごく冷静です。映画でいうと監督とカメラマンと演者がいるじゃないですか。自分の役割はカメラマンだと思ってます。どんなに泣いたり叫んでる役者がいてもカメラをじっと追っているようなそんな役割だと思っています。

曲作りの時は、犬の視点で書くと上手くいきます

佐野:僕がデビューした時に10代だったファンの人たちも今は40代になって、その人たちの心情とか気持ちとかに寄り添うようにって書いてました。代弁してる気は無いけどロックンロールは10代のやるせない気持ちとかを歌ってて、けれどそのあとにも音楽はすごく発展してて。もちろん今もロックンロールは10代のものだと思ってるけど、メインストリームの音楽を聴いてみるとやっぱり子ども達は傷ついてるなと思う。同時に傷ついてるのは子どもmだけじゃな意図も思ったんだよね。だからそこに寄り添うような曲がFMから流れてきてもいいんじゃないかなと思ってます。

ジョー:レコーディングは、今回はコヨーテバンドではなく?

佐野:今回のアルバムはここ数年とりためておいた曲ですね。曲を書いている中で個人的な曲が出てくるので、今回はそれをまとめたようなアルバムになってます。

ジョー:レコーディングのメンバーは?

佐野:コヨーテバンドのメンバーなんですよ。今回はバンドとしてではなくミュージシャンとして僕の言葉音楽に沿ったすごくいい抑えた演奏をしてくれています。

ジョー:バンドの音じゃなく歌ありきの演奏を。今回佐野さんが個人的なアルバムを作って思ったことはありますか?

佐野:ソングライティングをするってことは自分を知るってことだと思うんですよね。普段は自分を知るってことはしない。でも曲を書いていると、曲ができた時に自分が客観的に見えてくる。なので曲を書くのは自分を知ることだと思っています。同時に自分を励ましたり慰めたりということもあるかもしれない。

ジョー:改めて自分を知ることで見えてきた佐野元春っていうのはどんなパーソナルなんですか?

佐野:犬の視点かな(笑)。

ジョー・Dave:犬の視点!?

佐野:曲を書く時に人間の視点で書くと、詰まっちゃうというか当たり前な視点になってしまうんですけど、ちょっと下げて犬の視点で見ていくといろんなことが見えてくるんですよ。

ジョー:へえええ!

Dave:佐野さんは来年40周年を迎えるわけですけど、40年は長いですか、短いですか?

佐野:あっという間ですよね。最初のアルバムのレコーディングスタジオのことを今でもしっかり覚えています。

Dave:ちなみにスタジオはどこだったんですか?

佐野:フリーダムスタジオっていう新大久保のスタジオで。まだあるんですけど。

ジョー:具体的にどんなことを覚えてるんですか?

佐野:スタジオの中の景色とか。どこに火災報知器があってとか(笑)。

Dave:当時はアナログの16チャンネルとかで?

佐野:そうですね。16チャンネル。24出始めたかな?って頃で。自分のアルバムは16チャンネルのアナログでした。

Dave:そうだったんですか。

佐野:最初に録音したのが1980年ですから。80年代中盤からデジタルが出てきて革命が起きるんですよね。だからレコーディング自体も自分の始めた頃から随分変わってきましたね。

ジョー:そうですか。来年は色々プランがあるわけですよね?

佐野:40周年だからというわけじゃないですけど、自分のやってきたことを多くのファンに知ってもらって楽しんでもらいたいというのはありますね。ファンがいてくれたからずっと続けられたわけなので。アニバーサリーっていうのは僕がお祝いしてもらう年というよりは僕がファンのみんなをお祝いしてあげたいという年ですね。

Dave:40年間もやってるとどこかで疲れたなって時期がありますか?

佐野:そうですね。今まで振り返ってみると3つバンドを持ってるんですよね。バンドを作るときは嬉しいんだけれど解散の時は落ち込みますよね。バンドがいなくなるとどんな曲を書いてどういう風に歌ったらいいかわからなくなるわけですから、しばらくブランクがある。そのうちに新しい仲間ができてまたバンドをスタートするって感じですね。だから落ちこむという感じがあんまりないけれど、バンドで区切りがついた時にいろんなことを考えます。今もコヨーテバンド10年くらいやってて今がピークに達してますけど、こういう時に多くの曲を作り多くのライブを見てもらいたいって気持ちです。

ジョー:佐野さんはソングライティングのスランプとかはないんですか?

佐野:ここ14年はないですね。どんどんレコード作りたい。だから今回のツアーでもアルバムに入ってない曲をやりたいと思ってます。

ジョー:ニューアルバム発売ということでラジオを聴いてくださってる皆さんに何かメッセージありますか?

佐野:すでに来年、コヨーテバンドでの新しいアルバムを録音していますから、今回のアルバムといってももう気持ちはそっちにいっちゃってるんですよね。でも今回は、バンドではなくソロのソングライターとしての今日がたくさん入っているので楽しんでくれたらいいなと思っています。

The Dave Fromm Show
放送局:interfm
放送日時:毎週月曜~金曜 16時00分~19時00分
出演者:Dave Fromm、ジョー横溝
番組ホームページ
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公式YouTube

ハッシュタグ:#DFS897
メール:dave@interfm.jp

※該当回の聴取期間は終了しました。

上野大樹 曲作りは「今しかない熱量みたいなものを書く」

TOKAI RADIO『OH! MY CHANNEL!』(月~金13:00~16:00 DJ大前りょうすけ)4月17日(水)の放送に、シンガーソングライターの上野大樹がゲスト出演した。

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