米トランプ次期政権とのパイプ役キーパーソンは「麻生氏」

政策アナリストの石川和男が11月30日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。来年1月に発足する米トランプ政権の行方と日本との関りわりについて、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司氏と議論した。

ホワイトハウス

11月5日に投開票された米大統領選では、共和党候補のトランプ前大統領が勝利した。接戦が予想されていた激戦7州で全勝したほか、全米で獲得した選挙人の数は初当選した2016年を上回った。さらに、トランプ氏が獲得した総得票数はハリス氏を超え、議会上下両院とも共和党が多数派を占める「トリプルレッド」となった。

今回の選挙結果について、番組にゲスト出演したキヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司氏は「圧勝という言葉がぴったり」と述べ、直前まで日本メディアの多くがハリス氏優勢を伝えていたことに関し「専門家の人たちが、ちゃんと取材をしていない。一次情報へあたらずに、ニューヨーク・タイムズやCNNなどいわゆる米メジャーメディアあたりしか見ていない。それだけを見ていると、たしかにトランプは駄目だ、ハリス優勢というように見えてしまう」と指摘。峯村氏自身は、両陣営の関係者に直接取材する努力を重ねていたという。それによると、激戦7州のなかでも重要なペンシルベニア州で支持離れが進んでいたほか、ホワイトハウスのスタッフが「ハリスさんと合わない」と何人も辞めていた事実をキャッチ。峯村氏は「これはもめるんじゃないかなという仮説で聞いていたら、案の定1か月前ぐらいから陣営の不協和音が聞こえてきて、投開票の3日から4日前には党内で責任のなすりつけ合いが始まったという話が聞こえてきた」と明かした。

一方のトランプ陣営は、言動が不安視されていたバンス副大統領候補が思いのほか安定した選挙戦を展開したことに加え、ハリス氏のマクドナルド勤務歴詐称や自身を応援していたコメディアンの失言騒動などを逆手にとったパフォーマンスなどが、終盤の追い上げに貢献したと分析。トランプ氏は前回の政権担当時に選挙で掲げた公約を次々と実現しており「公約を守ってくれる大統領がいるってことに初めて気づかせてくれたのがトランプだ」という強固な支持者に支えられたと語った。

そのうえで、次期トランプ政権で注目される政策について峯村氏は法人税の再引き下げや違法移民の強制送還などを挙げたほか「同盟国に厳しい」と指摘。石破政権がトランプ新政権と良好な関係を築けるかについては「(2016年11月トランプ氏大統領就任前の)ニューヨーク安倍・トランプ会談をセッティングした外務省、ワシントンの優秀な大使館員たちとトランプファミリーのつながりは、まだ生きている。また、外務省の北米局には今、最高のチームがいる。さらに麻生自民党最高顧問にも期待している。今年4月、麻生氏がトランプ氏のもとを訪れた際の会談は、とてもよいものだったと周辺関係者から聞いている。申し出はトランプ氏側からあり、安倍氏と関係の深かった麻生氏を指名してきた。麻生氏はひとつのアセットであり、アメリカに食い込んでいる外務省や経産省などとともにフル動員すれば有効だ」と指摘した。

石川氏は「我々は日本人。アメリカのトップが代わってアメリカがどうなるかではなく、それをだしに使ってどう日本も変わるか。その賢さを石破政権は見せてくれるのか、国民としてウォッチしていくべき」と締めくくった。

10年後のメディアを考える

目まぐるしいスピードで変化しているメディアの在り方。12月10日「長野智子アップデート(文化放送)」では、元日刊スポーツ編集局長の久保勇人が10年後のメディアはどうなっていくのか問題提起した。

久保「1つは接触媒体によって分断が起きている状況があると思います。若者はテレビも見ないし、ラジオも聴かない。SNSと動画の視聴に時間を費やしています。一方、我々のような中高年はSNSにも接しているけれども新聞が発信した情報であるとか、テレビのニュースを信用している。そこで接触媒体によって情報の分断が起きているのではないでしょうか。それと数年前から言われていることですけれども【アテンションエコノミー】っていうのが全盛期になっている。日本語に直すと【関心経済】。つまり情報の価値とか内容よりも、いかに人々の注目を集めるか、それ自体が価値を持つようになっている」
長野「要するにユーチューバーですよね」
久保「つまり再生回数であったり、クリック数などを稼ぐことによって、それがお金になっていくっていう経済圏ができてるので、それによって本来の情報の質っていうのが置き去りにされていくっていう傾向が高まっているのかなと思っています」

番組では久保勇人が10年後、メディアがどうなっていくのか問題提起をしています。

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