骨太の方針に消費増税~それでも100%確定とは言えない

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月24日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。政府が閣議決定した骨太の方針について解説した。

消費増税、骨太の方針に掲げ参院選へ

政府は週末、経済財政運営の指針、骨太の方針を臨時閣議で決定した。予定通り10月に消費税率を10%へ引き上げる方針を明記して参院選を戦う方針。野党は一致して反対しており、大きな争点になりそうである。

飯田)骨太の方針は消費増税だけではなく、就職氷河期世代の支援策であるとか、企業が従業員に支払わなくてはならない最低賃金についても地域間格差に配慮し、なくして行こうということも盛り込まれているのですが、見出しとしては消費増税が大きかったですかね。

須田)そもそも骨太の方針、つまり経済財政運営の基本指針というものは一体何なのか。いよいよ8月くらいから、次年度予算編成作業が本格化して来る。それにあたって、予算編成作業を政治主導でやって行こうではないかと。いままでは財務省、旧大蔵省主計局が中心になって予算編成作業をして来た。それが大蔵官僚の力の源泉になっていたのです。その辺りに政治主導を持ち込むことで、枠組みを決めようと。その枠組みが骨太の方針と言われているものです。

財務省庁舎(財務省 (日本) – Wikipediaより)

骨太の方針に消費増税が盛り込まれていても、100%ではない

須田)このタイミングで方針を決めておかないと、次年度予算編成作業に大きな支障をきたしてしまう。いまの状況で消費増税をするかしないか、状況の最終的な確認が終わっていない段階でどうするかと言うと、10月1日にやることを前提に作成しなければ意味が無くなってしまう。
しかし、骨太の方針に盛り込んでそれが閣議決定されたのだから、もう10月1日からの消費税増税は決まりだと受け取るのは、時期尚早かなと私は思います。8~9割がたはそういう方向で進んで行くでしょうけれども、まだリーマンショック級の経済変動が100%ないかと言われると、そうではない。
今月(6月)末のG20において、最大の争点は米中首脳会談です。米中貿易戦争が今後どういう展開を見せるのか。そのあたりの見極めをするためには、首脳会談の行方が注目されますが、どうも上手く行きそうにない。中国側はアメリカ側の要求を全部蹴飛ばすという状況になる。そうすると、さらにアメリカの経済制裁が、関税も含めて加速して行く可能性が高い。そのような状況で消費税増税をするのか。まだ100%確定と考える必要はないのではないかと、私は思います。

野党5党派党首会談に臨む(正面左から)共産党・志位和夫委員長、立憲民主党・枝野幸男代表、国民民主党・玉木雄一郎代表ら=2019年5月29日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

財源論を言わずして消費税増税反対、マクロ経済スライドも撤廃という主張は無責任

須田)もう1点、参議院選挙前に増税を決めるということは、選挙に悪い影響を及ぼします。だから野党が反対するのは当然なのですが、この2%増税分が幼児教育の無償化に使われるのかどうか。やるのであれば、その財源をどうするのか。いま、年金問題で国会は非常に論戦していますが、一部野党は年金の支給額を減らす、経済スライドについては撤廃すべきだという主張をしています。そうすると年間7兆円くらいの予算が必要になるのだけれども、その財源をどうするのか。
消費税増税は反対、マクロ経済スライドも撤廃しろというなかで、財源論を言わずしてそういう主張をする、あるいは選挙の争点にあげるのは、あまりにも無責任だと思います。
政策とはトータルなのです。増税だけの是非を言ってもあまり意味がない。トータルとして財政はどうするべきなのか、社会保障制度はどうするべきなのかを議論して行かないといけません。

飯田)一部野党には、富裕層の増税で賄うという話も出ていますけれど、ではマクロ経済全体にどういう作用があるのかとか、その辺も考えなくてはいけないですよね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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「ベートーベン=才能の人」ではなかった!?

4月24日「長野智子アップデート」(文化放送)、午後4時台「ニュースアップデート」は毎日新聞論説委員の小倉孝保さんが、「ベートーベンに音楽の才能は確認できなかった」というニュースについて解説した。

長野智子「(ベートーベンに音楽の才能がないって)大谷翔平選手に野球の才能は確認できなかった、というぐらいビックリします(笑)。ベートーベンですよ?」

小倉孝保「ベートーベンって相当、音楽的には能力高いですよね」

長野「それはそうですよ(笑)」

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「宮廷音楽を我々、大衆の音楽にしてくれた功労者ですよ」

小倉「ベートーベンって18世紀の末から19世紀の初めにかけての、ドイツで生まれた人なんですけど、髪の毛がまだいくつか残っているんです。5、6箇所にあるらしくて。その髪の毛を集めてきて、数年前からDNAの鑑定検査というのが、あちこちの大学で行われているようです。去年でしたか、最初に発表されたのは、どんな病気にかかっていた可能性があるのか、体調はどうだったのか、という話で」

長野「はい」

小倉「彼は鉛中毒で難聴になったんじゃないか、という説があったんですけど、それは否定されたんです。髪の毛からまったく鉛は出なかった。むしろ遺伝子的には肝臓が悪かったんじゃないか、と。恐らくB型肝炎にかかっていて。ベートーベンってすごくお酒を飲んでいたらしいんです。お昼からワインを大体ボトル1本飲んでいた」

長野「そうなんですか(笑)」

小倉「難聴云々というよりも飲みすぎだった感じらしいんです。それは既に発表されているんですけど。今回発表されたのが、また別の大学なんですけど、いろいろDNA検査していても、これという音楽的才能が見つかっていないんです」

長野「音楽的才能はDNAでわかるものなんですか?」

小倉「10年ぐらい前からDNA鑑定の能力が上がるなどして。今回は1万4000人ぐらいのDNAのデータがあって、その中から、リズム感の高い人はこういう集団だとか、そういうデータがあるらしいんですよ」

長野「データが集積されているから……」

小倉「そのデータと合わせたところ、遺伝子的に、特にリズムやビートに関しては、ベートーベンは劣っていたんじゃないか、という。もともと音楽才能が飛び抜けて高かったわけじゃないかもしれないんです。彼の場合はお父さんも音楽家でしたから、音楽を聴いたときにどういう行動をしなさい、とか。彼はピアノもしていて、すごく上手でした。彼の音楽的才能というのは、生活習慣のほうで、生まれたあとから培われていったんじゃないか、という見方が強まっているらしいんです」

長野「それってうれしい情報というか。本当に一握りの限られた天才がいて、ほかは一般人みたいな。天才は特別な遺伝子を持っているのかと思いきや、むしろ生まれたあとの環境から天才が育まれる、という」

小倉「そういう学説のほうが強まっているみたいですね」

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