「ほとんどのことは大丈夫」 元陸上・為末大が語る“子育て”論

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(4月5日放送)に、男子400メートルハードルの日本記録保持者・為末大が出演。自身の子育て論について語った。

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」

淵澤由樹(アシスタント):為末さんは現在、子供達にハードルを教えていらっしゃるのですよね。心掛けていることはありますか?

為末:最初は、ハードルを1人ずつ跳んでもらっていたのですね。そうすると、誰かが転んだ途端にみんな恐怖で震え上がって、誰も跳ばなくなってしまったのです。これではいけないと、ハードルを5列にしました。同じように跳んでもらったけれど、また転んでビビってしまう。だから最後は5列のハードルで、前の子が転んでも関係なく、後ろの子がスタートするようにしたのです。そうすると転んだ子供も、後ろが来ているので仕方がないと進みます。
これで確信したのが、失敗したときにいちばん傷つくのは「膝」ではなくて、「人から見られていること」だと。転んだ瞬間、誰も見ていない状況をつくると、案外みんな跳んで行くのです。ハードルの高さも変えてあるので、高いところへ行ってもいいし、ダメなら低いところへ行ってもいいよと言うと、みんな自分に合ったところに行きます。気分が乗って来たら高いハードルへ行って、「跳べてラッキー!」というような。ハードルは足の速さと違って、高さを自分で選べるので便利です。

淵澤:ちょっとした工夫で、子供達の心は変わるのですね。

為末:いちばんやってはいけなかったのが、転んだ瞬間に「大丈夫?」とみんなが行くこと。いちばんいいのは無視することです。

淵澤:なるほど。――最後に、ラジオの前の子育て中のママやパパへ、メッセージをお願いします。

為末:ほとんどのことは「大丈夫」という感じがするのですよね。うまく行かなかったり、あきらめても大丈夫。僕は小学校6年間、通信簿に「授業中、黙っていられない」「先生の話を聞けない」と書かれていました。でも陸上教室に行ったら、黙っていられないということを「この子は好奇心が強い」と言われたのです。弱点と思っていることは、環境を変えると急に長所になることがある。いまの環境に合わせようとするよりも、迷惑をかけない程度に、ちょっと折り合う程度でいい。活きる場所へ行けば急に伸びることがあるので、なるようにしかならないから、ほとんどのことは大丈夫です。

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新型コロナ~米・LAとNYの明暗を分けた外出自粛要請「1週間」の差

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカの新型コロナウイルスの感染状況について解説した。

「中国ウイルス」を正当化 2020年3月17日、米ワシントンのホワイトハウスで記者会見するトランプ大統領(中央)(UPI=共同) ©共同通信社

アメリカ一転~マスク着用を推進

アメリカの疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスの対策で「マスクは不要」という従来の見解を修正し、着用を勧める新たな方針を発表した。これに対しトランプ大統領は「あくまでも自主的な措置だ」として、自らは着用しないとしている。

飯田)ツイッターでも反響がありました。欧米はあまりマスクを着用しないではないですか。元自衛官の方や、佐世保に住んでいる方がツイートしてくれるのですが、「何があってもマスクをしないアメリカの人たちが、いまはマスクをしているのですよ。びっくり」といただいています。

須田)文化や習慣の違いで、アメリカでは感染症にかかっている人や、医療関係者だけがマスクをするのが通常でした。マスクをしているということは、「私は重篤な感染症にかかっています」ということを示すので、マスクをする習慣がないのです。ただ、そうは言っても新型コロナウイルスの蔓延で、特にアメリカは地域によって集中しています。例えば東海岸ではニューヨーク。それもニューヨーク州ではなく、ニューヨーク市と言われている5つの区です。なかでもマンハッタンでは、爆発的に感染が拡大しています。さすがにマスクを着用する人が増えているのですが、いまマンハッタンのスーパーマーケットへ行くと、マスクや消毒液は完売で、入荷の見込みはないという状況になっています。

飯田)マスクに関しては感染予防ではなく、無症状や軽症で感染している人が周りへ拡げないためにやるものだと、日本でも言われています。

須田)アメリカ人、なかでもニューヨーカーは自己主張が強いです。しかし、いまはスーパーマーケットへ行っても入場制限で行列ができているのですが、2メートルの間隔を開けることを守っているのですよ。

飯田)線が引かれているようですね。

新型コロナ/閑散としたニューヨークの街並み=2020年3月17日 ©時事通信

アジア系人種への差別が深刻化

須田)しかも、少しでも近づくと「近い」と怒鳴られるらしいです。きちんと秩序だった行動をしてマスクを着用するという、いままでとは違った行動をしていて、それだけ恐怖心があるのだろうと思います。アジア系の人は差別の対象になっていて、殴られるならまだしも、ナイフで刺されるという事例まで出ているようです。

飯田)いまは旅行に行けませんが、現地に住んでいるアジア系の方も多いです。

須田)ほとんど外へ出られない状況になっているようです。治安の悪化している地域へ行くと、町中を歩いている人は麻薬中毒者などの精神がおかしい人だけで、買い物すら行けないようです。そういうところは、もともと警察がパトロールしている場所ではありませんから、ますます治安が悪化しています。そういう治安対策も、なかなか難しい部分なのだと思います。

米疾病対策センター(CDC)を視察するトランプ大統領=2020年3月6日、米ジョージア州アトランタ(ロイター=共同) ©共同通信社

西海岸と東海岸、明暗を分けたのは「1週間」の差

飯田)一方で西海岸はというと、ロサンゼルスに住んでいる方からメールをいただきました。“いつもなら女子ランナー”さんから、「ロサンゼルスは3月上旬に自粛生活を余儀なくされています。開いているのはスーパー、レストランのテイクアウト、郵便、配達業務、病院といったところです。朝のニュース番組のMCは自宅から出演。もちろんゲストも自宅から。MC2人とゲスト1人の映像が、3枚の自画像を並べたようなギャラリーとして、テレビ画面に映し出されています。ときどき出て来るプロデューサーも自宅からの映像でした。このように、かなりの対策がされています。一方で、お1人の高齢者に対して『買い物をしますよ』『話し相手になりますよ』というボランティアが増えています。スーパーに並んでいるときには、従業員が画用紙とペンで言葉遊びのクイズをしたりして、飽きさせないように努力もされているようです」といただきました。

須田)カリフォルニア…ロサンゼルス、サンフランシスコはそういった点で言うと、まだまだ事態が悪化せずに感染者数も抑え込みができている状況です。東海岸とカリフォルニアでどう違ったのかというと、半ば強制力を伴った外出自粛要請をかけた1週間の差です。カリフォルニアのほうが1週間早かったのです。その差は非常に大きかった。いまニューヨークの人たちに話を聞くと、「現在ニューヨークで起こっていることは、2週間後の東京なのですよ」と。東京も大阪と比べると、週末の外出自粛要請が1週間遅れています。ここへ来ての感染拡大を考えると、この1週間の遅れが取り戻せるのか。もっと大きな枠組みで見ると、緊急事態宣言をなかなか出さないという状況が、後になって悪い影響を及ぼさなければいいなという、強い危機感を持っています。

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