新型コロナ分科会メンバー・岡部信彦 公衆衛生を専門にしたきっかけはマニラ訪問

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(9月6日放送)に、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーであり、川崎市健康安全研究所・所長の岡部信彦が出演。「公衆衛生学」について語った。

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」

淵澤由樹(アシスタント):岡部先生は若いころ、現在ご専門の公衆衛生学には、あまり興味がなかったとお聞きしたのですが。

岡部:早く臨床(実際に病人を診察・治療すること)をやりたかったのです。でも、公衆衛生は国家試験で必須なのですね。だから、仕方なくやっていました(笑)。

淵澤:国立小児病院の感染科にいたころ、フィリピンから来た若い小児科医の方に言われた言葉が印象的だったとか。

岡部:ちょうど海外から、研修の先生を受け入れ始めたときでした。途上国から来られる先生方は、「日本の感染症対策は、どのようなことをやっているのだろう?」と思って見に来ます。ただ、当時の日本はすでに感染症が蔓延している状態ではなく、感染症がこじれた病気や、感染源がいなくなってから悪さをする病気などが中心でした。そのため、海外から来た先生達は、「日本には感染症がないではないか。岡部、本当の感染症を見たければ、俺たちの国へ来い」と言うのです。それでフィリピンに行きたいと思ったのが、1つのきっかけでした。

淵澤:そして41歳のときに、マニラに行かれたのですね。

岡部:マニラには世界保健機関(WHO)があったのです。そこで、「公衆衛生とはこういうものか」と目の当たりにしました。最初は何をすればいいかもわかりませんでした。それまでは日本で、1人1人の患者さんを診るのが仕事でしたが、急に地域や国単位の衛生状況を見ることになった。予防接種率をどう上げようかなど、センスの違うことを突きつけられた感じがしました。でも、それは医学をやって来た人だからこそできることです。逆に言うと、統計をとる人や、それを支える地域の人、お役人や保健所の人などと一緒にやるのだということを、40歳にして初めて理解しました。

淵澤:最後に、ラジオの前の子育て中のママやパパへ、メッセージをお願いします。

岡部:子育ては疲れることもあれば、面倒くさいこともあると思います。でも、子供達が大きくなるのを見るのは面白いし、楽しいです。いまの瞬間は大変なこともあると思いますが、きっとすくすく育って行くはずですので、楽しんでいただきたいですね。

radikoのタイムフリーを聴く

この記事を読む