原油価格高止まりか ~OPECプラスが原油増産計画維持を決定

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月3日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。原油の増産計画を維持するとしたOPECプラスの発表について解説した。

OPECのロゴと石油ポンプの模型=2020年4月(ロイター=共同) ©共同通信社

OPECプラス、原油の増産計画の維持を決定

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は12月2日、現在の原油増産計画を2022年1月も維持すると発表した。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大による世界経済の減速懸念から、原油価格は下落傾向にあるが、当面は影響を見極める必要があると判断した模様。

飯田)「増産のペースを維持」と出ていますが。

宮家)それ以上ペースを上げる気はないと。

飯田)上げる気はない。

宮家)ようやく石油価格が上がって来たところで、オミクロン株の影響でまた収縮してしまったら困るため、このままで行くということです。私なりに理解している大きな流れを申し上げると、トランプ政権の時代には「温暖化? そんなものは関係ない」と、シェールオイルを増産したのです。そうすると供給が増えますから値段が下がる。それで産油国が困ってしまったわけでしょう。

飯田)そうですよね。

宮家)ところがバイデンさんになったら、「あれ? いやいや、逆だろ」と。「温暖化が大変だ。厳しくやらなければいけない」となって、シェール生産は制限される。そうなると今度は供給が下がります。コロナがやや収束し、また経済を頑張らなければということで、需要が上向きになったので、「バーン」と価格が上がって来たわけですよ。

アメリカが最も困っているのは原油価格ではなくインフレ

宮家)オミクロン株がどうなるかは別として、いまアメリカが最も困っているのは、石油価格だけではなくインフレです。サプライチェーンの問題もあるし、労働力不足で賃金も上がっています。これを何とかしないと、バイデンさんは次の中間選挙が危ないわけですよ。

飯田)中間選挙が。

宮家)それで必死なのだけれども、いま申し上げた通り、OPECに何かを頼んでも言うことを聞いてくれないわけです。価格が下がったときに助けてくれなかったではないかと言われるでしょう。

飯田)そうですよね。

宮家)これは怒りますよね。

飯田)マイナスの値段になりましたからね。

原油価格は高止まりか ~オミクロン株もあり、様子見の状況

宮家)そこでバイデンさんは原油の備蓄を放出することにした。しかし、放出すると言っても、数日分の原油を放出したところで、マーケットに大きな効果はありません。ただ、産油国へのメッセージにはなる。

飯田)なるほど。

宮家)OPECプラスは現状維持ということではありますが、消費国側からすれば、思ったように増産が進まないと。つまり当面、原油価格は高止まりになる可能性があるのだと思います。

飯田)足元のWTI原油、アメリカのニューヨーク市場では、1バレルあたり67ドル42セント。北海ブレントが70ドル43セントです。

宮家)少し下がりましたね。

飯田)80ドルを超えたところからは少し下がりましたが、これ以上は下がらないという感じですか?

宮家)この辺りで止まることを考えているのだと思います。様子見ですよ。

飯田)様子見。

宮家)結局、オミクロン株がどの程度拡大するかによって、戦略を練り直すことはあるかも知れません。

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米の考える対立構図に合わせた“政治ショー”「民主主義サミット」 ~「民主主義陣営」対「そうでない陣営」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月3日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。12月9日~10日にアメリカが開催する「民主主義サミット」について解説した。

あいさつする中国の習近平国家副主席(当時、右)と、バイデン米副大統領(当時)=2011年8月19日、北京市内(共同) ©共同通信社

民主主義サミット

アメリカのバイデン大統領は、12月9日~10日の2日間の予定で民主主義国の首脳などが参加する「民主主義サミット」をオンライン形式で初めて開催する。日本やヨーロッパ各国など、およそ110の国と地域が招待されているが、アメリカが「専制主義国家」と位置付ける中国やロシアは含まれていない。民主主義サミット開催について、ロシア外務省は1日に声明を発表し、「民主主義の道しるべにはなれないし、なるべきではない」と批判している。

飯田)シンガポールなども入っていないということです。

宮家)シンガポールはちょっと違いますからね。トルコも入っていません。

飯田)トルコも入っていない。

宮家)でも、ロシアに「民主主義の道しるべにはなれない」とは言われたくないですよね。

飯田)ちょっと待てよと。

「民主主義陣営」対「そうでない陣営」の対立構図を考えているアメリカ ~それに合わせた政治ショー

宮家)中国が入らないのは仕方ないにしてもね。全部が全部そうだとは言わないけれど、アメリカ人には単純な人が多いから、彼らにとって世の中は「グッドガイズ」と「バッドガイズ」しかいないわけです。

飯田)なるほど。

宮家)グッドガイズは民主主義の110ヵ国・地域です。ちなみに110ヵ国・地域の「地域」には台湾が入っていますからね。誰がグッドで誰がバッドか、これほどわかりやすい人たちはいません。でも、世の中はそんなに単純ではないですからね。

飯田)そうですね。

宮家)ロシアが民主主義かどうかはわかりませんが、出来レースとは言え、選挙はやっています。シンガポールにも自由はありますよ。政権を批判する以外のことは。

飯田)政権を批判する以外のことは。

宮家)その意味では、なかなか線は引きにくいけれども、このように分けるのはアメリカらしいなと思います。バイデンさんの心情、それからバイデンさんの周りにいるリベラルな人たちも含めて、いまは「民主主義陣営」対「そうでない陣営」の対立構図を考えているわけです。それに合わせた政治のショーになるのだろうと思います。

飯田)政治のショー。

宮家)しかし全部集めるわけには行かないから、オンラインでやるわけでしょう。

飯田)そのようですね。

宮家)周りの国からすれば、「またやっているな」という感じでしょうね。

ロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)=2021年10月13日 AFP=時事 ©時事通信

日本は参加して粛々とその一員であればいい ~日本の利益を守るために民主主義をうまく使うべき

飯田)対中国を考えると、ASEAN各国も重要です。そういう意味では、いろいろな集まり、枠組みを重ね合わせるということになるのですね。

宮家)濃淡がありますからね。しかし中国からすれば、痛くも痒くもないと思います。

飯田)痛くも痒くもない。

宮家)「アメリカなんて大した民主主義ではないだろう、たくさん問題があるではないか」と。「俺たちの方がきちんと国家運営をやっているではないか」、「中国のやり方の方がいいぞ」、「しかも途上国の多くは中国と同じことをやっているではないか」、「アメリカだけが民主主義などと偉そうなことを言うな」と主張するのだろうと思います。

飯田)中国が外れた国々を巻き込んで、「俺たちは俺たちでやろうぜ」ということになりませんか?

宮家)どうでしょう、それだとプロレスの悪役だけが集まっているようなものです。でも、「上海協力機構」などはそれに似ていますね。

飯田)なるほど。

宮家)世の中には変わった人たちが集まるリーグがありますね。どっちもどっちだなと思います。

飯田)どっちもどっち。

宮家)日本は当然、民主主義の国ですし、それに参加して粛々とその一員でいればいいわけです。当然こういうプロパガンダには参加するけれども、それとは別の、日本の利益を守るために民主主義をうまく使うことも大事、ということだと思います。

飯田)日本には独自の国益も当然ありますし。

宮家)人権外交も含めて、そういう民主主義がある。一昔前は民主主義について、日本がいろいろな普遍的価値を守ると言いながらも、なかなか民主主義を前面に出した外交はして来なかったわけです。ある意味では、日本の外交にも幅ができていいのではないかなと思います。ただ、それでもこの種の外交はそんなに簡単ではありません。

飯田)簡単ではない。その辺はテクニックや使いようの部分もあると。

宮家)すべてが綺麗に割り切れるわけではありませんからね。

 

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