なぜ「電気店とコーヒー店」が合体? 「志村電機珈琲焙煎所」誕生の経緯

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

志村麗美さん

豊島園の駅から歩いて5分ほどの場所に、「志村電機珈琲焙煎所」という店があります。

いい香りに誘われて店に一歩足を踏み入れると、コーヒーの大きな焙煎機があり、ウッディでお洒落な雰囲気のカフェ……と思いきや、その一角には家庭用の電球や延長コード付きの電源タップといった家電製品が並んでいます。

その名の通り、電気店とコーヒー店が一緒になったお店を営んでいるのは、志村大次郎さん・麗美さんご夫妻。志村さんのお宅では、昭和40年代にお父様が「志村電機」という店を開きました。2代目の大次郎さんは、ごく普通の「町の電気屋さん」をお父様から受け継ぎます。

スペシャリティコーヒー

奥様の麗美さんは、墨田区東向島の出身。実家のお父様は80歳を超えたいまも、現役でコーヒーの焙煎士として活躍しています。麗美さんも小さいころから大きなコーヒー豆の袋に潜ってかくれんぼしたりと、コーヒーのいい香りに包まれて育ってきました。

大次郎さんと縁あって結ばれた麗美さんですが、電気屋さんの若女将として店番をするうち、何となく心にぽっかりと穴が開いたような気持ちになったそうです。

「やっぱり私、コーヒーのお店をやりたいです」

志村大次郎さん・麗美さんご夫妻

麗美さんは大次郎さんや家族の皆さんに頭を下げ、空いていたお店の倉庫を改装。貯金も全部はたいて、9坪の小さな珈琲店「ミスター・ビーンズ」を開きました。ちょうどお嬢さんが生まれたばかりで、接客の合間に母乳をあげることもしばしば。どうしても泣き止まないときは、優しいお客さんがあやしてくれたこともありました。

お嬢さんに続き、男の子にも恵まれた志村さんご夫妻。2人のお子さんはすくすく育って、無事に大学へと進学することができました。子育てが一段落したある日、大次郎さんは麗美さんに声を掛けます。

「電気店とコーヒー店、そろそろ一緒にやろうよ」

「志村電機珈琲焙煎所」

大次郎さんは、「町の電気屋さん」の古いイメージを変えたいと思っていました。若い方や女性の方にも、もっと電気屋さんに来て欲しい。そのきっかけとして麗美さんのカフェとコラボしたいと、以前から考えていたそうです。

一方、麗美さんはそれまで子育てにウェイトを置いてきました。お店をやりながらも存分に仕事に打ち込めていないもどかしさがあり、「子どもに手がかからなくなったいまこそ、本気でコーヒーと向き合えるチャンス」と考えます。大次郎さんと麗美さんの気持ちが重なりました。

2018年10月、大次郎さんの電気店と、麗美さんのコーヒー店が合体した「志村電機珈琲焙煎所」がオープンの日を迎えました。電気とコーヒーという異色の組み合わせに、それぞれのお店の常連さんはそろって「一体お店に何が起こったの?」と驚きの声を上げます。

コロナ禍でも「志村電機珈琲焙煎所」は、店の開けられる窓を全部開け、換気をよくして地元の方々のためにお店を開け続けました。すると、遠くへ行けない地元の方や在宅で仕事をするようになった皆さんが、美味しいコーヒーの香りに誘われて足を運んでくれるようになりました。

お店に並ぶ、池袋「タカセ」のスイーツ

そんな2020年夏、「としまえん」が閉園を迎えます。遊園地との別れを惜しんだ多くの人たちも、コーヒーのいい香りに引き込まれるようにお店へやって来て、行列をつくりました。「志村電機珈琲焙煎所」の名前は、口コミで少しずつ広まっていきます。

見た目はおしゃれなお店になった現在も、大次郎さんは家電のスイッチ1つの不具合などに、「町の電気屋さん」としてお得意さんの自宅に駆けつけています。そんなお得意さんも、お茶飲み感覚で店に来てくれるようになり、家電製品の相談にも乗りながら、より温かい関係を築けるようになりました。

麗美さんは、新鮮なコーヒー豆「ニュークロップ」にこだわった香りのいいコーヒーに磨きをかけています。

「ぜひ一度、お店にいらしていただき、いろいろな豆を試しながらコーヒーを飲んで欲しいです」

「志村電機珈琲焙煎所」

いよいよ6月に迫った「ハリー・ポッター」体験施設のオープンを前に、麗美さんのコーヒーへの情熱もますます沸きあがっています。ただ、志村大次郎さん・麗美さんともに、ハリー・ポッターの魔法の力に頼りきるつもりはありません。

「これからもずっと地元の皆さんに愛されるお店にしたいんです」

電気屋さんと珈琲屋さん、2人の得意分野は違っても、志は一つです。

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上柳昌彦 あさぼらけ
放送局:ニッポン放送
放送日時:2023年3月29日 水曜日 5時00分~6時00分
公式Twitter

※該当回の聴取期間は終了しました。

デビュー35周年! ジュンスカ宮田和弥「デビューした頃の気持ちをまた…」新曲『そばにいるから』制作裏話

アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FMのラジオ番組「坂本美雨のディアフレンズ」(毎週月曜~木曜11:00~11:30)。今回の放送は、ロックバンド・JUN SKY WALKER(S)の宮田和弥さんがゲストに登場。メジャーデビュー35周年記念シングル「そばにいるから」の制作エピソードについて語ってくれました。

坂本美雨、宮田和弥さん



今年5月21日に、メジャーデビュー35周年を迎えたJUN SKY WALKER(S)(以下、ジュンスカ)。1988年5月21日、レコードレーベル「TOY'S FACTORY(トイズファクトリー)」よりミニアルバム『全部このままで』でメジャーデビュー。 翌年には日本武道館でライブをおこない、当時、デビューから武道館までの史上最短記録となりました。カリスマ的人気を誇りつつも1997年に解散。2007年に期間限定で再結成し、2012年からは完全復活! デビュー35周年となるアニバーサリー・イヤーに、ニューシングル「そばにいるから」を6月10日(土)にCDリリースします(※先行配信中)。


◆レーベル社長が35周年シングルをプロデュース!?

坂本:JUN SKY WALKER(S)は5月21日でメジャーデビュー35周年ということで、おめでとうございます!

宮田:ありがとうございます。

坂本:大事な年ですね。お会いしていない間に(元メンバーの)寺岡呼人さんが卒業され、今は3人体制(宮田さん(Vo)、森純太さん(Gt)、小林雅之さん(Dr))になりました。

宮田:そうなんですよ。今は、ROCK'N'ROLL GYPSIESのベース・市川勝也くんが(参加してくれています)。(ドラムの)小林雅之が、ジュンスカとは別にPOTSHOTというバンドをやっていて、(市川勝也くんは)そこのベーシストでもあるんですよ。非常にリズム隊の気が合うということで、今はサポートしてくれています。

坂本:新生ジュンスカということですね。今回、メモリアルイヤーの大事なメッセージが詰まっている新曲「そばにいるから」は、ファンの方々に捧げた曲なのでしょうか?

宮田:はい。歌というか心というか、魂はそばにいるからと。自分的には親の立場でもあるので、子どもに向けてっていう部分もあります。あとは、自分と親との関係であったりとか。

坂本:そうですよね。

宮田:ファンの存在はもちろん大きいのですが、歌詞には自分の日常も織り交ぜています。なので、今回は「そばにいるから」というタイトルになりました。

坂本:ストレートですね。

宮田:そうですね。実は、JUN SKY WALKER(S)は、「TOY'S FACTORY」というレーベルの第1弾アーティストなんですよ。35年前、TOY'S FACTORYとジュンスカが一緒にレーベルを立ち上げたんです。その後、筋肉少女隊、Mr.Children、ゆず、BUMP OF CHICKENといった、そうそうたるメンバーがいるレコード会社になりました。今回、社長である稲葉(貢一)さんにディレクションとプロデュースをしてもらいました。

坂本:どうしてそういうお話になったのでしょうか?

宮田:35周年はジュンスカもですが、TOY'S FACTORYもなんですよね。「お互い35周年だし、何かやってみよう!」と去年、話が盛り上がったんです。歌詞も稲葉さんといろいろディスカッションして何度も直しました。「そばにいるから」のメロディーは、もともとバラードだったんです。ジュンスカの「歩いていこう」とか「全部このままで」といった8ビートの早いパンクっぽい曲と、「白いクリスマス」とか「声がなくなるまで」といったバラードの曲、それから今までやったことのないぶっ飛んだ曲の3本柱でいこうって話が去年からあったんです。

そのときの「そばにいるから」はスローで、「白いクリスマス」とか「声がなくなるまで」みたいな感じで(ジュンスカのリーダーでギターの)森純太がメロディーを書いてきたんです。そして、僕が「そばにいるから」という言葉を入れながらサビを作っていったんですけど、稲葉さんから「最初バラードで始まるけど、テンポを上げたらいいんじゃない?」と。

ジュンスカには「すてきな夜空」とか「明日が来なくても」という曲があるのですが、それがスローから速くなるナンバーなんですね。稲葉さんのプロデュースの感覚が混ざって、非常に良い曲ができました。

坂本:途中でリズムが入ってきてテンポが上がるのは、私のジュンスカのイメージでは王道です。稲葉さんとそこまでコミュニケーションを取られて作ったんですね。

宮田:そうですね。久しぶりに人に言われて歌詞を直しましたね。この年になると誰も言ってくれないし、言われても100倍ぐらいで返しますからね。

坂本:(笑)。

宮田:人の話を聞かなくなってくるでしょう? だけど、稲葉さんだからなのか、22歳のデビューした頃の気持ちをまた(取り戻した)。あとは、僕のコントロールの仕方も稲葉さんはわかっていると思うから。決して怒らない人なんですよ。うまく導いてもらえて、いい曲
ができたなと思いますね。

宮田和弥さん



*  

6月10日(土)に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にて、JUN SKY WALKER(S)のメジャーデビュー35周年記念ライブ「「35th Anniversary Live」を開催します。詳細は公式Webサイトまで。

次回6月12日(月)~15日(木)の放送も、スペシャルゲストをお迎えしてお届けします。お楽しみに!

<番組概要>
番組名:坂本美雨のディアフレンズ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週月曜~木曜11:00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dear/

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