SNSからラジオ、そしてリスナーがつないだ温かな思い

倭太鼓飛龍の演奏の様子

OBCラジオ大阪の情報番組『原田年晴 かぶりつきマンデー!』(毎週月曜・午前11時~)の「森川由香のSNSにかぶりつき」は、番組アシスタントの森川由香がSNSのトレンドを紹介するコーナー。2月21日(月)の放送では、大阪を拠点とする和太鼓グループ「倭太鼓飛龍(わだいこひりゅう)」の主宰・飛鳥峯英さんと電話を繋いだ。倭太鼓飛龍は今年で24年目となる和太鼓グループで、昨年ドバイ万博でも演奏が決まっていたほど、実力のあるグループ(コロナのため不参加となった)。なぜ今回、番組とこの和太鼓グループがつながったのか、それにはこんなエピソードがあった。

2週前の2月7日(月)の放送で、森川は「飛龍 和太鼓教室」に通うある女子高生をめぐる心温まる話題をこのコーナーで紹介した。その女子校生は「教室に通わせてもらっている中、これ以上親に負担をかけたくない」とスマートフォンを持たず、連絡にはテレフォンカードで公衆電話を利用していた。この彼女の思いに感銘を受けた飛鳥さんが、昨今需要が減り入手しにくいと困っていた女子高生のために「余ったテレフォンカードがあれば分けてほしい」とSNSで呼びかけたところ、著名人の拡散もあり、何と10万円分を超えるテレフォンカードが届いたというもの。

さらにこの放送後には、番組を聴いた「匿名のラジオリスナー」からもテレフォンカードが寄せられ、驚いた飛鳥さんが知人を頼って原田アナウンサーに連絡をしたことから、今回の電話出演となった。

 

電話では、改めて今回の経緯について語られた。

倭太鼓飛龍は演奏活動のほか、和太鼓教室も開いている。その教室の各クラスごとの連絡手段としてグループラインを使用しているが、この教室に通う一人の女子高生が「スマートフォンを持ってない」と伝えた。理由は「教室に通わせてもらっているのに、これ以上親に負担をかけたくない」から。「今時、こんな子いるの?!」と飛鳥さんを含め、周囲の大人たちは驚いたという。LINEといえば、女子高生に留まらず、今や老若男女問わない必須アイテム。「じゃあ何で連絡を取っているの」と聞いたところ、「公衆電話を利用している」との返事が、そして公衆電話を利用する際、テレフォンカードを使っているが、需要が減り、なかなかテレフォンカードを取り扱っているお店がなくて困っていると相談を受けた。そこで「よっしゃ、任せとき!」と飛鳥さんはSNSで「余ったテレフォンカードがあれば分けてほしい」と呼びかけたところ、飛鳥さんの知人や著名人がその思いに共感し、投稿を拡散。なんと総額約10万円分のテレフォンカードが届けられた。

さらに、「番組を聴いたというリスナーさんから、手紙とテレフォンカードが届いたんです。その方は以前、飛龍の公演見てくれた方で…。うれしい、温かい気持ちにさせて頂いた」と語る飛鳥さん。そこで、どうしても原田アナウンサーにお礼を伝えたいと、知人を介し、連絡を取ることができた。もちろん、連絡を受けた原田アナウンサーも驚きと嬉しさで「ぜひ、番組でこの話をしていただけませんか?」と伝えたことで、番組ともつながった。

今もテレフォンカードは届き続け、15万円分を超えているとのこと。「これで(このカードを換金したら)スマートフォン買えるよ」とその女子校生に提案したところ、「そういうことじゃないです」と逆にたしなめられてしまったとも語る飛鳥さん。続けて「こんな時代に温かい気持ちをSNSやラジオでつないでいただけたことは彼女の財産になると思う」と語ると、原田アナウンサーも「彼女だけではなく皆の財産になる」と頷いた。森川も、思いの連鎖と自身の声に応えてくれたリスナーの行動に感動し、声を詰まらせた。

その女子校生は将来プロになりたいと、頑張って練習を続けている。4月には生徒やお弟子さんによる公演も控え、彼女も出演予定だそうだ。

SNSからラジオ、そして反応してくれたリスナーへ…こんな形で人の温かさがつながることを実感できた時間となった。

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