「SNS対オールドメディアという構造ではない」選挙とSNSの関係、今年はどうなる?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、1月15日の放送にジャーナリストの鈴木エイトが出演。自身が取材した2つの問題、「都議選、参議院議員選挙など選挙について」「統一教会問題について」、今年の動きがどうなるかを語った。この記事では前者の部分をピックアップする。

長野智子「さっそくですがきょうの11時から広島県安芸高田市の前市長で去年の夏、東京都知事選に立候補して話題を巻き起こした石丸伸二さんが都内で記者会見を開きました。地域政党、再生の道を立ち上げたと発表したということです。こちらの取材は?」

鈴木エイト「行く予定だったんですよ。都庁の記者クラブの中で開催するということで幹事者に連絡して参加のOKをもらっていた。突然、おとといですかね、そこでやらないと石丸さん側も通知して記者クラブからも連絡があった。きょう都内某所で石丸さん陣営が取材して会見を開いたと。ただかなり参加の条件を出されていて。マス媒体の有無、もしくは登録者100万人以上のネット媒体を有するところしか参加できない、という条件を出されて」

長野「ああ……」

鈴木「一般のフリーの記者、僕も申し込みをしたんですけど丁重にお断りされました」

長野「そうなんですか。なぜなんでしょう」

鈴木「石丸さん側がそういう条件を出したということとt、もともと都庁の記者クラブでやる場合、YouTuberであるとか、そういう人がどんどん入ってくると仕切りが難しいとかで、石丸事務所で会場を借りた、とおっしゃっていましたね。後援会の担当者の方は個人的にはフルオープンでやりたいとおっしゃっていた。でも会見をスムーズに行いたい、ということに主眼をいちばん置いたようですね」

長野「いろんなことを改革したいと発言されていますけど、けっこう守旧派みたいな」

このあとも石丸氏の言動について鈴木がコメントした。昨今、よく取り沙汰される選挙とSNSの関係についても話が及んだ。

長野「(会見で)マスメディアを優先させるということですけど、石丸さんこそSNSを活用した選挙で票を伸ばした、という部分があります。今年は都議選、参院選と、選挙の年でもあります。エイトさんはずっと選挙の取材をしてきて、SNSを舞台にいろいろなことが起きる選挙は今年もつながっていくと思いますか?」

鈴木「はい。つながって、拡大していくと思います。でも別にSNS対オールドメディア、という構図ではないんです。SNSの中で取り扱われている情報、そういうものも、もとをたどればオールドメディアといわれるところがつくったものが回ってもいる。対立構造ではなくSNSをどう活用していくか。その中で、特に兵庫県知事選であったような、デマ情報が広まって結果を左右するようなところにまでなった、という事例を考えると、情報の危うさをどう規制していくか。規制という言葉を使うのは難しいんですけど」

長野「はい」

鈴木「言論の自由もあるし。ただデマ情報をいかに排除していくか、という中でいわれているのが、たとえば収益アカウントをどう規制するか。既に自民党は動いているようですけど。選挙のかたちについてはかなり、夏の参院選、都議選の前に、なんらかの動きはあるでしょうね」

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ビリオネアが13人も!「第二次トランプ政権人事」超富裕層が支持される背景をニューヨークZ世代が考察

ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

1月8日(水)のテーマは「ビリオネアが13人も! 新トランプ政権の人事にZ世代が物申す」。富豪が多く所属する新トランプ政権の人事について、「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が意見交換しました。


※写真はイメージです



◆アメリカンドリームが目の前の現実を曇らせる?

2025年、アメリカは年明けと同時にニューオリンズとラスベガスでテロと見られる事件が発生し、多くの人が犠牲になりました。どちらもアメリカ人による同胞をターゲットにした事件で、波乱の1年を予感させるものとなりました。

そして、1月20日には第二次トランプ政権が発足します。トランプ氏は11月の当選直後から、大胆な閣僚人事で波紋を呼び続けていますが、なかでも話題なのは、政権の中枢にイーロン・マスクをはじめとした“超富裕層”が13人もいること。これは史上最高の数です。格差と貧困の問題が広がり続けるアメリカでは、こうした人事に疑問視する人もいます。一方で、ビジネスに長けている人が政治を司るほうがいいといった意見も。

資産を10億ドル以上保有する人を「ビリオネア」と呼びますが、アメリカでは800人が該当します。アメリカの上位1パーセントがビリオネアで、国の資産の3分の1以上を保有している状況です。アメリカ人の3人に1人は貯金もなく、10人に1人以上が貧困であり、この格差は急速に拡大を続けています。

アメリカ人は不公平を感じながらも、なぜトランプやイーロン・マスクなどの超富裕層は支持を集め続けるのでしょうか? アメリカのZ世代が、ビリオネア政治の背景を分析しました。

メアリー:アメリカ人には「階級意識」というものがほとんどないから、人々は自分がどの階層に属しているのかあまり理解していないと思うんだよね。

それどころか、多くの人は「いずれ自分はお金持ちになる」という夢を持っている。それが「アメリカンドリーム」だとされているよね。その結果、みんなが自分を「今はダメだけど、未来の億万長者だから」と考えているんじゃないかな。

ノエ:みんなが「いつかは大金持ちになれる」と信じているということだよね。アメリカでは階級意識が欠けている一因として、最上層が雲の上すぎて、実態がよく見えないからだと思うよ。

たとえば、ビリオネアのマードック家をモデルにした「Succession」というドラマがあるよね。あそこで描かれているような億万長者たちは確実に存在している。だけど、私たちは彼らを見ることなんてほとんどないし、彼らが何百億ドルもの取引をしているとは想像しにくい。

年収30万ドル(4,500万円)くらい稼いでいる人たちなら日常で見かけるよね。それでも「すごく稼いでるな」と感じる。だけど、大きな視点で見ればそんな額は全然トップとは言えないんだよね。

メアリー:一方で、格差の拡大のために人々は自分たちの権利が奪われていることに気づいていないと思うよ。たとえば組合について。なぜか多くのアメリカ人は労働組合に対して否定的なんだよね。組合に入っていない人のほうがずっと増えている。入っていない人は「組合員が与えられている素晴らしい福利厚生を自分は持っていない。だから、彼らもそんな権利を得るべきではない」と考えてしまう。

それよりも、自分たちも組合を作って、同じ権利を手に入れる努力をすればいいのに。こういう認知的不協和っていうのかな、本人も気づいていない矛盾した考えや行動が問題の根源だと思う。

こんなに貧富の差が開いても、超富裕層に対しては不公平と感じない。なぜなら「いつか自分もお金持ちになれる」というアメリカンドリームがあるから、とラボメンバーは推測します。植民地からの独立という経緯で誕生したアメリカ合衆国は、出身や階級に関係なく、「自らの努力で成功をつかむことができる」という考えを強く持ちます。

ですが、一方で“持たざる者”同士の争いも絶えません。自分が持っていないものを隣人も持つべきではないという考え方がアメリカにはびこっています。「ビリオネアが少しでも富を分配すれば多くの人の暮らしが楽になるのに、というのが富裕層への増税を呼びかけるプログレッシブの考え方です」とZ世代専門家のシェリーは解説します。


(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆トリクルダウン経済は“幻想”と一蹴

トランプ政権では、富裕層や大企業に対して減税をおこなうことで経済が活発になり、お金が下の層にも回ってくるとしています。これはいわゆる「トリクルダウン経済」と呼ばれるものです。1980年代以降の大幅な減税により、むしろ格差がどんどん開いていることから、トリクルダウンは幻想だったという論調が強くなっています。ラボのZ世代の意見を聞いてみましょう。

ノエ:ある人が「トリクルダウン経済なんて誰が許したんだ?」と言っていたんだ。「お金を全部億万長者たちにあげれば、それが下に降りていく」とか言ってさ、みんながそれを信じたわけだよね。それについて「なんでそのとき誰も怒らなかったんだ?」って言っていて、たしかにそうだなと思ったよ。だって結局、みんな欲深いじゃん。誰も自分から進んで分け合うなんてことはしないと思う。

メアリー:だけどね、人間は本来欲深いわけじゃないと思うんだ。人は社会で共存する必要があるし、そこで利益を得て当然でしょう? それが人間だと思う。

ノエ:たしかに人間はもともと強欲じゃないとは思う。だけど、今の状況を見ると、みんながすごく欲にまみれている感じがするよ。お金や権力が欲しい人は、貪欲だからそれを手に入れる。でも、無関心な人たち(おそらく多くの人はそうだよね)は欲がないから手に入れることができない。権力者は貪欲だから権力者になれるし、権力も金も分け与えてはくれない。

メアリー:本来ならそこで政府が介入すべきなんだろうね。そんな不公平なことを許しちゃいけないんだから。

ノエ:でも、政府自体が億万長者の集まりになっていたらどうしようもないよ。むしろ、自分たち富裕層への減税がどんどん進むんじゃないかな。

メアリー:特に「政府効率化省」だっけ? イーロン・マスクが率いる新しい省庁は本当にバカげてるって感じる。

人間の善性に頼ったトリクルダウン経済に、Z世代は「誰も自分から進んで分け合うなんてことはしない」と冷静です。また、イーロン・マスクとビベック・ラマスワミの2人のビリオネアが率いる「政府効率化省」に対しては、大量の国家公務員の解雇や、社会保障費の削減につながると危機感が高まっています。

人間は本来強欲ではないけれど、強欲な人ほど権力と金を握り、分配はされない。それが本当だとしたら、多くの富裕層を擁する第二次トランプ政権はどうなってしまうのでしょうか。「トランプが約束したように、庶民の暮らしは本当に楽になるのか? 第二次トランプ政権の今後をこれからもお伝えしていきます」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。

<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト:https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/

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