マッチングアプリなどで既婚者が独身と偽って交際をしたり、性関係を結ぶ独身偽装が今、大きな問題になっています。10月27日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、憲法学者で東京都立大学教授の木村草太がこの問題について語りました。
木村「既婚者かどうかは関係を形成する上で非常に重要な要素です。ところが既婚者であることを隠して婚約指輪を用意するとか、騙している相手側の両親に挨拶したりして信頼関係を得て関係を深める。ひどいケースでは一緒に不妊治療を進めて実際に出産をしたなどというケースもあります。当然、これは婚姻生活をしているわけですから、どこかで破綻をします。被害者は婚姻に向けて使えたはずの貴重な時間を奪われ、あるいは既婚者であることを知っていたら絶対なかったであろう関係を結んでしまう。それによって深い心の傷を負うということになるわけです。
この問題に関連して刑法の話なんですが、2023年に刑法の性犯罪関係の規制の改正がありまして、暴行、脅迫を要件とした強制性交罪が不同意性交罪にあたると改められました。現在の刑法177条2項では行為が猥褻なものではないと誤信をさせ、もしくは行為をするものについて人違いをさせ、あるいは誤信、人違いに乗じて性交等をした場合は不同意性交と扱うとされているんですが、この時、独身を偽装しての性行為は処罰対象とはしないという条文になっております。
ですので現在、独身偽装は民事で争うしかないわけです。賠償自体は、かなり高額の賠償が認められるようになってきているんですが、失った時間とか出産の事実とか、そういったことは取り返しがつきません。刑事罰の対象に含めていれば被害を軽減できたかもしれないといわれております。
先週末、刑法学者の島岡まな先生とイベントでご一緒したのですが、島岡先生は独身偽装による性行為も処罰範囲に含めることを検討すべきではないかとおっしゃっておりました」