気仙沼向洋高校の旧校舎を震災遺構として公開。“津波が見える”施設を残す意義

震災遺構として保存される気仙沼向洋高校の旧校舎

4階まで津波が押し寄せるも、生徒全員が無事

気仙沼市階上(はしかみ)地区には3月11日、12mほどの津波が襲い、200名以上が亡くなった。気仙沼向洋高校も4階部分まで津波が押し寄せた。しかし、生徒170人は全員、より高台にある階上中学校などに避難して無事だったほか、校舎に残った先生や近くで工事を行っていた作業員ら合計48人は南校舎の屋上に避難し、助かった。

市はこの校舎を震災遺構として保存することを決定。見学ルートの整備などを行い、併設する伝承館とともにオープンさせた。来場者は、3階の教室に残された車や松の幹、床に散乱した教科書やパソコン、4階の壁に残された津波の跡など、津波の恐ろしさを見学できるようになっている。また、階上地区の15人が語り部として参加し、自らの体験を伝える役割を担う。山梨県から訪れた女性は「実物だな、というのがグサっとくる。語り部の方の話も聞いたが、そこまで逃げてやっとだったのかと思った」と息を飲んでいた。

保存することへの賛否

気仙沼向洋高校の旧校舎は、生徒が無事だったこと、校舎で亡くなった方がいないことなどを理由に、震災遺構として残されることになった。ただ、前述の通り、階上地区では200名以上が亡くなっている。階上地区に住む方々からも戸惑いの声が聞かれた。

妹が行方不明のままという男性「被害にあってるから、思い出したくないこともある。妹も行方不明のままなんだ。妹は助かったんだけど、孫を助けに行くって戻っちゃった。海さ行く途中でやられちゃったんだね。これからの人には(旧校舎は)あったほうがいいけど、ちょっときついのはあるな」

また、娘と孫の3人で伝承館を見に来た男性「女房の実家が裏手にあって、津波で妻の母親が流されたので…。うちの妻は、海の方に来たがらない。8年経ってもそう。だから今日も伝承館には行かないって。人それぞれだから何とも言えないですよね」

一方、旧校舎が残る意義を強調するのが、語り部を務める近藤公人さん。「車がある、校舎が壊れている、松の幹が部屋に残っている。目で見る。“津波を見られる"証がいっぱいある。これは貴重。更地にしても、後世には何も伝わらないと思う」

また、向洋高校OBのひとりは、母校への想いを口にした。「当時1年だった。今は石巻に住んでいて、母校がどうなったか見に来た。震災を伝える役目を果たしてほしい。津波が来たらとにかく逃げる。とにかく逃げるんだって。映像だと、現実としてわからない。やっぱり現実にこうなったんだよって伝えることが大事だと思う」

先生たちは屋上で生き残った。その屋上から見える杉の下地区では、避難場所になっていた高台に津波が押し寄せ、93人が亡くなった。ある方は「高校では助かったけど、杉の下では93人が亡くなった。そのことも一緒に知って欲しい」と話す。岩手県大槌町の旧役場庁舎が解体されるなど、各地で津波の爪痕を残すものが減っていく中、気仙沼向洋高校の旧校舎は津波の恐ろしさと避難の大切さを伝える役割を果たしていく。

The News Masters TOKYO
放送局:文化放送
放送日時:毎週月曜~金曜 7時00分~9時00分
出演者:タケ小山、西川文野、長麻未
番組ホームページ
公式Twitter

※該当回の聴取期間は終了しました。

傘、忘れちゃった! そんなとき役立つ、「傘のシェアリングサービス」使い方は?

突然の雨に見舞われ、コンビニでビニール傘を購入。自宅に傘がたまっていく! ……なんてことはありませんか? 傘のシェアリングサービスが広まることで、そんな事態がなくなっていくかもしれません。いったいどんなサービスなのか、「アイカサ(iKasa)」を運営する株式会社Nature Innovation Groupの丸川照司さんに話を伺いました。

【3月12日(火)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、寺岡歩美)】
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20190312093436


■1日70円で傘を借られる! 同じ場所に返さなくてOK

「アイカサ」は、街の決められた場所に置き傘があり、事前登録していれば、傘を1日70円で使えるサービスです。傘についているQRコードを読み取り、暗証番号を受け取らないと開かない、という仕組みになっています。使用後は、決められたスポットであれば、どこでも返すことができます。24時間を超えるとプラス70円、最大で月420円課金され、翌月になると再び加算されるという料金システムです。なぜ丸川さんはこのビジネスを思いついたのでしょうか?

丸川:実は中国に先例がいくつもありまして、2017年のシェアリングブームを見て「これ日本にないのかな」とググったらなくて、僕がほしいと思ったんです。


■現在は100ヶ所に1000本設置中

「アイカサ」の傘はしっかりした作りで、傘にスポンサー名がついていることで安く借りることができるというビジネスモデルです。現在は100ヶ所に合計1000本が置いてあります。

丸川:今後、数倍で増やしていきます。渋谷を中心に50ヶ所あり、他都内に50ヶ所、ほぼ23区内です。ユーザー登録数は約5000人です。
サッシャ:気になるのは、持ち帰っちゃった、傘を電車に忘れてしまった、この場合はどうなるんですか?
丸川:最終的に返してもらえれば、傘を家に持って帰るのは自由です。ただ、電車に忘れてしまった、なくしたという場合は864円をペナルティ代としていただいています。壊れた場合は「僕らが弱い傘を作ってしまった」ということで、ユーザー負担はなしになっています。そもそも壊れない傘を作っていて、90度以上曲がるようになっています。


■2020年には3万本を目指す

今、ビニール傘は年間8000万本、購入されているとか、「それだけ困っている状況がある、人がいるということなので、いつかゼロにしたい」という丸川さん。目標を達成するには数百万本の傘が必要です。まずはプラスで3000本作って3倍増やし、2020年のオリンピックまでに3万本を目指します。来日外国人にも「手ぶらで日本を楽しんでほしい」と語りました。

現状「アイカサ」はオフィスビル、飲食店、駅直結の施設、コンビニなどに設置されています。LINEで「アイカサ」に友だち登録すると、設置店の地図へアクセスできます。雨の日の集客効果を狙い、設置を希望するお店も増えているそうです。現在置き場所も募集中です。「アイカサ」を利用したい人はホームページからもワンタップで登録可能なので、ぜひチェックしてみてください。

この番組をラジコで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時−13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

Facebook

ページトップへ