角川文庫・関口靖彦が芥川賞&直木賞作品を語る! 『黒牢城』『塞王の楯』『ブラックボックス』それぞれの魅力とは? 〜1月20日「大竹まこと ゴールデンラジオ」

1月20日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)には、角川文庫の関口靖彦さんが登場。発表されたばかりの第166回芥川賞、直木賞作品を紹介した。

今回の直木賞は、米澤穂信さんの『黒牢城』(KADOKAWA)と、今村翔吾さんの『塞王の楯』(集英社)のダブル受賞。
奇しくも両方戦国時代を舞台とした作品となった。
関口さんは「(米澤さんも今村さんも)候補作に選ばれるのが初めてではなかったので、いよいよというか、そういう期待はご本人も周囲からも高かったと思うんです」と語る。

米澤穂信さんの『黒牢城』(KADOKAWA)について――

関口「私も大好きな作品です。既にミステリー賞を4つ取っている上、山田風太郎賞も受賞し、本屋大賞にもノミネートされています。タイトルの通り城を舞台としていて、荒木村重と黒田官兵衛を軸に、城内で起きた事件を解き明かしていくストーリーです。ミステリーの骨格を持っているんですけれど、当時の信仰や武将のものの考え方など時代考証も行き渡っていて、米澤さんの代表作になるんじゃないかなと思います」

今村翔吾さんの『塞王の楯』(集英社)について――

関口「侍を主人公にするのではなく、城を守る石垣を築く石工 vs 城を崩すための鉄砲職人という仕立てで、戦を描き出しています。今村さんは時代小説をたくさん書かれている作家さんですけれど、大ボリュームを読ませる勢いというものはさすがだなあという感じで」

芥川賞は砂川文次さんの『ブラックボックス』(群像八月号)。

関口「現代の社会の仕組みの中で、どんどん境目が見えなくなっていくというか、下から上に行くということが難しくなっていく中、下の方に向かってしまう若い世代の感情を描いています。まだ文芸誌に掲載されただけで、単行本は来週発売されます」

砂川さんは32歳の公務員。受賞インタビューでも若さが垣間見えた。

関口「たとえば自転車で食事を配達するような仕事も、若い今だからできるけれど、20年後までずっとそれができるのか? 20年後の自分っていうのが、今よりいい状況になっているというのはなかなか見えない……そういう今の日本の空気というのが、よくとらえられている作品だと思います」

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