コロナ禍前に戻りつつある新卒採用。日本航空、JTBに加えホンダや三菱電機でも採用増

読売新聞と日本テレビ放送網は、2023年春入社の新卒採用に関する調査結果をまとめた。4月19日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこの結果について、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏に、寺島尚正アナウンサーが意見を求める場面があった。

この調査は3月中旬から4月上旬にかけて、国内の主要企業118社を対象に実施されたもの。2022年春より採用を増やすとした企業は36%増にのぼった。一方、前年より採用を減らすとした企業は9%で、昨年の21%、一昨年の15%から大幅に減少した。コロナ禍からの経済の正常化を見据えた積極採用だ。

日本航空でも、客室乗務員で3年ぶり、事務系、技術系で2年ぶりに新卒採用を再開し、前年の3倍以上の採用を行う計画。JTBグループも2年ぶりに新卒採用を再開。小売業では大丸松坂屋百貨店などが採用を増やす。

製造業では、ホンダと三菱電機が採用人数をおよそ2割増に。ヤマハ発動機は脱炭素に向けた新技術開発の強化で6割増、日本製鉄は退職者の補充などで5割増とする予定だ。この結果に田中氏は、業界だけでなく雇用形態や性別によってコロナ禍の影響が異なっていることを指摘した。

「雇用面にコロナの打撃が大きかったのは、居酒屋のようなテイクアウトの難しい一部の飲食業、旅行業、そしてその周辺の取引関係にある業態で、主に女性を中心とする非正規雇用に影響がありました。実は新卒採用に関しては、コロナ禍の中でも比較的堅調だったんですね。コロナ禍以前には、新卒採用を中心に人手不足が常態化していたわけですよ。新卒採用に関しては(以前のように)戻っていくのかなと思いますね」(田中氏)

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経営陣が掲げたパーパス経営に困惑!?どう捉えるのが正解か『長尾一洋 ラジオde経営塾』4月18日(月)放送

約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答!
今回は昨今話題の”パーパス(purpose)”について「経営陣の掲げたパーパスに、メンバーが困惑気味…」という会社員の方からのお悩みをピックアップした。

■スポーツ/レジャー関係会社員『経営陣の定めたパーパス(purpose)に困惑気味です…』
昨今よく耳にする”パーパス(purpose)”についてのお悩みを寄せてくれたのは、ラジオネーム『エウーシ応援団』さん。プロフィールとご相談は以下のとおり。
・会社員
・スポーツ/レジャー関連企業勤務

「最近よくパーパスという言葉を耳にします。当社もご多分にもれずパーパスを定め社内外にリリースされましたが、いまいち浸透しているように思えません。
経営陣の意図はわかるものの、”当たり前といえば当たり前”という気持ちもあり、どう捉えていいか困惑するメンバーも…。パーパスの理解と浸透についてアドバイスをお願いします(一部略)」
パーパス経営を掲げる経営陣と、社内メンバーの間に温度差がある模様。
MCの八木アナも「ビジョン、ミッション、パーパスと乱立しているような印象で。どう区別するかわからない部分があるんですが…」と、ちょっと戸惑い気味だと言う。

■purpose=目的?そもそもパーパス経営って何だろう
パーパス経営とは、直訳すると”目的経営”。
「そのまま言えば”企業の目的は何か”ということ。”存在意義”と説明する場合もありますが、どっちにしてもわかりにくいですね(笑)」と話し始めた長尾社長。パーパスはいわゆる”ミッション”とニアリーイコールと考えられる。
ミッション=使命感、パーパス=目的。端的に言えば、どちらも「何のために」を定めて経営するということになる。

■「SONYがやっているからやる」は正しい?

パーパス経営で話題となったのがSONYグループ。2019年に『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。』というパーパスが掲げられ、パーパス経営流行の発端となったのは記憶に新しい。

しかし「SONYがやっているから…」と、どんな会社でも同じように策定を行うことに意味はあるのだろうか?
長尾社長の見解では、SONYグループのパーパス策定には、グローバルに展開する上場企業だからこそ、アメリカを中心とする世界の潮流を無視できない背景もあるのでは…とのこと。ESGやSDGEsなどのキーワードも含め、グローバル企業にはトレンドに添った情報発信が不可欠。
しかしドメスティックで活動する中小企業の場合、状況は同じとは言えない。パーパス策定自体は良いことだが、そのニュアンスや踏み込み具合は違っていいと長尾社長は考える。
■具体的な行動あってこそのパーパス
ご相談のようにパーパスの浸透や理解が十分で無い場合はどうすればいいのだろうか。
長尾社長はパーパス(ミッション)を、ビジョンとセットにすることが重要だと話す。目的に照らしてどんなビジョンを描くのか、自社なりのストーリーを明確にすること。
根本的には「これはパーパスに基づいた行動だ」と社内が納得するような、具体的な取り組みが必要となる。例えば「ウチはこういうパーパスだからこんな事業をやる」「こういう商品を出す」など。
綺麗事だけを掲げると「いや、ウチの会社変わってないじゃん!去年も今年も同じ、来年も同じことやるらしいけど、急にパーパスってのが出てきて…」という残念な事態にもなりかねない。

■百戦錬磨のコンサルタントだからこそ言えること

パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー…横文字の流行語の乱立も混乱の原因になっているかもしれない。
「我々(コンサルタント)も当然こういうのが出てくると使いたくなるんですよ(笑)」と長尾社長。流行語は、どこかのコンサルティング会社が考えて出しているものと思われるので、あまり踊らされないようにしたらいいですよ…と、歴戦の経営コンサルタントならではのアドバイスも飛び出した。
コンサルティング会社が使いやすい用語はブームになりがちだが、自社にとって実際どんな意義があるかを良く考えて取り組むことが重要となる。

■「世のため人のため」は良いことなので…

パーパスには一般的に”世のため人のため”となる内容が盛り込まれるもの。本来的には、パーパス策定は良いことだと長尾社長は言う。
「たしかに会社のミッションやパーパスを理解して、どういうふうに自分たちが動けばいいのか考えていくのは重要なことですね」と八木アナもしみじみ納得し、回答が終了した。

■『エウーシ応援団』さんへの回答まとめ
・パーパスはミッションとほぼ同じ。
・パーパス(ミッション)はビジョンとセットで。目的に基づいた、独自の、具体的な取り組みなくば、社内外への浸透は難しい。
・グローバル企業がパーパスを掲げるのは、アメリカを中心とした潮流を無視できない背景も。ドメスティックで活動する企業が、表面だけを真似しても意義は薄い。
・「世のため、人のため」をパーパスに掲げるのは、本来的には良いこと。流行語に踊らされるのではなく、本質的な取り組みを。

 

 

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