財津和夫、ヘタウマをやって上手い人を超えていく力を持っているビートルズを目指した
TULIP・財津和夫が、時には60年代の音楽の潮流を考察してみるRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。6月9日の放送では、ロックそしてビートルズへの思いを、いつもとは異なる切り口で綴ります。
勉強になる音楽と、心惹かれる音楽は違う
6月9日は日本語の語呂合わせで「ロックの日」。そして、財津がROCK=ロックと聞いて思い浮かべるのは勿論ビートルズ。そのロックの起源について、財津が口を開く。「ビートルズのホワイトアルバム(英米では1968年発売の2枚組アルバム『ザ・ビートルズ』の通称)の中の『ヘルター・スケルター(Helter Skelter)』いうポールマッカートニーが作って歌った曲がある。そこから『ロック』が始まったって言われてますね」
ロックという言葉は、誰が言い出したのかもいまやわかりませんが、ビートルズのこの曲から始まったというのは有力な諸説うちのひとつのようです。
世界中で若者の力が大きな高ぶりを見せた1960年代。アメリカではベトナム反戦運動がムーブメントのひとつとなっていました。
「自分たち若者が、なぜこれをやっちゃいけないんだろうという思い。それを代替する言葉がロックだ、と僕は考えています。社会的なメッセージが強かったんです。音楽の力って凄いじゃないですか。だから、その音楽の力と同時にロックという言葉が若者を動かしたんでしょうね。」
「ちょっと気取った言い方をすると、ROCKって書かれたチェーンを世界中の若者みんなで持っていたような気持ち。このチェーンで大人たちを巻き付けてどこかに捨てよう、そんな力をロックという言葉が持っていたんだと思います」
ロックの根源的な意味を語ったところで、ビートルズ以外のロックについて問われた財津、「僕は、ロックを語るにあまりふさわしくない人間なんですよ」と、なぜか尻込み調になってしまう。自分は軟弱な人間で、問題意識も何もなく、カバー演奏をしたくてバンドを組んで歌を始めたのだ、と。意識的に安保闘争や反戦歌フォークなどの潮流から、距離を置いていたのかもしれない。
ロックから離れて、若かりし頃の財津の音楽への傾倒・嗜好について、思うままに話が続く。
「どんな歌も好きでしたね。ビートルズは格別に好きでしたけど、変な感じだったんです。ビートルズは一言で言うと語弊がありますが、ヘタウマをやって上手い人を超えていく力を持っている。その力にどういう秘密があるのかをものすごく知りたかったんですけど、今でもわかりませんけどね」
「他のアーティストはものすごく演奏も歌もうまいし、音楽的にもしっかりわかりやすく、そして高度な感じで伝えてくれるんです。そういう意味では大好きで、勉強にはなりましたね」
音楽的に教養の高い勉強になる音楽と、なぜか心惹かれる音楽は違っていたのだ。
「いろんなアーティスが好きでしたけど、そのアーティストというより曲が好き。作品が良ければアーティストが誰でもいいじゃないですか。PPMはハーモニーが面白くで良く聴いていました。それからビージーズ。ビートルズのモノマネで出てきたんですけど、その時も、ディスコサウンドになってからも良かったですよ」
「あの頃のバンドは、世界中がみんなビートルズを目指したんじゃないですか。TULIPは、目指しても近づくこともできないだろうな、でもマネしたいなって」
いまだにビートルズの力は世界中すごい、ということで、今回の財津のロック論転じてビートルズ論はお開きです。
今日の一曲は、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」。1954年に発表、翌1955年のアメリカ映画「暴力教室(Blackboard Jungle)」の主題歌として使用され、大ヒットしました。ロックンロール時代の始まりの曲のひとつともいわれています。
次回6月16日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
「麺類」についてお話しします。
- 財津和夫 虹の向こう側
- 放送局:RKBラジオ
- 放送日時:毎週日曜 18時15分~18時30分
- 出演者:財津和夫、下田文代
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※該当回の聴取期間は終了しました。