財津和夫、何十年も前の曲の謎かけにやっと気付いてくれたファンに「してやったり」
TULIP・財津和夫が、時には長い道のりを振り返るRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。8月11日の放送では、先週に引き続きTULIP50周年記念ツアーを終えた今の心境を、お伝えします。
忘れられない大雨の鈴蘭高原
足掛け3年に渡ったTULIP50周年記念ツアー。改めて、今の心境は問われると「前回でもう全部喋っちゃいましたよ」といつもながら嘯く財津ですが、先週に続き今回もデビューからの52年間を振り返ります。
財津「いやもういろんなことがあったんですけどね。でもなんかもう終わりよければ全てよし。全部忘れましたよ…本当にもう楽しい思い出しか蘇ってきませんね」
という事のようですが、まずはリスナーからのお便りを下田アナが読みます。
下田「『TULIPは50年前から最前線の音楽を実践し、フォークでもなくロックでもないTULIPという不思議なジャンルで日本の音楽シーンを作ってこられました。改めてTULIPを聞いてみますと、その斬新さに驚かされます』というお便りです」
財津「そんなこと言っていただけると本当嬉しいです、半分は社交辞令かもしれませんけど。やっぱりどこかね、僕ら自身が『俺たち、時代先取りしてやってるぜ』っていう自負もあったからこそ、エネルギーに変わったんだと思うんですよね。そこを分かってくださってる」
下田「7月19日のツアーファイナルでも、コーラスもTULIPの魅力だ、とおっしゃってましたね」
財津「そうですね、コーラスはもう大好きで、ハーモニーすることがバンドだと思ってるんで。どのアルバムでもしっかりコーラスワークしてやりましたんで、それが楽しかったですね。バンドは一度分解したこともありましたしね…いろいろありました」
下田「忘れられないコンサートだったり、思い出のシーンだったりはありますか」
財津「よく言うんですけど、鈴蘭高原って岐阜県のスキー場をコンサート会場にして(1978年が1回目)。その頃TULIP絶頂期でしたからね、全国どこからでも(バスツアーなどで)来てくれたんですよ。鈴蘭高原での2回目(1980年)は大雨になって本当に音も出ない。観客の皆さんも膝近くまで水たまりで。みんな若いし、ここまで来たんだからやりましょう!ってことでやったんですけど、音が鳴らないし、コンサートっていう形が取れなかったな。でも、最後の曲までやって、なんか会場の皆さんがそれでもOKしてくれたんですよ。僕はブーイングが来るってずっと思っていたけども、拍手が来た。コンサートというものについて考え直しましたね」
スタジオの机の上に、TULIPのアルバムがいくつか並んでいる。
財津「デザインですか…『TAKE OFF』のあたりまでは、みんな(事務所・スタッフ)で考えたんですけど、その後人気が出始めたんで、発言力もついて、自分たちで決めるようになりましたね」
そう言いながら、アルバム「日本」のジャケットを手に取る。
財津「これが一番印象深いかな。僕たちは洋楽をやってるんだけど、日本人。日本では洋楽風なものをまだ受けられ入れられないし、かといって僕らがやってる洋楽を、西洋に持っていっても受けられないし、すごく宙ぶらりんな気がして。日本ってのは一体何だろう、日本人ってなんだろうみたいなことを生意気に考え始めて、ちょっと皮肉ったアルバム作ろうって、タイトルを『日本』にして」
真っ白な丸いお皿の真ん中に、紅い梅干しが1個。日の丸をイメージした梅干しに添えられたナイフとフォーク。日本人であるTULIPが、日本の歌を歌っているのに洋楽風に仕上げている、それを皮肉ったアルバムジャケットなのだ、と。
財津「今となっては、笑っちゃうんですけど。アルバムの最後に、君が代が入ってるんですよ。アルバムのオリジナル全曲終わって、結構長い間時間経ってから、そこでもう針をあげた頃かなって、いうのを見計らって。だから知らない人もいるかもね」
アイロニーと悪戯心の混じったそのアルバムが、目の前にある。
最後に、ファンに向けてのメッセージを。
財津「一緒に年取った感じがね、嬉しいんですよ。一緒に年を取っていくと、酸いも甘いも阿吽の呼吸というのがありますんで。一緒に曲を歌ってくれるっていうのは、またそれで僕にとって凄い感動になる」
下田「若い頃、そのまま感じられる曲もあれば、50年の中で新しい発見があったり・・・」
財津「そうですよね、そう言ってくださる人が多いです。『なんであんなときにこんな歌作ったのか、やっと今、理解できました』と言ってくれると、してやったりとか、ちょっとしたいい気分になりますね」
次回8月18日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
「甲子園」について、お話します。
- 財津和夫 虹の向こう側
- 放送局:RKBラジオ
- 放送日時:毎週日曜 18時15分~18時30分
- 出演者:財津和夫、下田文代
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※該当回の聴取期間は終了しました。