「炭坑節」発祥の地・福岡県田川エリアで盆踊りを体験リポート!
RKBラジオのキャスタードライバー・スナッピーは、2024年のお盆期間中、福岡県内各地におじゃまして、思い思いに休みを過ごす人たちを取材しました。8月15日には、田川郡香春町(かわらまち)の盆踊りに密着。『Toi toi toi』の中でリポート、踊りも体験してきました。(報告・スナッピー前田愛美)
地元の盆ダンサーに聞いた香春の盆踊りの魅力
8月15日は「ふるさと香春夏まつり盆踊り大会」当日。例年、2000人が来場するという規模の大きい盆踊りです。すでに会場となる香春町立総合運動公園には櫓が設置されていました。その櫓、なんとお城の形をしているんです!
なぜ、この形をしているか取材してみると、この櫓のモデルになっているのは、かつて香春岳の中腹にあった「難攻不落の鬼ヶ城」と呼ばれた香春岳城とのこと。「何か香春町らしい特徴を」ということで、35年前の盆踊り大会からこの形になったそうです。
これを教えてくれたのは、香春町観光協会の西部知恵さん。
4歳の頃から盆踊りを踊っていて、盆踊りが大好きな「盆オドラー」なんです。この放送の前日も田川市郡をまわって夜通し踊りあかしたとのこと。「炭坑節」発祥の地として知られる田川地域は、どこも盆踊り文化が盛ん。地区ごとにいろんな盆踊りが開かれています。
そんな西部さんが持っている特注の団扇にも盆踊り愛が込められていました。
取っ手をよく見てください。平らではなく丸いんです。
踊るときにこの団扇を使うので、クルクルと回しやすいように円柱状になっているそうなんです。踊りのことを一番に考えられた団扇に脱帽です。
炭坑節の歌詞がこの町ならでは
ところで、あなたは「炭坑節を1番から歌ってください」と言われたら、どう答えますか? たいていの人は「〽月がー出た出ーたー、月がー出たー」と歌いますよね?
ここ香春町では、この歌詞はなんと3番。1番の歌詞は「〽香春岳かーらー見下ろせばー」なんだそうです! 地域のシンボルが冒頭に出てくるのも、香春町の盆踊りの特徴のひとつ。西部さんもこの炭坑節で小さい頃から歌い、踊り育ったそうです。
盆踊りの魅力について西部さんは「もちろん先祖の供養、伝統文化を守るというのも大事なんですが、みんなで地域の人が一緒になって歌い踊るという文化そのものを愛している」「皆で輪になって踊るのが楽しい」と教えてくれました。踊りの輪に入るのか、入らないのか? この「わずか1メートルの差」で楽しさが全然違うそうです。
香春町の盆踊りの特徴は他にもあります。この会場での盆踊りはぜいたくなことに「生歌・生演奏」。櫓の上に口説き手と三味線、太鼓の奏者が登り、彼らが奏でる炭坑節で踊ります。西部さんは「ライブ感があるので、まるでフェスのようなテンション」と話します。
スナッピーも盆踊りを体験
上香春盆踊り保存会の方たちに、踊りを習いました。教えてくれたのは踊り手の毛利さんと松川さん。2人は踊り手歴55年の大ベテランです。
毛利さんは、香春に嫁いできてすぐ、夫の兄妹に囲まれて、手足の上げ方を特訓されたとのこと。「最初はびっくりしたし、踊ったことも無かった中で戸惑った」と話す毛利さんに、兄妹たちは「盆踊りを覚えないと家族に出来ない。嫁に来れない」と容赦なかったそう。「もちろん、冗談でですけどね」と笑って話してくれました。
「完璧にできるまでは3年かかった」(毛利さん)という踊り、スナッピーの神谷留菜もやってみましたが、足のステップだけでもついていけません。これに手の動きまで加えると、かなり苦戦しそうです。
香春町内でも地区によって違いがあるそうで、上香春では太鼓と踊りと口説きに、三味線も加わります。このエリアは別名・魚町と呼ばれる商人の町。三味線が入ることで「お座敷のような感じ」になるそうです。昔は地区の各家庭に三味線があり、誰でもパッと弾けたそうです。
50分間歌い続ける「口説き」の名人
上香春盆踊り保存会の会長を務めているのは、口説き歴20年という渡辺さん。
携えてきた「香春盆口説き」と書かれた譜面には、書き込みがいっぱいありました。「独特の節回しに慣れるのにもっとも時間がかかったから、特に気をつけている」とのこと。その渡辺さんの歌声はとてもきれいで気持ちが落ち着きます。この声を聴きながら盆踊りを踊ると、気分も最高でしょうね。
盆踊りで歌うのは、香春町の歴史が織り込まれた「「香春城落城秘聞ー清瀬姫恋物語り」。1段は約10分、それが全部で5段目まであり、約50分間も歌い続けなければならないそうです。
「ふるさと香春夏まつり盆踊り大会」は毎年8月15日に開催されています。生の演奏と生の口説きで楽しめる盆踊り、機会があればぜひ参加してみてください。
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