松尾潔・兵庫県知事めぐる報道に「人が亡くなっている重みを考えるべき」

兵庫県庁

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題をめぐり、8月23日に百条委員会が開かれた。多くの県職員によるアンケート回答があったことや“おねだり疑惑”をメディアが報じる一方、元局長が亡くなっているという事実を伝える報道が減っていることに対し、音楽プロデューサーの松尾潔さんは8月26日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「人が亡くなっている重みを考えるべき」とコメントした。

県職員の7割がアンケートに回答した重み

斎藤知事のパワハラ疑惑が長引いています。内部告発があり、人事局がそれに対してどういう対応をしたのかがどんどん明らかになっていますね。8月23日、百条委員会が開かれ、職員が証言しました。

百条委員会というのは国会における国政調査権に相当するもので、地方自治法第100条に規定されているから百条委員会といいます。関係者が証言したり、記録を提出したりするもので、8月30日には知事本人の証人尋問がインターネット中継されるようです。

8月23日に行われた百条委員会を受けて斎藤知事は県庁でその後に取材に応じていますが、「県政をより良くするために必要な指示や指導をしてきたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と述べていました。

斎藤知事が「大変残念だ」と言うその内容は、兵庫県のホームページに132ページに及ぶ「兵庫県議会文書問題調査特別委員会」が掲載されていて読むことができます。さすがに僕も途中で細かく読むのは断念して、ざっと読みました。

今回の知事に対する問題以外にも、いろんなアンケートが取られていて「職員の皆さん、よくぞここまで語ったな」というようなことが記載されています。これだけの数の回答を目の当たりにすると、もう「降参」と言っちゃうのが普通の反応じゃないかと思うんですが、そうはならないのが斎藤知事たる所以でしょう。

9700人いる県職員の7割にあたる、6700人が回答しているということはすごいことだと思います。しかも、記名・無記名はどちらでもよいのですが、分かっているだけで300人以上は名前を書いているそうで、この数字も重いと思います。

周囲の声を聞かなかった斎藤知事

そんな中でもポイントになっているのは人事局が『公益通報の調査結果が出るまで、懲戒処分を待つべきではないか』と進言した際、知事が「調査結果を待たずに元幹部を処分できないか」と打診してきたと職員が証言したことです。

拙速に過ぎるというか、後ろめたいことがある人の行動のように思えてなりません。斎藤知事本人もある程度「自分がそういうことをやった」という自覚があるんじゃないかと思います。

「複数の弁護士に意見を聞くべきじゃないか」というようなことを複数の県幹部が5月の綱紀委員会で言ったらしいですが、それもことごとく知事は「問題ない」と断っていたそうです。

任期の途中でも声をあげることはできる

こういうことが明らかになっているのに加え、次々に出てきた「おねだり体質」。メディアによっては揶揄するような言い方もしていますが、これだけ報じられているので、実際そういうこともあったんだろうなと思わざるを得ません。

なんでこんな人が選ばれたんだろう、というところまでどうしても考えてしまいます。もっとも、選挙から数年経つと、「あのときの選挙で、何で選んじゃったんだろう?」というのは国政も含め色んなところである話です。

こんな時に「次の選挙ではそういう人を選ばないようにするしかない」と言う人がいますが、僕は首長の振る舞いや政治手腕に対して疑問を持った場合、次まで待たずに声を上げるべきだと思います。任期の途中であっても処遇に対して民意を突き付けることができるわけですから。

仮に斎藤知事に票を投じた人であっても「あのときの自分は間違っていた」と素直に認めてリコールするのもいいと思います。選んでしまったということの過ちを認めることは有権者も、ある種の胸の痛みが生まれるかもしれませんが、人間が人間であることのリスク、あるいは集団で生活を営むうえでのリスクと思うしかないんじゃないかと思います。今、斎藤知事は1期目ですが、「任期までは」という意図があからさまに出ていますね。

人が亡くなっている重みを考えるべき

全国的な問題になっていますが、初めは「ほとぼりもいずれ冷める」と思っていたんでしょう。この鋼のメンタルを持っている人を相手にどうやって説得するのか。進言する人はたくさんいてもこうなっているわけですから。

その他にも「エレベーターのボタンも押せないのか」と恫喝したことなど、細かいことも言われていますね。それを聞いて音楽業界のある名の知られた歌姫も、レコード会社のエレベーターをずっと開けて待ってなきゃいけないという話を思い出しました。

結局そういう人ってやっぱり周囲も離れていきますよね。最近は斎藤知事の細かいパワハラの事例がオンパレード状態なので、報道の優先順位として後回しになりがちですが、この問題をめぐっては元局長が亡くなっています。

今、亡くなったことをあまり報じなくなっているので、改めて重みというものを考えて、面白おかしくパワハラの事例をただ揶揄するのではなく、地方自治体の長にふさわしい資質とは何かということを、兵庫県民以外の私達も考えるべきじゃないかと思います。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、橋本由紀、松尾潔
番組ホームページ
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※放送情報は変更となる場合があります。

田原総一朗「トランプ大統領に会って、 ロシアや中国のトップと会談すべきと助言するつもり」と主張 4/22~25『長野智子アップデート』に出演


文化放送の『長野智子アップデート』(月~金曜日 午後3時30分〜放送)では、スペシャルウィーク期間中の4月22日(火)~25日(金)の4日間にわたり、ジャーナリストの田原総一朗にインタビューしたコーナー番組『田原総一朗が「今、話すべきニュース」』を午後5時20分頃から放送する。

『長野智子アップデート』は、キャスターの長野智子がその日に起きたニュースを丁寧に振り返るとともに、最新情報をいち早くアップデートする番組。4月22日(火)~25日(金)の4日間はスペシャルウィーク特別企画として、「死ぬ瞬間までジャーナリスト」であることを誓った田原総一朗にインタビュー。先日91歳を迎えた田原に、国際情勢や日本の政治など今話題のニュースについて聞く。

22日(火)は「トランプ大統領」がテーマ。第二次世界大戦後、世界平和を維持する役割を担ってきた「パクス・アメリカーナ」の考え方を手放したトランプ大統領について、田原はこの判断を「理解はできる」と一定の評価をしつつ、「日本はアメリカとロシア、中国が戦争しないように交渉する重大な役割がある」との考えを示した。
23日(水)は「石破政権・今後の政界」がテーマ。田原は石破茂首相の人柄を「安倍一強内閣の時代に、唯一彼を批判できた男」と高く評価する一方で、自民党内では少数派に属する中で、「総理大臣になってから言いたいことが言えなくなり、立場が難しくなった」と分析。加えて、日本の政治は「これまで高度成長や対米従属といったはっきりとした道筋が見えていたが、現在はどうすべきか、誰も説明できる人はいない」とコメント。そのうえで、「日本の主体性をどこまで打ち出すかが課題になる」と示唆。田原は「私もトランプ大統領と対面し、中国やロシアのトップと会うべきだと助言するつもりだ」と主張する。
また、田原も視察した「大阪・関西万博」についてトークした24日(木)放送回は、田原が最も印象的だったという人工的に虹を作り出す宮田裕章のパビリオン「Better Co-Being」が話題に。その後も持論を展開しつつ、徳川家康が幕府を京都から江戸へ移し、それによって成功を収めた歴史などに触れていく。
最終日となる25日(金)の放送では「時代の変化」をテーマに考察。AIによる技術革新、SNSによる選挙の変化といった話題がのぼる中、田原流のAI・SNSとの付き合い方を語る。

【番組概要】
■番組名:『長野智子アップデート』
■放送日時:[月]午後3時30分~5時00分 [火~金]午後3時30分~5時35分
■パーソナリティ:長野智子
■パートナー:[月]鈴木純子(文化放送アナウンサー)[火~木]鈴木敏夫(文化放送解説委員)
■スペシャルウィークゲスト:
田原総一朗 ※4月22日(火)~25日(金)午後5時20分~5時30分頃出演・収録

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