財津和夫、『岬めぐり』にインスパイアされて『サボテンの花』を作った想いを振り返る
TULIP・財津和夫が、時にはアンサーソングとして作詞した曲への想いを振り返るRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。12月15日の放送では、『サボテンの花』の創作経緯に触れます。
財津和夫をポケットに詰め込んで
コンサートグッズのアイディアは誰が考えているのか、などいくつかの質問が届きました。
財津「何十年ぐらいか前までは私が考えていましたけど、ここ10年ぐらいはもうお任せで…考えるのが面倒くさいし、時間取れらたくない。どんな変なものができあがっても受け入れるようにしました」
スタッフは一所懸命に企画・制作されているはずです、「変なもの」だなんて…
下田「ご自身で考えた頃のグッズって、どういうものだったんですか」
財津「いや、なんか女性が好きそうな流行りのものですよ。例えばトートバックとか。利益を上げることは大切なんですけど、いいものじゃないと『こんな変なの作りやがって』と思われたくなくて、利益よりも質優先にしてました」
下田「(TULIP50年アンコール公演のグッズの)黄色のTシャツに書かれた『ありがとう』の文字は、財津さんの書いたものか、というお問い合わせですけど」
財津「違いますね。僕はこんな字書きません、誰が書いたんですかね」
スタジオにも現物を持ってきましたが、確かに一見手書き風のようでも、どうやらロゴとしてのデザイン性が高い字体のようです。
ソロコンサートの他のグッズも確認してみます。
下田「アクリルスタンドもありますよ」
財津「アクスタって言うんですよね。本人が言うのもなんですけど、なかなか良い感じです。Tシャツに比べると100倍くらい良いです」
下田「カッコ良いし、ファンの方は旅先などに持って行って、写真を撮るんですよ。そうすると、一緒に旅行した気分になれる。これだったら、ポケットに入れて夜汽車に乗ることもできます」
財津「こそばいなぁ」
定期運航している寝台列車は、日本中でひとつしかない時代になりました。あとは豪華なクルーズトレインぐらいですが、機会のある方はどうぞお楽しみください。
『岬めぐり』みたいな良い曲を作りたい!と思って
アンサーソングに関するお便りを頂戴しました。
財津「そうですね、アンサーソングを急にね、思い出せって言われても…準備しとけよってことですけど、すいません、本当にごめんなさいね」
まずは、そもそもアンサーソングとは何か、をおさらいする事に。ただ単に問われたから答える曲というのではなく、続編であったり、インスパイヤされて作ったり、とか広い意味で捉えて良い、という事をふたりで確認した上で、お便りの内容をなぞります。
財津「で、間違いなく『サボテンの花』は『岬めぐり』がすごく良いなぁと思って…ただ、残念な事に山本コウタローの作詞じゃないんですよ…詩が抜群に良くて、やっぱりプロが作ってましたね。一番刺激を受けた箇所は『激しく砕けるこの波のように』という所があるんですよ、そのあと『君を愛せば良かった』かな、そこはパクりました」
正確には岬めぐりの『くだける波のあの激しさであなたをもっと愛したかった』の部分を指しているようです。
財津「『サボテンの花』では、『絶え間なく降り注ぐこの雪のように君を愛せば良かった』。愛し方って、その人その人で色々ありますから」
岬めぐりを作詞したのは山上路夫。「世界は二人のために」、水戸黄門の「ああ人生に涙あり」、「学生街の喫茶店」、などなど挙げればきりがない大ヒットメーカーの作詞家です。
財津「(山上さんの詞は)コウタローが歌う時に『この歌の主人公は、激しく砕ける波のように、激しい愛を与えれば良かった』って後悔している訳です。私は、『ずっと静かに愛し続ければ良かった』という主人公にしたかったんで、『絶え間なく降り注ぐ』にしたんです」
岬めぐりはフォークソングタッチだから、サボテンの花もフォークソング調にしたのだ、とも。岬めぐりは岬を巡って心を洗濯して街へ帰ろうという所で終わる。
財津「だから、僕も主人公が前を向いて歩いた方が良いと思って、曲のエンディングに『♪ラララ』って、明るい言葉を入れたんです」
当時のスタッフには、凄く良い曲だけれども、悲しい曲の最後になんで♪ラララなのか、あれは止めた方が良い、と助言されたらしいが…
財津「主人公は前向きに生きて行こうという人間であり、曲調がメジャーな曲だから『♪ラララ』でもいいかなって」
でも最近になって、♪ラララじゃない方が良かったのかな、とか思ったりもしている、との事。岬めぐりではなく、堂々巡りしているようです。
また、松田聖子の『レンガの小径』が、『サボテンの花』のアンサーソング、と言う主旨のお便りについては、少なくとも作曲者である財津は初耳との事です。作詞した松本隆にその意図があったかどうかは不明ですが、財津のコメントについては、どうぞ番組を聞いてお確かめください。
今日の一曲は、TULIP『一人がいいさ』。1975年(昭和50年)発売のアルバム「無限軌道」に収録されています。
次回12月22日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
「来年の抱負」について、お話します。
- 財津和夫 虹の向こう側
- 放送局:RKBラジオ
- 放送日時:毎週日曜 18時15分~18時30分
- 出演者:財津和夫、下田文代
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番組ホームページ
※該当回の聴取期間は終了しました。