中国映画『舟に乗って逝く』は注目の感動作品に!

クリエイティブプロデューサー・三好剛平氏 ©RKBラジオ

福岡では6/13(金)からkinocinema天神にて公開予定の中国映画『舟に乗って逝く』。中国新世代の若手監督、陳小雨(チェン・シャオユー)の長編デビュー作であるにも関わらず、中国最高の映画賞と言われる金鶏賞で注目を集め、受賞も果たした一本。年老いた病気の母とその最期を葬り出す家族たちの物語は、シンプルながらも誰にとっても覚えのある心の痛みと再生を描ききる滋味深い味わいの感動作になっているそうだ。その魅力をRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』に出演したクリエイティブプロデューサーの三好剛平さんが語った。

作品について

さてこの『舟に乗って逝く』という作品ですが、まずはそのあらすじ紹介に入る前に作品の舞台となる徳清県(とくせい、中国読みはドーチン)という街について少し触れておきます。

 

徳清県は、“東洋のベネチア”とも称される江南地域に位置する小さな町で、その称号の通り、町の中を運河が流れ、数十年前まではどの家にも車代わりに舟があったような水郷地区の田舎町です。しかし近年では、時代の移り変わりとともにその舟は姿を消していっており、まさしくこの町、そして舟というモチーフはそのような時代の移ろいや変化を暗示するものとして機能します。さらには他ならぬ中国という国それ自体が、ここ数十年大変な経済発展や開発などに伴う社会の変化、そして世代間の価値観の変化を経験してきた国であり、その中で徳清という古い小さな田舎町を舞台にすることは、日本で想像するより何倍も、時代の移ろいや変化を意識させる舞台装置になっています。

 

さてそんな本作のあらすじはこんな内容です。

多くの運河があり、かつては舟が生活の要となっていた江南地域の町・徳清。

かつて舟に乗ってこの地に嫁入りしたという老母のジンは、今ではこの田舎町で一人暮らしをしていた。しかしジンの身体にある日、重い病気が見つかる。上海でアメリカ人の夫と暮らす長女と、旅のガイドをしながら風来坊のように生きる弟は、余命わずかな老いた母の治療と看病のために徳清に帰ってくることを余儀なくされる。やがてその看病の日々のなかで、それまで目を向けずにきた母と子の関係や、娘、息子そしてその家族たち一人ひとりが成してきた選択の数々が紐解かれていくうちに、徐々に母の最期の日が近づいてきて——というお話です。

 

この映画、まずは本作の監督・脚本をつとめたチェン・シャオユー監督自身の家族とその体験がベースとなった物語だったようで、舞台となった徳清は監督の出身地だっただけでなく、劇中の老いた母ジンの発言の80%はご自身のお祖母様が実際に話していた言葉だったと言いますし、なんと映画のなかで重要な舞台となる母ジンの家もそのお祖母様の家だったのだそうです。

 

とはいえそれでは単にご自身のエピソードを再演しただけの映画になっているかといえばそうでもありません。先ほどご紹介したように本作のあらすじそれ自体は非常にシンプルな物語であり、それこそが本作の意識するものだったようです。監督は「僕たちはこの映画を、リアリズムの映画として撮ったわけではなく、言ってみれば『帰る場所』『家』『死』をめぐる寓話」として作品化したと語っており、実際の監督ご自身の家庭にあったもう少し複雑で特殊な事情はあえて削ぎ落とし、あくまでどの家族にも共感してもらえるような普遍的な要素に絞ってこの映画を完成させた、といいます。そうすることで「映画の最初から、どんな結末になるか想像がつきます。ですが特殊性を切り捨てても普遍的な、どんな家庭でも起こりうる物語を語るというのが、私たちの決断でした」と語っています。この目論見はただしく機能しており、今回の作品はまさしくその誰にも心当たりのある「普遍性」によって特筆すべき一本になっていると思います。

 

また本作には若き監督によって撮られた映画ならではの、現代中国社会への批評的な眼差しも反映しており、それはこの映画の会話の端々に登場する、現代中国の圧倒的速度との対比です。およそ人間や自然のリズムとは比べ物にならない速度で経済と開発が発展する社会のなかで、人々はその住む場所すら安定させることができず、明日の仕事や生活にも不安を抱きながら生活を重ねています。かつての親世代によって「少しでも良い生活を」と田舎町から大学に通わせてもらい、やっと掴んだ都会での生活であったはずなのに、その現実は速度と競争にさらされた厳しいものであること。その中で人々は自分の本当の居場所を見失い、まるで川を漂流するように漂い、その行き先と帰る場所を求めているように見えます。

 

そんな彼らが、大切な人の最期という場面をむかえたとき、彼らは何重の意味においても「帰るべき場所」というものと今一度向き合うことになります。大切な人の死を予感しながら、それに右往左往しながらもやがて行き着くべきところへ流れて着いていく。そうした人々の人生模様を、この映画はまるで河の側から泰然とした眼差しで見つめるような作品になっており、その仕上がりは若手監督とは思えない老成ぶりと洗練があります。とはいえ古臭い映画にもなっておらず、きちんと2020年代に語られ直す普遍的な中国の、もっといえば誰にでも思い当たる家族の、帰るべき場所の、大切な人との最期の寓話として成立しており、ちょっと感心させられます。僕はかなり見られて良かったなぁと感じる一本でしたし、鑑賞後には思わず自分の母や家族に一報入れたくなるような、そんな一本でもありました。すごく良い映画ですよ。

 

映画『舟に乗って逝く』は、今日6/13金より福岡ではkinocinema天神にて公開です。ぜひご覧ください。

映画『舟に乗って逝く』公式サイト

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、田中みずき、三好剛平
番組ホームページ
公式X

出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

ついにあーりんの夢の企画が実現! 串カツ田中での収録第1弾 配信開始!

ニッポン放送が制作するポッドキャスト番組『オールナイトニッポンPODCAST 佐々木彩夏の0100』の串カツ田中店舗収録の第1弾が、7月19日(土)17時に配信された。

佐々木彩夏

収録はオープン前の串カツ田中東銀座店で行われた。佐々木彩夏は今回の収録に向けて、朝から何も食べずお茶だけで「最高の状態」で来店したという本気ぶり。前配信回では、次の仕事が入ったらお酒が飲めないと心配していたが、リスナーの祈りがマネージャーに届き、当日はほぼオフということでお酒を楽しめることになったと報告。いつも愛用している「田中で飲みPass」を購入し、生ビールでスタッフと乾杯した。

食事では、佐々木のお気に入りメニューランキング上位の「生ハムユッケ」「うずら」「たらこ3個」を注文。たらこについては「3日ぶり」、「普段は1日7本注文する」と明かし、「ママの卵焼きか、串カツ田中のたらこかぐらいの安心感がある」「実家みたいな安心感」と愛情たっぷりにコメントした。

最後には佐々木が長年憧れていた「無限ニンニクホルモン串30本」を遂に注文。「夢だったんだけど。嬉しい。夢が叶って」と感激の様子を見せ、配信終了間際に30本の山盛りが到着。その感想は次週26日配信の第2弾にて語られる。

 

Facebook

ページトップへ