見終えた後誰もが好きになる!タイ映画『親友かよ』とは?
福岡ではKBCシネマで7/4(金)より公開となったタイ映画『親友かよ』。ひょんな理由から、不慮の事故で亡くなってしまった同級生を偲ぶための映画をつくることになった主人公が、やがてその映画づくりを通じて真の友情とは何か、そして人生にとってかけがえのない時間とは何かを伝える一級の娯楽作品。息つく間もなく2時間引き込まれ、見終えた後には誰もがこの映画のことを好きになってしまうような作品だと、RKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』に出演したクリエイティブプロデューサーの三好剛平さんが魅力を語った。
GDH559というタイ映画のメインストリーム
さて今回紹介するのはタイ映画ですが、まずはリスナーさんとお二人に質問です。タイ映画といえば皆さんはどんな映画を思い浮かべますか?作品名や雰囲気など、是非イメージしてみてください。
たとえば2011年に『ブンミおじさんの森』でカンヌ国際映画祭の最高賞を受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクンなどに代表されるアート映画のイメージ?あるいは2020年前後からはBL映画などを通じてタイ映画に触れた方もいらっしゃるかもしれません。ただ今回ご紹介するのはタイ現地で興行収入面でも国民的大ヒットを記録するような、いわばタイ映画のメインストリームど真ん中の娯楽作品のご紹介となります。
2010年代後半あたりからタイ映画のメインストリームでは、欧米で映画づくりを学んだ新世代による、それまでとは異なるタイ独自のおしゃれで洗練されたルック、そしてタイのユースカルチャーのスタイリッシュな手触りと欧米や韓国、日本など各国映画の良いところを独自の組み合わせで“映画づくりのパズル”をクリアしたような、巧みな脚本やユニークで鮮やかなアイデアに満ちた、新しいタッチの映画が現地でも大ヒットを記録し始めます。その代表格とも言えるのが日本でも2018年に公開された『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』という作品です。大学受験にむけて高校生たちグループのカンニングをスタイリッシュ&スリリングに描いた本作はタイ国内で歴史的大ヒットを記録したほか、なんとそのハリウッド版リメイクが来週日本でも劇場公開されるほどの一本になったほどでした。今回紹介する『親友かよ』ではその『バッド・ジーニアス』の監督がプロデューサーを務めています。
こうしたタイの新しい映画トレンドを牽引しているのが、「GDH559」という映画制作・配給会社です。昨年にはちょうど先日みずきさんもご紹介されていた『おばあちゃんと僕の約束』という映画ではタイ本国で歴史的大ヒットを記録したばかりでなく、アジア各国でも大ヒット、ひいてはアカデミー賞の国際長編映画部門でショートリストにまでノミネートされるという快挙を達成。最近ではアメリカで新しい映画制作を続けている制作会社「A24」をもじってGDHを「タイのA24」と紹介するメディアも出てきているほどです。今日ご紹介する映画『親友かよ』も、そんなGDHが手がけた一本なんですね。
映画『親友かよ』について
それではここからは作品の内容へ。まずは本作のあらすじから。
主人公である高校3年生のペーは、転校先のクラスで隣の席になったジョーと知り合う。初対面で「友達になりたい」と話しかけてくる人懐っこいジョーに対し、「もうすぐ卒業だから」と距離を保つペーでしたが、わずかその数ヶ月後、ジョーは不慮の事故で亡くなってしまいます。そんなある日、「心からの感動」をテーマにした短編映画のコンテストで入賞すると入試免除で大学に進学できると聞いたペーは、家業の工場を継がされる呪縛から逃れるためにも、自分をジョーの“親友”だと偽って、ジョーが遺したエッセイを利用した“感動的”な短編映画を撮ることを画策。そこにジョーの中学校時代からの本当の親友だったボーケーという女生徒や、撮影に参加する映画オタクたちが現れ、やがて映画制作は学校全体を巻き込んだ大規模なものに。充実した撮影が進むにつれ、ただ席が隣でしかなかったジョーの本当の魅力に気づき始めるペーだったが…という物語です。
まず驚かされるのは、本作のアイデア豊かな脚本の構成力。前半はちょっとずる賢い主人公ペーのコメディタッチな悪巧みにはじまり、やがて仲間たちと熱中していく映画づくりの学園モノ的な爽やかな楽しさ、そして中盤からは亡きジョーが残した思わぬ謎に直面していく謎解きミステリー的な展開へとスクリューしていくといった具合で、2時間の鑑賞時間中に次々とジャンルを跨ぎながら、単なる感動ドラマ一辺倒にはさせず、どこへ連れていかれるのかわからないようなスリリングさで結末まで導く一級の娯楽作品ぶりです。
そしてもう一つの魅力はメインキャストたちの、劇中のキャラクターに完璧にハマった存在感です。主人公ペーと亡き友人ジョー、そしてジョーの本当の親友だった女生徒ボーケーという3人のケミストリーは本当に見事で、なかでも女生徒ボーケーを演じたティティヤー・ジラポーンシンという女優さんはちょっと目を見張る素晴らしさでした。現在20歳の彼女は今ではシャネルのアンバサダーも務めるほどタイ現地でも大人気の女優さんですが、本作では、彼女が笑えば映画が笑うし彼女が泣けば映画が泣く、というほどあまりに魅力的な映画の中心を成しており、彼女が登場する場面では画面からまったく眼が離せません。驚くほどの画面支配力!個人的には2025年最優秀主演女優賞あげたいくらいで、彼女の絶妙な存在感と泣きと笑いの演技を見るだけでも僕はこの必見の一本に推したいほどです。
さてそんな具合で終始飽きさせない本作が、最終的にどのような結末を迎えていくかは是非皆さんに劇場で見届けてほしいところですが、少しだけ予告しておくならばそれは、奇しくも映画の初盤で主人公ペーが映画づくりを始める際に全校生徒に向けて宣言する通り「大切なことは“友達”、そして“映画”の2つです」ということになります。ダイナミックな展開盛りだくさんに楽しませてくれながらも、最後には私たちにとって「親友とはどういうものであるのか?」、そして「“誰か”にとっての良い映画とは何か、そして真に映画が果たせることとは何か?」という問いへの答えを、この映画ならではのやりかたで結んでいく、味わい深い結末へと向かっていきます。
いよいよ今年も下半期に入るこのタイミングで、この文言もだいぶこすられ始めてきていますが(笑)、個人的には「年間TOP10入り確実」な作品と、三好印を捧げたい一本です。めちゃくちゃ楽しくやがてじんわり、そして最後には忘れられない——もとい「忘れたくない一本」になると思います。
映画『親友かよ』はKBCシネマで7/4(金)より公開中です。ぜひご覧ください。
※放送情報は変更となる場合があります。
