ノルウェー3部作映画の特集上映企画「オスロ、3つの愛の風景」は傑作確定!

クリエイティブプロデューサー・三好剛平氏 ©RKBラジオ

福岡・KBCシネマで9/26(金)より3週にわたって1本ずつ公開されるノルウェーの3部作映画の特集上映企画【オスロ、3つの愛の風景】『DREAMS』『SEX』『LOVE』。『DREAMS』『SEX』『LOVE』はダーグ・ヨハン・ハウゲルードというノルウェー出身の映画監督が2024年に発表した3部作で、いずれの作品も各国国際映画祭で高い評価を集めた注目作品だ。RKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』のコメンテーター・三好剛平さんは、今日までに3本のうちまず2本の鑑賞を終えたところだが、傑作評価確定、どころかそのうち1本は今年ベストかもということで、その魅力を語った。

『DREAMS』『SEX』『LOVE』

まずはこの監督、ダーグ・ヨハン・ハウゲルードさんについて。1964年ノルウェー生まれ。大学で図書館学を学び、司書として勤務した後、小説家としてこれまで4冊の長編小説も出版。そして2012年に映画監督として長編デビュー作を発表しこれが“ノルウェーのアカデミー賞”と呼ばれるアマンダ賞で4部門受賞をはじめ国内映画賞を総なめに。その後2019年に2作目を発表したところ、この作品も各国映画祭で賞を獲得するだけでなく、更にアマンダ賞では歴代史上最多の9部門を受賞を果たすなど、ノルウェーでは確固たる地位を築いている監督です。

 

今回の【オスロ、3つの愛の風景】という特集で上映される監督の『DREAMS』『SEX』『LOVE』という3部作は、当初1本の長尺映画を構想していたらしいのですが、その後トリロジー=3部作とする方がより面白くなるだろうということで3本の映画になったと言います。

 

この3本の作品ですが、まず最初に発表された『SEX』は2024年のベルリン映画祭で3部門を受賞、続く『LOVE』はヴェネチア国際映画祭でコンペ部門出品を果たし、『DREAMS』は今年のベルリン映画祭でノルウェー映画初となる最高賞の金熊賞を受賞。3作連続の快挙に世界中から注目が集まりました。今回の日本公開は、ハウゲルード監督の日本初劇場公開となるものです。

 

女性教師に恋をした17歳の少女が自らの初恋を綴った手記が彼女自身とその周囲の人々に思わぬかたちで反響していく『DREAMS』、オスロの病院の泌尿器科に勤める女性医師と男性看護師の2人が様々な愛の形を模索する『LOVE』、煙突掃除夫として働く妻子持ちの男性が、とある体験をきっかけに”〇〇らしさ”の困難に直面し自らを見つめ直していく『SEX』。

 

僕はこのうち現時点で『LOVE』と『DREAMS』をまず拝見したのですが、ちょうど明日9/26(金)からKBCシネマで最初に上映されるのが『LOVE』という1作であり、またこの1本こそが「もう今年の年間ベストはこれで良いかも」と思うくらいに素晴らしい一作でしたので、ここからはこの『LOVE』という作品についてご紹介を深めて参ります。

判別不能な狭間の感情を生きる人間たちに希望を見出す『LOVE』

それではまず『LOVE』という作品のあらすじを。

 

オスロの病院の泌尿器科に勤める女性医師のマリアンヌと、男性看護師のトール。マリアンヌはある晩、女友達から紹介された男性と会うべくパーティに参加しますが、子持ちのその男性との恋愛にはあと一歩前向きになりきれません。その後、街に戻る際に乗り込んだフェリーで同僚のトールに遭遇すると、彼はマッチングアプリでフェリーに同乗している相手を見つけるカジュアルな恋愛を試しており、「偶然出会う相手とのまっさらな関係だからこそ、不思議な親密さがあるんだ」とマリアンヌに語ります。彼の話に興味を抱かされたマリアンヌは、実際にそのアプリ越しの相手探しを試してみることに。一方でトールも、フェリーで精神科医のビョルンという男性と知り合い、その数日後、偶然勤務先の病院でふたりは再会し──、というふうに物語が進んでいきます。

 

ここまでお聞きになったリスナーの皆さんは「え、その物語がどうすればそんなに感動する話になるの?」と思われるかもしれませんが、信じてください笑。ちゃんと、めちゃくちゃ良くなります。そのポイントは、この映画が人々を見つめる眼差しにあります。

 

ここでリスナーの皆さんにお尋ねなのですが、皆さんには、人々が行き交う雑踏を遠くからずっと観察し続けたような経験はありませんか?あるいはその人々の行き交う様子を見ながら「ああ、あの人たち一人一人にも人生があるのだなあ」と思いを馳せたことも。もしそうした経験が一度でもあるリスナーさんなら、この映画はまぎれもなくあなたの映画です。

 

劇中には折に触れてノルウェーの街を人々が行き交うようすや、船から眺めた街の遠景が繰り返し登場します。はじめは街の空気感やその風景の美しさを伝えるものとして僕も見ていたのですが、徐々にこれが映画全体の語りに具体的に機能しているものだと気づかされていきます。

 

映画にはいずれも、通常の人とはちょっと違う価値観に基づいて恋愛や人生を重ねている人物たちが登場します。もし彼らの会話を他の人が聞いたら「え、そこはOKなの?」「そこには抵抗があるんだ…」という具合で、そのモラルや感情の境界は、他人や社会が想像するよりもずっと複雑で、あいまいです。彼らはそれぞれに「それは恋なのか?」「やさしさなのか、エゴなのか?」「遊びなのか、愛なのか?」といった既存の判別ラインの狭間で、ためらいながらも徐々に相手との関わりを通じて、ときにやらかしたり・うまく行ったりしながら、右往左往を重ねながら生きている。映画はそんな一人ひとりの人生を描き出していきます。そのような物語が、先にも述べたノルウェーの街を俯瞰で眺めるショットと呼応したとき、この映画はまさしくそうした景色の向こうに一人ひとりの、ときに不様でも愛すべき無数の人生とその物語があるのだということを見出し、提示していく映画なのだということを了解するわけです。

 

加えてその会話劇を通じて導かれる人生のエッセンスが、どれも本当に真摯で、素直で、やさしく、また何よりも美しいものとなっており、もう見ている間に「ああ、この映画が見せたかったのはそういうことだったのか…」と時間を重ねるほどに感動が増していきます。

彼らは、白黒つけられない判別不能な感情のなかで、徐々に大切な相手に関わる勇気を見出していく。その葛藤や逡巡の先に得られる、他人や自分の人生への喜び。そうした人間たちの小さな無数の物語をこの映画は、そしてオスロの街は、静かに見つめ続けるわけです。ラストに至ってはもうお見事の一言で、僕は思わず終幕後に立ち上がって小さな声で「ブラボー…!」と口走ってしまったほどです。

 

そして、何がすごいって、これ級に素晴らしい作品があと2作も用意された3部作が、ここから3週にわたって上映されることです。ね、これはもう必見ですよ。

 

ノルウェーの3部作映画『DREAMS』『SEX』『LOVE』が順次公開される特集上映企画【オスロ、3つの愛の風景】はKBCシネマで9/26(金)より3週にわたって開始されています。どうかお見逃しなく!というご紹介でした。


 

特集上映企画【オスロ、3つの愛の風景】

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、田中みずき、三好剛平
番組ホームページ
公式X

出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

【西武】滝澤夏央選手インタビュー 試合に出続けることでの気持ちを切り替える難しさを語る

11月7日放送のライオンズエクスプレスでは、埼玉西武ライオンズの滝澤夏央選手にインタビューした模様を放送した。試合に出続けることでの気持ちを切り替える難しさ、バッティングで手応えを感じた部分について訊いた。

――昨シーズン、1軍での出場が68試合でしたが、今シーズンは125試合とほぼ倍になりました。これだけ多くの試合に出ると、見えてくる景色、身体への負担は全然違いましたか?
滝澤「全然違います。いいことも悪いことも、次の日にはまた試合があるので、切り替えの難しさも感じましたし、悪かったからといって引きずっていたら、次の日も結果が出ないというのも分かりました。どうやって気持ちを切り替えていくかというのは課題かなと思っています」

――今シーズンはどうやって気持ちを切り替えてきたのでしょうか?
滝澤「正直うまく切り替えられたというのはあまりなくて、次の日は絶対にやり返そうという気持ちでやっていたので、切り替えるためにこうしたというのはあまりないですね」

――試合後に室内でバッティング練習をおこなっていたかと思いますが、試合後に復習や確認をする作業はかなり取り組んでいたのでしょうか?
滝澤「確認という気持ちでやっていたのではなく、これから野球やる上で日々の積み重ねが大事だと思っているので、少しでもレベルアップできるようにと思ってやっていました。確認動作というよりは、レベルアップのために振り込んでいた感じです」

――今年は特にバッティングがよくなったかと思いますが、バッティングフォームなどを変えたのでしょうか?
滝澤「バッティングフォームはあまり変えていないです。考えかたですかね。今までやってきたことがだんだんとできるようになってきて、それが自信になり「この球はこうできたから、じゃあ考えかたを変えてとか、この球は狙っていなくてもファウルにできた」という感じで、少しずつ打席も多く立たせてもらったので、自信になった部分を活かせたかなと思います」

――昨シーズンの打率は.186でしたが、今シーズンは.234でした。ご自身のなかで1番バッティングの手応えを感じた部分はどの辺りでしょうか?
滝澤「僕はバントです。ここぞという時にバントを決めれば、次の打席に心の余裕だったり、気持ちが乗ってきて楽になります。状況に応じて、アウトやヒットは関係なく満足できる打席が増えたというのが、一打席凡退してからの負の連鎖はあまりなかったのかなと思います」

――昨シーズンの犠打数は10で、今シーズンの犠打数は23でした。犠打数も倍になりましたね。
滝澤「送りバントでヒットになったのも多かったですし、自分のイメージした通りのバントが増えたかなと思います。そのなかでミスはありましたけど、自分みたいな打者は100%バントを決めないといけないと思っているので、継続できるようにやっていきたいと思います」

※インタビュアー:文化放送・長谷川太アナウンサー

Facebook

ページトップへ