財津和夫、理想のコンサートは客の眉毛の本数までわかる少人数の観客と気を通わせながら歌うのが夢

TULIP・財津和夫が、時には新聞の連載記事への感想メッセージを紹介するRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。3月29日の放送では、思い出のアナログレコードについて、そして日本経済新聞に連載されてからもう4か月経った『私の履歴書』へのリスナーからの反響に対して、今回もひとつずつ答えていきます。

実家の秘蔵品

「帰省した際、母親から実家に置いたままのレコードを終活のため処分したいと申し渡されたが、中身はTULIPのデビューから1979年までの全てのレコード。処分するのが忍びなく自宅まで持ち帰ることにした」とのお便りを紹介しました。

財津「最近は、塩化ビニール盤(のレコード)が若者に人気だっていうことで、商品的価値も上がってきてるんですよ。音が、こっちのほうが気持ち良いっていう人もいるんですけど。希少価値で、どっかから出てきたら、『これ1万円ぐらいする』とか、『2万円ぐらいする』とかっていうのもあったりしますからね。いやいや、こんな時代になるとは思いませんでした。私、塩化ビニール盤のレコードは、もの凄く持ってましたけど、どっかの倉庫に(しまってあるハズです。)…うちの事務所で倉庫を借りてるんです。遠いところ、東京の外れの外れですよ」
下田「本当ですか」

財津「お母さんが『終活して断捨離して、捨てるんだ』っていう気持ちはよくわかるんです。でもね、中高生のときに買い溜めたレコードっていうのは、思い出があるじゃないですか」
下田「宝ですよ」
財津「僕も、ほとんどのレコードは、『もういらない』って言ってもいいんですけど、最初に買ったレコードとか思春期に買ったレコードって思い出があるんで、それは捨てられないな」
下田「そうですね。この方も、お母様が捨てずに(自分が)持ち帰ったということなので」
財津「良かったですね。持ち帰ったって、どのくらいあったんですかね。塩化ビニール盤のレコードに針を落として、チリチリチリチリっと音が聞こえてくると、気持ちだけは先に、この曲を初めて聴いた頃にパッと戻りますからね」

理想は30人

去年11月に、日本経済新聞に連載された『私の履歴書』。読後の感想が、まだまだ番組宛にもにもたくさん届いています。今回もいくつかご紹介します。

財津「『特に最終回の、30人くらいのお客さんの前で、町から町へ全国を歌い歩く暮らしの分が良かったです』ということなんです…僕が書いたわけじゃなく、喋ったことをプロが書いてるんです。だから読みやすかったと思いますけど…僕が書くたら、いつも読みにくいって言われるんで」
下田「ホントですか?」
財津「この『30人くらいのお客さんの前で』、ね…これって、歌い手の理想かな、理想という言い方は違うか…夢、ちょっとした夢ですよ。大きな会場って、もう(観客の顔が)見えないじゃないですか。3階席まであったりすると、3階席に『あ、人がいるよな』ぐらいしかわかんないんですよね。で、30人くらいだと、もう眉毛まで」
下田「眉毛まで」
財津「何本生えてるかわかるじゃないですか。だからそういうところで、気を通わせながらやるっていうのが、夢なんですよ。という事を(お便りの主は)分かってくださって、そこが良かったとおっしゃってくださったんですかね」
下田「そうかもしれませんね」

では、2通目の感想のお便りです。
下田「『中でも吉田さんに対する後悔を最後まで加筆されていた点が、あなたの真面目さを物語っており、ジーンと来ました。お元気で、海の見える家でお過ごしください』、と書かれてまして…」
財津「ありがとうございます。真面目なのかな…まあ、でも本当に心底悪い奴、不真面目な奴っていないですよね」
下田「そして、海の見える家。これ過ごしたいっていうのは、番組でもおっしゃっていて、履歴書でも最後に語っていらっしゃいました。いいですね」
財津「そうですね。僕、海の見えるところで生まれて、少年時代ずっと海と会話してきましたんで。ええ、海さんが見えるところで、海さんといろいろ老後のお話をしながら過ごしたいと思います」
下田「いいですね、ギターつま弾きながら。ピアノポロロンとしながら」

財津「ピアノあるかな、そんとき。聴くほうが嬉しいんで、あの、ええ、ちゃんとした音響設備を整えて、それ以外は、なんでもいいんですけど。冷たい風が入ってこなければいいですね」
下田「じゃあ、暖房きちんと」
財津「暖房は必要ですよ、やっぱり。クーラーもちょっと必要かもしれないし、いいベッドも必要かもしれないしね。床暖もいるかもしれない」
下田「サウナはどうですか?」
財津「サウナは、僕が入ったらもうそのまま、スルメになってしまうんで。せっかくイカなのに。スルメになっちゃうんで、もうサウナはいいです」

もう一つ、新聞連載の感想を紹介します。
財津「『実は、音楽より先に財津さんのエッセイのファンになり、その率直な語り口に心地よさを感じておりました』(後略)…そうですか、なんか嬉しいな。音楽より先にエッセイのファンになったなんて、作家じゃないですか、僕」
下田「そうですよ」
財津「しかもね、文章の作家ですよ、すごいな。エッセイ、楽しいんです。歌では表現できない…ダラダラ書けるじゃないですか。もちろん字数の制限はあるんですけども。もう、こんなところまで書いちゃおう、みたいなのをいくらでも書けるんでね、面白いですよ」

今日の一曲は『悲しき片想い』。オリジナルは1961年、イギリスのヘレン・シャピロがリリースしています。日本でも、同年に弘田三枝子がカバーを歌ってヒットしました。
下田「これ、財津さんもカバーされたわけですね」
財津「そうですね。シンコーミュージックの草野さんもお亡くなりになりましたけど、僕も大変お世話になった人です。この草野さんが日本語に訳して、本も出されていました。草野さんといえば、ディズニーランドの『スモールワールド』、このスモールワールドの日本語訳詞をした人です。草野さんにある日、『草野さんが訳した中で一番好きな曲は何?』って聞いたら、『うーん、スモールワールドかな』っておっしゃってましたね」
財津和夫が歌う『悲しき片想い』」は、2004年に発売された草野氏へのトリビュートアルバム『Together and Forever』の冒頭に収められています。

次回4月5日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
福岡出身のアーティストに関してお話します。

財津和夫 虹の向こう側
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週日曜 18時15分~18時30分
出演者:財津和夫、下田文代
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※該当回の聴取期間は終了しました。

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