ガソリン価格高騰いつまで?増産阻む「脱炭素」トリガー条項発動を!

ガソリン価格の高騰で、政府は石油元売り各社に補助金を支給する制度を導入した。しかし、この制度は今年3月までの時限措置だ。価格が落ち着く見通しはあるのだろうか?RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』に出演した明治大学准教授・飯田泰之さんが解説した。

明治大・飯田泰之准教授

トリガー条項を発動して暫定税率凍結を

飯田泰之さん(以下、飯田):元売りへの補助金は1リットルあたりで5円程度の措置ですので、価格の大勢には影響しないと思います。むしろ、ガソリン税のうちの暫定税率分(1リットルあたり25円)を一時凍結する、というのが王道の対策だと思います。“暫定”というぐらいですから、ある程度ガソリン価格が上がったときには(税率を)下げるという法律があったんです。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):「全国平均1リットルあたり160円が3か月続いたら下げる」ということになっていましたよね。

飯田:現在、160円を超えていますよね。「トリガー条項」と呼ばれる、暫定税率の停止を検討するべきなんです。「トリガー条項」が凍結されているのは、東日本大震災直後の財源確保のためでした。“凍結”という言葉が示すように、これは一時的な措置です。それがなぜ恒常化していて、かつここまで価格が高騰したときにも発動されないのかというのは疑問視してもいいと思います。

櫻井:萩生田経済産業大臣が(トリガー条項を)発動してもいいんじゃないかということをテレビで言ったようですね。

飯田:財政再建を重視するのか、それとも足元の経済状況の悪化を重視するのか、自民党内でも議論が活発化してるようです。

ガソリン価格が下がらない二つの要因

飯田:ガソリン価格の高騰が一時的なものであればいいんですが、どうやら原油高は長期間にわたって続きそうで、当面ガソリン価格が下がる雰囲気がないんです。もともと、コロナショックの反動で価格が上がっている、という読みがありましたが、それは上昇のきっかけに過ぎませんでした。なぜ下がらないのか、それには二つの複合的な要因があります。

(1)シェールオイルが増産できない

飯田:通常、原油価格が上がり、1バレルあたり80ドルを超えてくると、アメリカでシェールオイルの生産が活発化します。さらにオイルサンドという、原油を含んだ砂から圧搾してでも増産しようとします。原油価格が高くなっていれば、それでも採算が取れるからです。ところが、こういったものの増産が活発にならない。これは、脱炭素や環境問題への配慮を掲げているバイデン大統領が、シェールオイルの生産というものに積極的ではないからです。そうなると民間企業は、いずれこの原油高水準が落ち着いて「シェールオイルの生産はけしからん、再生可能エネルギーに向くべきである」と政府に言われたら、せっかくお金をかけて増産しても、1~2年後に止めなければならないと考えます。投資家も「ESG投資」という言葉が出てきたように、化石エネルギーを採掘するところに、なかなか投資したがりません。

(2)ウクライナ情勢の見通しが立たない

ロシアのウクライナへの侵攻があるのではないかという理由で、エネルギー価格の高騰に拍車がかかっています。これが早晩片が付くとは思えません。「再生可能エネルギーの普及」「ウクライナ情勢」この二つが取り除かれる見込みが今のところないので、国際的な原油価格が下がる余地がないんですね。

情勢の変化に政府も官僚も憚ることなく対処を

櫻井:そうなると、消費者としてはトリガー条項の凍結を解除してもらうのが一番いいんですよね。

飯田:そうなんです。おそらく日本政府は、価格高騰はそれほど長く続かないだろう、という読みが当初あったのだと思います。しかし、かなり情勢が変わってきています。とくに地方都市と物流、この二つに大きな影響が出てきています。急いで対応しなければならない状況になっています。

櫻井:凍結を解除するために、法律を改正しなければなりませんね。

飯田:暫定税率の凍結、つまりトリガー条項の復活に反対する野党はないでしょう。

櫻井:つまり、与党内での調整が大事ということになりますね。

飯田:あと「元売りへの補助金」という仕組みを作ってしまったので、それを朝令暮改的に改めるということに、官僚の世界がすごく嫌がる傾向があります。しかし「効果がない」と分かったからには、誤りを改めるのに憚ってはいけないと私は思います。

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櫻井浩二インサイト
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:櫻井浩二、本田奈也花、飯田泰之
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※放送情報は変更となる場合があります。

マラソン男子・小山直城、五輪史上もっとも厳しいレースに意欲「アップダウンや暑さの面では日本人にも可能性がある」

2024年パリオリンピックでの活躍が期待されるアスリートが熱い想いを語るTOKYO FMのラジオ番組「Cheer Up Station~route de paris~」。

4月14日(日)の放送では「マラソン男子」の競技に注目。小山直城選手、赤崎暁選手がパリ五輪への抱負を語りました。


(左から)小山直城選手、赤崎暁選手



◆20代の2人が初のオリンピックに挑戦!

パリ五輪マラソン男子では、小山直城選手、赤崎暁選手、そして大迫傑選手が内定しました。このなかで、オリンピックの舞台で走ったことがあるのは大迫選手のみ。大迫選手と同じように、大学駅伝で力をつけてきた20代の2人が、あらたに夢の舞台へ臨みます。

先日おこなわれた会見で、小山選手は「自分にとって長らく目標にしてきた夢の舞台ですし、代表のユニフォームを着ることができて嬉しく思っています」と話し、オリンピックの抱負については「8位入賞、1つでもいい順位を目標にし、準備と対策をしっかりとして、いい状態でスタートラインに立てるように頑張っていきたいです」とコメント。

続いて、赤崎選手が「最近は代表としての自覚が少しずつ出てきました。オリンピックに向けて一日一日をしっかり大事にして、自分の目標に向かって頑張っていこうという気持ちです」と意気込みを語りました。

パリのマラソンコースは高低差が150メートルと過酷な環境であり、オリンピック史上もっとも厳しいレースになるのではないかとも言われています。こうしたなかでも小山選手は「海外選手にスピードで負けてしまうかもしれないが、アップダウンや暑さの面では日本人にも可能性があるのでは」と、ポジティブに捉えていました。予測できない42.195キロの過酷なレースを、日本代表チームが自分たちのものにしていく姿に期待しましょう。

番組ではマラソン男子のチアアップソングとして、B'zの曲「RUN」をオンエアしました。

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4月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月22日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:Cheer Up Station~route de paris~
放送日時:毎週日曜8:55~9:00
パーソナリティ:TOKYO FMアナウンサー

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