ワークマン専務が明かす業績好調の要因「パンプスもスーツも作業着」

作業着のイメージを変えたワークマン。今年5月12日には福岡県宗像市に「ワークマン女子」が新規オープンしました。働く人たちの日常着だけではなく、タウンにもレジャーにも向いた機能性の高いデザインのものがたくさん揃っています。コロナ禍でも業績好調な株式会社ワークマン専務取締役・土屋哲雄さんがRKBラジオ『仲谷一志・下田文代のよなおし堂』に出演し、業績好調な要因を語りました。(以下本文は敬称略)

コロナ禍も「ウロウロしていたら、乗っかっちゃった」

仲谷一志(以下、仲谷):業績好調な要因はなんでしょうか?

土屋哲雄(以下、土屋):高機能で低価格のタウン、アウトドア系衣料が少ないため、競合がなかったからだと思います。競合には弱い会社です

仲谷:競合がなかったんですか?

土屋:作業服業界では42年間、競合はありませんでした。一般向け商品は強い企業があるので、強い企業には道の真ん中を走っていただいて、我々は道の端を歩くようなことをしています(笑)。

仲谷:新型コロナウイルスに泣かされた2年間も好調だったと伺っています。もう少し踏み込んで教えていただけませんか?

土屋:新型コロナウイルスの感染を避けるため、街中より郊外へ行くことが流行しました。私たちが得意な作業服も外で働くためのもの。一般客向けの衣料もアウトドアで好調でした。密にならないところで着る服として受けました。

仲谷:アウトドア志向を意識して、コロナ禍で衣料品を製作したのですか?

土屋:たまたまです。作業系衣料はアウトドアに強いから。そこにちょうど風が吹いてしまった。おかげさまで。

仲谷:風に乗れる“引きの強さ”“何か秘密”があるのですか?

土屋:ウロウロしていたら、乗っかっちゃったっていう感じです。意図してやったのならば、立派ですが、みんな偶然です。

韓国からのインバウンド見越して「これからも福岡に出店」

下田文代(以下、下田):アウトドアの機能性の良さはどんなものが売れていますか?

土屋:980円のTシャツで虫がつかないものが売れています。人間は気が付かないのですが、虫が嫌いなニオイがするものが繊維に入っています。アウトドアで虫は気にしない方がいいのですが、女性は9割9分気にしますから、ヒットしました。

下田:梅雨の時期に入りました。雨や風にはどんな機能のものがありますか?

土屋:ワークマンは雨には強くて、カッパ系の衣料品、レインスーツはおよそ60種類あります。あのユニクロさんでもおそらく1種類なので、これなら勝てると思います。晴れたら負けます(大笑)。福岡は1年のおよそ3分の1は雨ですから、3分の1は勝てるが、3分の2は引っ込むという受け止め方をしています(笑)。

仲谷:先日、放送エリアの宗像市で「ワークマン女子」が出店しました。立地には理由があったんでしょうか?

土屋:九州北部の福岡県は重点的に出店しようと思っています。宗像市以外にも4店舗決まりそうで、あと2~3年で10店舗で出す予定で、おそらく日本で一番多い出店エリアになります。

仲谷:どうして福岡を狙ってらっしゃるのですか?

土屋:福岡には韓国の方はかなり来られると思います。韓国のソウルやプサンに出店するよりも、福岡に出店し韓国人に旅行がてら見てもらう方が効果があると考えています。

仲谷:旅行の時はお金使いますから。

土屋:旅から帰り、「それはどこで買ったの?」という話になり、「これ韓国じゃ無名だけども、日本では有名な、けっこう人気が出てきたアウトドア・ウェアだ」と言っていただくとインターネットで買っていただけるので。

仲谷:完全な計算の上に成り立った戦略ですね。

土屋:韓国の方向けは福岡で、中国系の方向けは大阪・難波、東京・銀座に出店しました。今は一人もいませんが、中国からのインバウンドは1年で回復するだろうと見込んで、大阪・難波も関西空港行きの電車が出る駅のガードの下に出店しました。電車が通るとガタガタしますが、関空に行くための時間つぶしとして非常にいい場所です。

キャンプもスーツも「根本は作業」

仲谷:アフターコロナまで見据えた動きも分かりました。その先に何か考えていますか?

土屋:おかげさまで「ワークマン女子」の調子がいいのですが、次は「ワークマンシューズ」が行けるのではないかと考えています。普通の靴ではなく、機能性のあるシューズ。例えば、雨に強い、雨の中でもランニングができるとか。2900円で駅伝選手も履くようなカーボンプレート/弾むシューズを作ることに挑んでいます。女性のパンプスも作りましたが、格好悪くて(笑)。ただし、靴擦れを起こさない靴です。踵(かかと)にばんそうこうを貼っている女性が多いので、我々は作業靴としてパンプスを出しました。履く場合は格好が悪いですが、靴の履きがゴムになっていて8時間履いても靴擦れを起こさない、全力で走っても大丈夫なパンプスを作りました。作業靴です。

仲谷:土屋さんのお話を伺っていますと、進化の形は変えているけれども、事業の根幹は変えていないと感じます。

土屋:根本は作業です。キャンプウェアもキャンプも職人さんと同じ。テントで家を作らなきゃならない。ペグでしっかり固定して風で飛ばないものを作らないと風に飛ばされてしまう。我々のキャッチフレーズは、自然ではみんなが職人。皆が職人のように、いい仕事をしましょう。火を起こす時も環境に悪くないように、直火にならないように下にシートを敷いて、ゴミを出さないように環境にいいようにやるとかですね。みんなが職人になってもらいたい、返ってもらいたいと考えています。

下田:ワークマンはビジネス関連のものも作られましたね?

土屋:スーツを作りました。裏返しに着ると、作業服になるスーツです。しかも、雨が降った時のために、スーツにフードが付けました。我々は事務所で働くということを前提に考えるのではなく、外で働くことが前提なので、雨を弾く、汚れも弾く、もしもの時のフードもあり雨の時に被れるものを作りました。

仲谷:現場にも顔を出す営業マンの方とかが利用なさるのですか?

土屋:機械が故障して、事務所で謝り、現場で油まみれで修理するということを想定しました。

やせ我慢で値上げしない、でも在庫が残っても値下げもしない

下田:原材料高騰の影響はありますか?

土屋:メーカーさんからの仕入れ商品は値上がりしましたが、プライベートブランド/自分が作っているものは「価格据え置き宣言」をやっています。やせ我慢ですが、値上げはしないつもりです。

下田:なぜ価格を維持できるのですか?

土屋:価格で新しいお客様がついたので、率先して値上げするわけにもいきません。私どもの製品は外から見て、お客様もいくらかわかるのです。普通のジャンパーですと1900円で、撥水をつけると2900円で、完全防水にすると3900円という法則性があります。だから、普段は値札を見ないで買うお客さまが多いのです。値上げすると値札を見なきゃいけなくなるので、これはお客様に迷惑かけるというので我々がやせ我慢をしています。

下田:価格を抑えるための工夫は何ですか?

土屋:ワークマンは生産の最低ロットで5万、10万はすぐ作ります。アパレルとしては安易にそれだけのロットを作れない時代になりました。多ければ50万、100万ロットを作っています。

仲谷:やっぱり売れるんでしょう。

土屋:売れます。余った場合でも値下げ販売はしません。翌年定価で売ります。値下げ分が入ってないんです。

仲谷:その間、在庫としてちゃんと確保しているのですか?

土屋:在庫は売値の10%ぐらいかかりますが、涙を流しながら保管します。値引きするよりは、翌年に定価で売る方が良いと考えます。我々はモノを捨てません。アパレル業は生産の何割は処分しますが、我々は最後の1枚まで売っています。環境問題もありますが、「もったいない精神」もあります。

仲谷:「涙を流して」とか「やせ我慢」とか言いますが、明るくて、ワークマンはこれからも業績が伸びていきそうです。

土屋:「ワークマン女子」を福岡で10店舗出せば、まだ伸びるんじゃないですかね(笑)

仲谷一志・下田文代のよなおし堂
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 16時00分~17時30分
出演者:仲谷一志、下田文代
番組ホームページ
公式Twitter

※放送情報は変更となる場合があります。

甲府市でもこの夏開始「部活動の地域移行」とは

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)。4月18日のオンエアでは、甲府市教育委員会学校教育課の指導主事、井上透さんに、甲府市でこの夏始まる部活動の地域移行についてインタビューしました。

麻耶:早速ですが「部活動の地域移行」とは、具体的に言うと、部活動がどのように変化していくことなんでしょうか?

井上:これまで「学校部活動」として行ってきた中学生のスポーツ活動・文化芸術活動を、これからは地域の方が指導する「地域クラブ活動」として行っていくというものです。

麻耶:なぜ「部活動の地域移行」を進めることになったのでしょうか?

井上:理由は、主に2つあります。1つは、少子化の影響です。少子化により部員数が減り、学校単独でチームが成り立たず、十分な活動ができなくなったり、休部・廃部になったりする状況が出てきました。現に、数年前から、野球やサッカー・バレーボールなどいくつかの種目において、複数の学校による「合同チーム」で大会参加している状況が増えてきています。

もう1つは、教育問題の複雑化・多様化の影響です。教育問題の複雑化・多様化に伴い、これまで行われてきた指導体制を継続することが、教員にとって大きな負担になっている状況があります。競技経験等もない先生が顧問を務める場合、その負担はさらに大きくなるものと考えられます。

こうした背景から部活動の存続が厳しくなってきたため、国がガイドラインを示し、全国的な動きとして「部活動の地域移行」を進めるに至った、ということです。

麻耶:大会などはどのような枠組みで出場することになるのですか?

井上:国で令和5年度から7年度までの3年間を「改革推進期間」と位置付けています。それに基づいて、甲府市としては令和6・7年度については、一部の種目でこの事業に取り組んでいくことになっているのですが、令和7年度まではこれまで通り、学校単位や合同チームで大会参加する予定でいます。

麻耶:今年度は一部の種目で実施するということですが、その内容を教えてください。

井上:8月から、バスケットボール・バレーボール・剣道の3種目で活動に取り組みます。市内の国公立中学校12校を、3校ずつ4つのブロックに分けて、ブロックごとに月2回程度合同での練習を行う予定です。

麻耶:来年度以降の予定について教えてください。

井上:今年度は3種目ですが、来年度はさらに2種目程度加えることを考えています。令和8年度には、現在休日に活動を行っていて、市内の学校に設置されている種目すべてで、地域移行を行う予定です。いずれは、月2回の活動をさらに増やして、休日の活動を「地域クラブ活動」として行うようにできないか検討しているところです。それを実現させるには、まだまだたくさんのハードルがあるのですが、これまで学校部活動が担ってきたスポーツ活動・文化芸術活動の振興・発展を、いよいよ地域や国全体で考えていかなければならない時期に来ていると考えています。私も元々中学校教員の一人ですが、長らくスポーツに携わってきた者として、中学生たちが末長く関われるスポーツ活動・文化芸術活動の機会の構築に注力していきたいと考えています。ぜひ地域の方々にも、ご理解・ご協力いただきたいと思います。

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