永遠の若大将・加山雄三の歩んだ軌跡は芸能界の“歴史”で‟道しるべ”

音楽プロデューサー・松尾潔氏

年内でコンサート活動を引退すると発表した国民的大スター・加山雄三。若大将の歩んだ軌跡は、まさにスターのそれである。元祖シンガーソングライターで、元祖歌う俳優。エレキギターもサーフィンもスキーも、日本人は若大将に教わった。音楽プロデューサー・松尾潔氏がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で足跡をたどった。

みんなの憧れを体現したような「国民的な芸能人」

加山雄三さんは「国民的な芸能人」と言い切れる、数少ない方だと思います。なにしろ、愛称が「若大将」ですから。いきなり余談ですけども、若大将と対になって語られていたライバル役・田中邦衛さんの呼び名はご存知ですか?青大将ですね。

今年85歳の加山雄三さん、一生現役と思っていた方もいるかもしれませんが、コンサート活動を引退することを先週発表しました。音楽活動として作曲やレコーディングは続けるということなんですが、やっぱり一つの時代の区切りを感じてしまいますね。

加山雄三さんに憧れて音楽を始めた方、芸能界を目指した方って本当に多い。60代の半ばから70代ぐらいの方、皆さん加山さんに憧れてギターを持ったり、ピアノに向かったりしたという感じじゃないかと思います。とにかく何でもできちゃう、なんでも持っている人っていうイメージが強いですよね。

加山さん、われわれが教科書で習った、あの岩倉具視さんの子孫で、父親は銀幕のスター、上原謙さんですよね。それでご本人は大学時代スキーで国体に出たようなスポーツマンであり、自分でピアノ弾いて、ギター弾いて、元祖シンガーソングライターでもあり、当時大学進学率が低い頃に、学士俳優として、大ヒットした映画のタイトルが『大学の若大将』ですからね。その後も『ハワイの若大将』とか『銀座の若大将』とか。みんなの憧れをどんどん体現したような方です。

ポップカルチャーの成熟に大きな役割果たす

今から25年ぐらい前、僕は親交のある山下達郎さんに「年長の世代だったらどういう人を意識しますか、もしくは年の重ね方で参考にしてらっしゃる方っていらっしゃいますか?」っていう話をしたときに、三波春夫さんの名前を挙げたんです。三波春夫さんって、当時70代でもこんなに声出るんだっていうようなスーパーボーカリストとして知られていたんです。その達郎さんが今69歳って考えると、芸能界の高年齢化、あと高年齢現役化っていうのも、実はこの20年ぐらいの間に、著しく進んだなあと思いますね。

小田和正さんはもう70代で、その小田さんの新譜を私たちが待っているような状況にあるわけで、これは大衆音楽、ポップミュージックの成熟を物語っていると思うんですね。もともとユースカルチャーとして世に出てきたけれど、大人になった後もずっと楽しみ続けるような作品があるということで。そういった日本におけるポップカルチャーの成熟に当たって大きな役割を果たしたのが加山雄三さんかなというふうに思います。

福山雅治、星野源…「歌う俳優」の道を作った

「お嫁においで」なんて曲も作っているし、そのときそのときの世相みたいなものが盛り込まれている。多くの場合は作詞家の岩谷時子さんと一緒に作っている作品が多いんです。代表曲「君といつまでも」は、大ヒットミリオンセラーで、1965(昭和40)年に発売されて、350万枚のヒットと言われています。

人気俳優でありながら、ご自身で作曲されている「歌う俳優」は後の寺尾聰さんとか、今の福山雅治さん、星野源さんもそうですよね。そういう「歌う俳優」の道を作った方としても、ずっと記憶されていくんじゃないかと思います。エレキギターブームとか、彼が火をつけたもの、サーフィンもそうですしスキーもそうですね。本当にスーパーマンのような方で、この場で「長年のコンサート活動おつかれさまでしたと」と拍手を送りたいですね。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
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※放送情報は変更となる場合があります。

トランプ大統領の施政方針演説は「まるでカルト集団」 明確な抗議をしない民主党への失望と怒りも!?

ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

3月12日(水)のテーマは「アメリカZ世代の怒りのほこ先が『身内』民主党に向けられた理由」。トランプ大統領の施政方針演説を聞いたラボのメンバーが、それぞれ感じたことについて語り合いました。


※写真はイメージです



◆支持者・不支持者で反応が真っ二つ トランプ大統領の施政方針演説

3月4日におこなわれたトランプ大統領の施政方針演説。1時間半を超える異例の長さとなった演説を通し、彼は「アメリカは復活した」と自らの実績を強調し続けました。

トランプ大統領の施政方針演説が異例だったのは、その長さだけではありません。中継を見た人の過半数は共和党支持(=トランプを支持する人)で、逆にトランプを支持しない民主党支持者で演説を見た人は、わずか20%にとどまりました。内容的にも、国民全てに語りかけるはずの施政方針演説が、支持者に向けた選挙演説のようになっていたと批判する声もあります。

では、支持者とそうではない人の反応はどれほど違ったのでしょうか? トランプ不支持のラボのZ世代は、こう感想を述べました。

メアリー:演説はめちゃくちゃ退屈だった。だってもう最初から自分の手柄自慢みたいな話ばかりだったからね。そして今回も、虚偽の内容がたくさん含まれていた。驚いたのは、アメリカが人道援助していた「レソト」というアフリカの小さな国について、トランプが「そんな誰も聞いたこともない国に」と言い切ったことだよ。

でもそんなわけはないんだ。だって、イーロン・マスクがその国の大統領だか重要人物みたいな人と会っている写真が報道されているからね。イーロンはレソトに自分のインターネットのビジネスを持ち込もうとしているらしいんだ。彼がそれを知らなかったなら、それはそれで驚きだし、そもそもアメリカ大統領が「聞いたことのない国なんてどうでもいい」みたいな発言をするなんてありえないよ。

ミクア:トランプの演説のことを友達と話していたんだけど、彼女は「共和党はまるでカルト集団みたいだった」と言っていたよ。トランプが何か言うと共和党議員は全員立ち上がって、「USA! USA!」というコールが湧き起こる。すごく気持ち悪かったって。

トランプ不支持のメンバーからすれば「演説内容は虚偽ばかり」という反応でしたが、共和党支持者からすれば総立ちで叫びたくなるようだったという、見る人によってまるで反応が分かれた今回の演説。ここでフランス留学中のメンバーのノエに、ヨーロッパ人からの反応はどうだったかを聞いてみました。

ノエ:ヨーロッパ人は「トランプは愚かだ」と言う人と、すごく恐ろしいと感じている人の両方だと思う。共通しているのは、こんなことが実際に起きているなんて信じがたいという声。特にドイツ人は、家族の中に第二次世界大戦を生き抜いた者がいるからね。

彼らは、今のアメリカが、かつてのナチス・ドイツの歩みを忠実に再現していると言っているよ。そして、「アメリカ人があのようなリーダーを選ぶなんて信じられない」と言う意見がすごく多いんだ。

アメリカは、かつてのナチス・ドイツと同じ道を進もうとしている。そんな懸念を抱くヨーロッパの人も少なくはない様子です。アメリカでも反トランプ派のなかには、アメリカが独裁への道を歩んでいると言う危機感を持つ者が少なくありません。


(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆明確な抗議をしない民主党への怒り

共和党がカルトのようになってしまったのなら、頼みの綱は野党である民主党だけ。しかし今回の演説では、民主党支持者の怒りはトランプではなく、むしろ民主党議員たちに向けられました。一体なぜでしょうか。

メアリー:トランプの演説中、客席にいる民主党が抗議のプラカードを掲げていたのを見た? 実はヒトラーの時代にも、議員たちのなかには抗議の象徴として紫色の帽子をかぶっている人たちがいたらしいんだ。

私たちの議員も今、プラカードを出すだけで他に何もせず、結局トランプのやりたい放題にさせている。だから民主党を見ているととてもイライラする。

アル・グリーン議員だけは、抗議のために立ち上がって声を上げたよね。他の人がただ座っているなかで、実際に何かをしようとしたんだ。でもひどいのは、自分の身内が立ち上がって抗議したのに、その翌日、彼に対する問責決議がおこなわれると、民主党議員の一部も一緒になって彼の投票権を剥奪する決定に投票したんだよ。

民主党はいつも「良識ある政党だから礼儀正しさが大事だ」とか「この伝統を守る」とか言っているけれど、そういうバカみたいな考え方には、もうイライラが止まらないよ。彼らは、「何かをするための適切なタイミングを待っている」と言うけど、民主党も結局、共和党と同じじゃないかと思ってしまう。どちらも大企業の言うことには逆らえないということだよ。

トランプの演説中、 民主党議員は1人を除いては、静かな抗議、つまり「その発言は嘘だ」「イーロン・マスクは泥棒だ」などと書かれたプラカードを掲げてメッセージを出そうとしていました。しかしこの様子は日本のテレビでは全く放送されなかっただけでなく、アメリカでの中継でも映ったのはほんのわずかの間でした。

良識を大事にするあまり、誰も見ない抗議をしてどうするのか? かつてのドイツ人がヒトラーの好きにさせてしまったように、結局アメリカでも民主党は何もしていないのではないか? ラボのZ世代含め、反トランプのアメリカ人の怒りの矛先が向けられたのは、今回はトランプ氏ではなく、身内である民主党議員たちでした。

これまでアメリカZ世代は、「自分たちがアメリカを変える」という、社会正義意識がとても強い世代でした。しかしこの民主党への深い失望が、「何をやってもどうせ変わらない」という気持ちにつながっていく不安を感じます。シェリーは「人々が少しずつ声を失っていく、そんな不安も感じてしまいます」と、心中を吐露して話題を締めくくりました。

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3月12日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月20日(木・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/

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