特集は湯川れい子「男の妄想をアン・ルイスとともに蹴散らした」松崎真人の着眼点も聴きどころ

男の妄想を蹴散らした湯川れい子&アンルイス ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けする夏の2週間の特別プログラム『ナイタースペシャルMUSIC☆J~日本語ロックの8人~』。(『MUSIC☆J "シーズン5.5.1"』)。7月29日の特集は「湯川れい子」をお送りしました。(文中敬称略)

特集1曲目は、湯川れい子が「R.H.Rivers」名義で英語詞を書いた曲を紹介しました。

特集M1「涙の太陽/エミー・ジャクソン」

松崎:日本語詞になっても、やっぱり調子がいい。「ギラギラ」とか「ゆらゆら」とかノリの良い言葉を選ぶセンスが最初から備わっている。やはり浴びるように洋楽を聞いてきた結果だと思いますね。何となく、日本語がロックがの中で共存できる言葉をちゃんとセレクトするセンスは、元からお持ちだったんだなと思います。

松崎:湯川れい子さんは音楽業界を縦横無尽に泳ぎ回っておりますので、変わった仕事もしています。「ポリス」が日本で人気絶頂だった時に「ゼニヤッタ・モンダッタ」(Zenyatta Mondatta)というアルバムが出まして、その中の「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」を来日記念で、日本語で吹き込むという企画が持ち上がったんです。スティングのパブリックイメージを考えると、よくこの企画を(スティングが)OKしたなと思います。この日本語詞も、湯川れい子が手がけています。

特集M2「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダダダ/THE POLICE」(日本語ヴァージョン)

松崎:詳しくは判らないですけど、来日記念で日本語で歌ってみませんかと(スティングに)持ちかけるのは、すごい大変だと思うんです。その辺に湯川れい子は絡んでたのか絡んでなかったのか、ちょっと興味深いです。結果として、原曲のノリが損なわれていないのは、湯川れい子の技ですね。♪ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダダダ、は愛の言葉さ」で「は」が入ってるでしょう。「は」が入っていることで、ノリが消えないんです。素晴らしいです。

松崎:次はバラードになります。僕がリアルタイムで「なんと素晴らしい詞だろう」と思った歌詞ですね。…吐息を白いバラに変えて…って、なんてロマンティックなんだろうと思いましたね。

特集M3「恋におちて-Fall in love-/小林明子」

松崎:もちろん、切ない歌なんです。小林明子の歌い方もあるけど、結局、最後に歌われているのは「Im just woman Falling love」私はもう恋に落ちてしまったんだ、と自分のことを肯定しているんです。そこに、ベタベタしたところがない。もうそうなってしまったんだから、そうなった自分を認めてやろうという決然としたところを感じる曲なんだよね。だから時が流れても色褪せないんだな、と言う感想は変わりません。

松崎:湯川れい子は、デビュー曲を任されることが多いですね。(中略)それは、そのアーティストの最初のコンセプト・メイクに参加すると言うことなんです。そう言う時に、そのアーティストの本質、歌う世界を見抜く力が信頼されているからこそ、デビューのプロジェクトに関わることが多いんじゃないかなと思います。歌詞の中で、自分の名前を堂々と歌うという斬新な"メタ手法"を使った曲です。

特集M4「センチメンタル・ジャーニー/松本伊代」

松崎:もうひとつ、湯川れい子が、デビューからずっと詞を書き続けたグループ「シャネルズ」。(中略)。作曲は井上大輔ですが、この「シャネルズ・プロジェクト」というのは60年代リバイバルと言うことで、井上大輔にとっても大きなリベンジでした。グループサウンズの時にやりきれなかったことを、今度こそもっと大きな規模でやってやるぞという野望があったような気がします。そこに、その時代を生きていた湯川れい子が、当時の懐かしい感じも含め、でも80年代のテイストもキチンと加えて売り出したことが、大成功につながったんだと思います。

松崎:湯川れい子は、他の曲にも言えますが、歌詞ってディテールから腐るんですけど、あまりトレンディな言葉とか、流行り言葉をほとんど使わないです。普通名詞とか、長く消えない言葉、古びない言葉を使っているところが王道だなと思います。

特集M5「ランナウェイ/シャネルズ」

松崎:アン・ルイスの方向性を大きく変えた曲ですね。歌詞の中に「♪女ですもの、泣きはしない」とありますが、これ、湯川れい子自身が言ってるんですが「今までの歌詞は、女ですもの泣いても良いじゃないとか、酒は涙かタメ息か心の憂さの捨てどころとか、アップの髪型で和服着て、カウンターの隅で水割りを指でかき回しているみたいなイメージ…。そうじゃないんだ!」と。"女ですもの"泣きはしない、と言うように、当時の現実の女性に近づけたというところがミソなんです。

松崎:アン・ルイス、このあと、この路線を爆走するわけです。

特集M6「六本木心中/アン・ルイス」

松崎:この曲と「ああ無情」が出てからは、他の作詞家の方も使い出すんですが、男が勝手に想像する女性じゃなくて、リアルな女性の目線で歌うというシーンが継承されて行きます。そこが、湯川れい子とアン・ルイスの大功績だと思います。

最後は、湯川れい子が、日本語詞を担当した、この曲でした。

特集M7「AMAPOLA/沢田研二」

松崎:最後に、湯川れい子についてひとこと言えば、反戦平和とか脱原発、反核とかのことは、本当にブレない。いま、何か言うとツイッターとかですぐ叩かれたりする時代だけど、やはり湯川は、そこは肝が座っていらっしゃいます。鍛え抜かれた芯の強さのある女性だと思います。

<松崎真人の編集後記>
「六本木心中/アンルイス」1984年10年にリリースされたこの曲ほど、見事に時代とシンクロしたヒット曲は少ないかも知れない。この時大学生だった僕らは男女雇用機会均等法とともに社会に出ていき、バブル経済は膨らみ続け、その夜の中心は六本木だった。「女ですもの泣きはしない」泣いてすがって待つ女なんて、男の妄想でしかないんだよと、湯川れい子とアンルイスが高らかに宣言したのだ。(松崎真人)

<7月29日の全プレイリスト>
M01「MONOTONE BOY/REBECCA」
M02「7 COLORS (Over The Rainbow)/PERSONZ」
M03「BAD FEELING/BOOWY」
M04「熱帯夜/THE YELLOW MONKEY」
M05「淋しい熱帯魚/Wink」
M06「スマイル/ホフディラン」
M07「Surfer King/フジファブリック」
M08「おらが鎮守の村祭り/Stardust Revue with添田啓二・岡崎昌幸」
M09「ボヘミアン/葛城ユキ」

M10「ドラマティック・レイン/稲垣潤一」
M11「Gift~あなたはマドンナ~/土岐麻子」
M12「夏をあきらめて/研ナオコ」
M13「夏の誘惑/西城秀樹」
M14「DA YA THINK I’M SEXY?/ROD STEWART」
M15「メイク・アップ/フラワー・トラヴェリン・バンド」
M16「マドモアゼル・ブルース/ザ・ジャガーズ」
M17「野良犬/ALEXANDER’S RAGTIME BAND」
M18「Wa・ショイ!/堀ちえみ」
M19「Hey! ミスター・ポリスマン/石川秀美」

M20「涙の太陽/エミー・ジャクソン」
M21「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダダダ/THE POLICE」(日本語ヴァージョン)
M22「恋におちて-Fall in love-/小林明子」
M23「センチメンタル・ジャーニー/松本伊代」
M24「ランナウェイ/シャネルズ」
M25「六本木心中/アン・ルイス」
M26「AMAPOLA/沢田研二」

30日の特集は「はっぴぃえんど=松本隆~現在にまで続く日本語ロック・ポップスの王道~」

そして30日(金)の『ナイタースペシャルMUSIC☆J~日本語ロックの8人~』は、松本隆を特集します。言わずとも知れた、日本のミュージックシーンに大きな存在感を示す作詞家であり、伝説のロックバンド「はっぴぃえんど」のメンバーとして、日本語ロックの黎明を築いた人物のひとりです。

<7/30(金)>はっぴぃえんど=松本隆「現在にまで続く日本語ロック、ポップスの王道」
<8/3 (火)>山下達郎/吉田美奈子「描く風景からフォーク的情緒を切り離した」
<8/4 (水)>桑田佳祐「たかが歌詞じゃねえかこんなもん」は反語である。
<8/5 (木)>忌野清志郎〜ザ・ブルーハーツ「パンク〜ニューウェーブを通過して得たもの」
<8/6 (金)>桜井和寿と草野正宗〜現在へ(1999以来進化は止まったのか?)


STVラジオ『ナイタースペシャル MUSIC☆J  ~日本語ロックの8人~』(7月27・28・29・30日、8月3・4・5・6日 各17:55~20:50)※RCCラジオ同時ネット(30日を除く)

ナイタースペシャル MUSIC☆J~日本語ロックの8人~
放送局:STVラジオ 他1局ネット
放送日時:毎週火曜~金曜 17時55分~20時50分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:松崎真人(シンガーソングライター/北海道出身)
番組ホームページ

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※該当回の聴取期間は終了しました。

内藤剛志が東京に来て一番ショックだったのは、「〇〇丼」が無いこと!?

4月18日(木)、「くにまる食堂」(文化放送)の最初のコーナー「ニュース一番出汁」では、木曜コメンテーターで俳優の内藤剛志さんが、関西から上京して来て驚いたという、東京の丼事情について語った。

この日は大将の邦丸アナが、オープニングで「親子丼とカツ丼、どっちを頼みます?」とリスナーに呼びかけた。登場していきなりそのテーマで悩んでいる内藤さん。

内藤剛志「おはようございます。どっちですかね~! ……それより僕、牛肉を卵でとじた『他人丼』が無かったのがショックでしたね、東京へ来て」

野村邦丸アナ「アハハハ!」

内藤「いや、関西では普通なんですよ、ホントに!」

邦丸「そんなに他人丼がポピュラーなの?」

内藤「だからやっぱり牛肉文化だからじゃないですか? 肉じゃがも牛肉なんです。なんで、アレも……豚も他人なんですけどね(笑)」

邦丸「東京ではそば屋さんのメニューにはあっても、他人丼を頼んでいる人はあんまり見ない。東京だったら他人丼は豚と卵かな?」

内藤「ああ、関西で言うところの『開化丼』ですね?」

邦丸「まあ、牛と卵のところもあるかも知れません……でも牛だったら牛丼があるし」

内藤「ま、全部美味いですけどね。ただ、無いのはビックリするんですよ! 関西においては常識なんだから」

邦丸「さっき本番前に内藤さんと他人丼の話になったんで、『親子丼とカツ丼、どっち頼みます?』と言ったら?」

内藤「これねえ、奢られるんだったらカツ丼です(笑)。そりゃそうでしょう、高い方だから。肉好きとしてもやっぱり……カツですかねえ? 出来れば両方いきたいけど(笑)。順列をつけるならですよ、カツじゃないですかねえ?」

邦丸「カツ行っちゃう人が多いかなあ?」

内藤「若い頃ですけど、引っ越し屋さんのバイトをしてて、必ずカツ丼が出るんですよ、昼間。ま、力仕事だからということで引っ越しをされる方が出してくださるんですけど、カツ丼が多かったですね。だって、刑事ドラマも取り調べの際出るのはカツ丼ですもん」

邦丸「あれ何でなんですか?」

内藤「あれは嘘ですけどね。実際は出ないですけど。あれ、逆に『警察が勝つ』って意味だったらおかしいですよね。だって容疑者を落とすって意味でしょ? 僕、先日出た朝ドラ『ブギウギ』でもカツ丼出しましたよ、そういえば(笑)」

邦丸「前に聞いたのは、どうしても食べたいんだったら自腹で取れっていう話で」

内藤「そうですね……って俺、警察関係者じゃないですから(笑)」

この他にも、前日の夜に発生した愛媛県の震災について、現地からのレポートを交えてお伝えしたり、およそ20年ぶりに復活する東海道新幹線の個室への想いを語った。

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