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ポプコン出身のシンガーソングライター･松崎真人が、'70～'90年代の日本のポップスを中心に厳選してノーカットでお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』（RCCラジオ同時ネット）。2022年も火曜～金曜の19:00から、STVラジオとRCCラジオの同時生放送でお届けします。ことしもよろしくお願いします。少し遅めですが、21年12月28日のOAからトークを拾います。『MUSIC☆J』がもしかしたら「Wikipedia」に影響を与えたのか？という出来事が…。（文中敬称略）

M03「悲しみがとまらない／杏里」

松崎：1984年のオリコンランキング年間19位という、｢CAT'S EYE」よりは規模は小さいけど、十分にスマッシュヒットと言える曲です。で、今どきの「Wikipedia」ってすごいね。以前、rdikonewsで『Music☆J』を取り上げてもらった時に、僕が番組で話した「杏里の"悲しみがとまらまい"は康珍化の作詞で、林哲司の作曲なんだけれども、角松敏生がどうやって咬んだのかわからないんだよね」という話をしました。その時には確かに存在しなかった「制作の経緯」というコーナーが（Wikipediaに）出来ていて、誰かが加筆したんだろうと思います。

松崎：角松敏生は、自分が作った何か（楽曲など）を叩き台にして康珍化や林哲司に発注したのではなく、杏里のプロデューサーにこの時は徹して、自分の音楽的な好みよりも、杏里が「CAT'S EYE」に匹敵する曲を作るためには、いちばん旬な作詞家は誰だろう、いちばん旬な作曲家は誰だろう、そしてどんなシーンを歌にしたら皆なに喜んでもらえるだろうということをコンセプトから考えて、落とし込んで、それぞれの作詞家・作曲家にオーダーをかけた、というのが今のところの「Wikipedia」的な公式見解です。なるほどね、と思いました。

2021年9月28日up「角松敏生が割り込んだ余地は永遠の謎…」杏里「悲しみがとまらない」に興味がとまらない

松崎：それで、これ（「悲しみがとまらない」）は1984年の作品ですが、恐らく音楽的に、角松敏生的にはもう古いタイプの音楽スタイルだったんでしょうけど、「みんなが喜んでくれるのはこんなサウンド」と言うことで、注文を出したのは"こんなサウンド"だと思います。1982年。「ボーイズ・タウン・ギャング」のカバーしたバージョンです。

M04「君の瞳に恋してる／ボーイズ・タウン・ギャング」

そして、写真で松崎が手にしている、萩原健一の音源について。1曲前のトークから。

松崎：岸辺修三。いまの岸部一徳、サリーですね。タイガースの時代からのベースプレイも素晴らしかったし、そこまでは僕も知っていたのですが、今は役者業に転向して名バイプレーヤーです。で、岸辺修三として活躍していた頃の作詞家としての素晴らしい一面を見つけました。

松崎：聴けば思い出してもらえるかと思うんですが､（テレビドラマの）『傷だらけの天使』最終回です。水谷豊が弟分で、萩原健一が兄貴分で、危ない橋を渡るような仕事をいっぱいさせられるんだけれども、最終的に風邪をこじらせて弟分の水谷豊が死んじゃうんです。何とか弔わなければならないと言うことで、ドラム缶に詰めて、東京の夢の島（往時の東京のゴミ埋設場所）に持って行って荼毘に付す、という場面があるんですが、そこで流れてた曲が、これです。

松崎：歌っているのが、デイブ平尾で、もともとはこのテレビ（傷だらけの天使）のために作られた楽曲で、デイブ平尾の初のソロシングル「僕たちの夜明け」のB面の収められたのが最初のレコーディングです。

M06「一人 (I Stand Alone)／ディーヴ（デイブ）平尾」

松崎：なんとなんと、柏原芳恵もこの曲をカバーしていますね。タイトルを変えて「ひとり（孤独）」と、漢字で逆にルビをふっています。で、つながりで、その兄貴分の萩原健一が1972年に出した「萩原健一」名義の初シングルになります。阿久悠作詞、加藤和彦作曲、瀬尾一三編曲。
　
M07「ブルージンの子守歌／萩原健一」

松崎：萩原健一がソロになってから、いかにボーカル･スタイルをたくさん変えた人なのか、っていうことがよくわかりますね。（中略）歌っている時も"演じて"いるように、ショーケンの歌って言うのは七変化だなって、いま聴くとチラッと思ったりします。阿久悠と加藤和彦の海合わせも、意外と少ないような気もしますね。こんど調べて見ます。

12月31日（金）のプレイリスト

12月28日は、radikoタイムフリーの期限を過ぎているため、タイムフリーのバナーは、12月31日（金）にリンクしています。紅白歌合戦のウラということもあり、70～90年代のJ-POPの王道を集めた至極のプレイリストです。

M01「My Revolution／渡辺美里」
M02「だいすき／岡村靖幸」
M03「恋しさと せつなさと 心強さと／篠原涼子with t.．komuro」
M04「ナンダカンダ／藤井隆」
M05「tora tora tora／MAX」
M06「LOVE ME TENDER／Elvis Presley」
M07「ラブ・ミー・テンダー／松本伊代」
M08「遥かな人へ／高橋真梨子」
M09「大阪で生まれた女／萩原健一」
M10「ひとりぽっちで踊らせて／研ナオコ」

M11「喝采／ちあきなおみ」
M12「また逢う日まで／尾崎紀世彦」
M13「時の流れに身をまかせ／テレサ・テン」
M14「冬のリヴィエラ／森進一」
M15「志村ケンの全員集合 東村山音頭／志村けん」
M16「ケ・セラ・セラ／ドリス・デイ」
M17「いつでも夢を／吉永小百合＆橋幸夫」
M18「アン・ドゥ・トロワ／キャンディーズ」
M19「北の宿から／都はるみ」
M20「王将／村田英雄」
M21「人生一路／美空ひばり」

M22「SOMEDAY（いつか）／山下達郎」
M23「A HAPPY NEW YEAR／松任谷由実」
M24「勇気100％／光GENJI」
M25「ほ・ほほほの北海道／北見熊の助」
M26「福笑い／高橋優」
M27「君への道／伊藤薫」
M28「お世話になりました／井上順」
M29「みんなのうた／サザンオールスターズ」
M30「SOMEDAY／佐野元春」
M31「だまって俺について来い／ハナ肇とクレージーキャッツ」

【編集後記】
「人生一路／美空ひばり」　お嬢の歌唱力については言及するまでもないのだが、今回オンエアした1988年の音源にはあらためて驚かされる。当時の東京ドームの音響は残響が多すぎて決してコンサートに向いているとはいえず、今のようなインイヤー式のモニターもなかった。さらに熱狂的な観客の拍手と歓声。その中を動き回りながら、バンドとのテンポのズレ、音程の揺れをいっさい感じさせないステージング。比類するものがあるとすれば、ソウルの帝王、ジェームスブラウンのステージぐらいしか思いつかない。この「人生一路」はスタジオ録音盤でなく、ライブ盤が絶対おすすめである。（松崎 真人）

STVラジオ『MUSIC☆J』（毎週 火～金 19:00～22:00）★RCCラジオ同時ネット（19:00～21:50）

※該当回の聴取期間は終了しました。