「PIECE OF MY WISH/今井美樹」誰も"2匹目のドジョウ"になれなかった'90年代のアイコン的アーティスト

森高千里と共に他の追随を許さなかった今井美樹 ©STVラジオ

ポプコン出身のシンガーソングライターで、"選曲家"の松崎真人がお送りするSTVラジオ『MUSIC☆J』(RCCラジオ同時ネット)。'70~'90年代の日本のポップスを中心に、厳選・フルコーラスでお届けしています。1月6日(木)のOAでは、20時台2曲目で、今井美樹「PIECE OF MY WISH」をお掛けしました。

松崎:岩里祐穂(作詞)、上田知華(作曲)、佐藤順(編曲)のゴールデントライアングルで作られて、ワンシーズンに3回までは掛けても許される曲じゃないかと私は思っております。"君、今井美樹"、逆から読んでも"きみ、いまいみき"でお馴染み(?)の今井美樹…。

M13「PIECE OF MY WISH/今井美樹」

松崎:1992年の曲です。岩里祐穂の詞の中で「愛する人や友達が、勇気づけてくれるよ」とか「炎もくぐりぬける」とか言うのがほぼ、ジェームス・テイラーの「きみの友達」(原題:You've got a friend 作詞:キャロル・キング)の歌詞からのイメージだと思うんです。もうひとつ気づいたのは、佐藤順のアレンジです。和音の積み方が不動の"佐藤順セオリー"なんですが、92年には92年なりの新しい音色を採り入れることの巧みさが、いまでも佐藤順が現役である理由だと思うんです。
 
松崎:この「PIECE OF MY WISH」に関しては、きょう初めて気づいたんですが、4年前('88年)にENYAの「オリノコ・フロウ」という曲が大ヒットしていまして、この曲で使われたようなシンセサイザーの使い方や、弦のピチカートをベースの如く使う手法を上手く採り入れてるんです。これはパクリとかいう低級の話じゃ無くて、換骨奪胎(※)でございます。今井美樹のたくさんある曲の中でも、これが別格に良い感じがするのは、ここら辺の(スタッフの)みなさんのマジックが総合力として上回っているのかなと思ったりもします。(※:換骨奪胎=先人の詩文などの発想や表現法を取り入れて、創意を加えて、新たに独自の作品を作ること)

松崎:'90年代に、フォロワー、つまり似たような、柳の下のドジョウの2匹目をたくさんのアーティストが狙ったけど続々撃沈したという、アイコニックな女性アーティストが2人おりまして、ひとりは今井美樹です。今井美樹になりたかった人はたくさんいたと思います。もうひとりは、みなさんお判りですね、森高千里です。森高千里のやることを何とか真似しようとして滑っていった方の多かったこと。やはりオリジナリティって言うものは、確たるモノがあるんですね。

【1月6日のプレイリスト】
M01「With You/Sing Like Talking」
M02「愛がさびしい時~Don’t be afraid~/Cindy」
M03「シュガーはお年頃/スターダストレビュー」
M04「恋はベンチシート/ジューシィ・フルーツ」
M05「恋のぼんちシート/ザ・ぼんち」
M06「青空のある限り/ザ・ワイルドワンズ」
M07「旧約聖書/アダムス」
M08「貴族の恋/レオ・ビーツ」
M09「ランナウェイ/シャネルズ」
M10「TOKYO TACO BLUES/てつ100%」
M11「女呼んでブギ/サザンオールスターズ」

M12「no no darlin’/CHAGE and ASKA」
M13「PIECE OF MY WISH/今井美樹」
M14「ヤング・フォーエバー/佐野元春」
M15「FREEDOM/佐野元春」
M16「玉ねぎむいたら・・・/桜田淳子」
M17「越冬つばめ/森昌子」
M18「北国行きで/朱里エイコ」
M19「北帰行/小林旭」
M20「根雪/中島みゆき」

M21「時の扉/WANDS」
M22「天国のドア/松任谷由実」
M23「Knockin’On Heaven’s Door/Bob Dylan」
M24「悩んで学んで/奥田民生」
M25「ふり向くな君は美しい/ザ・バーズ」
M26「ホーリー&ブライト/GODIEGO」
M27「うなずきマーチ/うなずきトリオ」
M28「スローダウン/長渕剛」
M29「冬銀河/ふきのとう」

【1月6日の編集後記】
「PIECE OF MY WISH/今井美樹」 放送でも触れたが、岩里祐穂の歌詞はキャロル・キング、ジェームス・テイラーといった70年代シンガソングライター作品からいくつかの引用が読み取れる。また、佐藤準の編曲はこの曲に先立つ1988年の世界的ヒット曲、エンヤの「オリノコ・フロウ」の音色とサウンドスケイプを意識しているようだ。こういったプロの叡知が今井美樹という歌手の歌声によって統べられている。ドラマ主題歌であったことを超えて、スタンダードとなる楽曲にはそれなりの理由がある。歌入れに臨む今井美樹の自然な集中力が素晴らしい。(松崎真人)

『MUSIC☆J』1月6日(木)のradikoタイムフリー

1月7日(金)のプレイリストと編集後記

【1月7日のプレイリスト】
M01「新しいラプソディー/井上陽水」
M02「冬のオペラグラス/新田恵利」
M03「無言劇/Alfee」
M04「星の砂/小柳ルミ子」
M05「さらば友よ/森進一」
M06「愛するアニタ/ザ・ワイルドワンズ」
M07「愛するアニタ/ザ・テンプターズ」
M08「赤い花白い花/赤い鳥」
M09「あの素晴らしい愛をもう一度/加藤和彦と北山修」
M10「虹と雪のバラード/トワ・エ・モア」

M11「寒い夜だから.../TRF」
M12「SNOW DANCE/DREAMS COME TRUE」
M13「もう涙はいらない/鈴木雅之」
M14「さよならいとしのBaby Blues/鈴木雅之」
M15「元気を出して/竹内まりや」
M16「けんかをやめて/河合奈保子」
M17「Midnight Girl/角松敏生」
M18「街のドルフィン/濱田金吾」
M19「摩天楼/岩崎宏美」

M20「世界を変えさせておくれよ/サンボマスター」
M21「Change The World/エリック・クラプトン」
M22「Missin’ you ∼It will break my heart∼/平井堅」
M23「スタンダード・ナンバー/南佳孝」
M24「北京で朝食を/佐藤隆」
M25「フライディ・チャイナタウン/泰葉」
M26「思ひで/鈴木常吉」
M27「今だから/松任谷由実・小田和正・財津和夫」
M28「情熱よ静かに降りつもれ/Birthday Suit」
M29「Voyage/浜崎あゆみ」

【編集後記】
「Missin’ You ~It Will Break My Heart~/平井堅」  Babyfaceは一世を風靡したプロデューサーで、当時僕も聴きまくって研究したので、ここ10年ぐらいは記憶の奥の方にしまい込んでいたのだが、久々に聴くとやっぱりツボを突いてくるなあ。今、米国の音楽は全体にHipHop寄りなので、どうしても譜面が細かくなり、このようなメロディー主体の曲作りがかえって新鮮に思えるのかも知れない。ちなみにBabyfaceプロデュース作品では後にグラミーを獲るトニ・ブラクストンの1作目がおすすめ。(松崎 真人)

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週 火~金 19:00~22:00)★RCCラジオ同時ネット(19:00~21:50)

MUSIC★J
放送局:STVラジオ 他1局ネット
放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動。
番組ホームページ

リクエストメール:mj@stv.jp
twitterハッシュタグ:#musicj 

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになります!。
★RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

※該当回の聴取期間は終了しました。

上野大樹 曲作りは「今しかない熱量みたいなものを書く」

TOKAI RADIO『OH! MY CHANNEL!』(月~金13:00~16:00 DJ大前りょうすけ)4月17日(水)の放送に、シンガーソングライターの上野大樹がゲスト出演した。

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