暑さでかく汗と緊張でかく汗って何が違うの?汗の素朴な疑問を専門家に聞いてみた

話を伺ったのは、渋谷にある、多汗症などの治療を行う山本英博クリニックの山本英博医師。

まずは、そもそもなぜ人間は汗をかくのか。

汗で体温があがりすぎるのを防いでいるというのはご存じの方も多いのでは?

Q:私たちの体がなぜ汗をかくようにできているのか?

山本:発汗する動物は4種類しかいない。人間、馬、ロバ、カバ。大量に発汗する動物は限られている。馬と人間に共通するのは長期間の運動に耐えられること。スピードの早い動物は数100メートル走ると体温があがり熱中症ぎみになってしまう。人間や馬のように長期間の運動をするために熱管理が必要で、進化の特異例。

大量に汗をかく動物は「哺乳類」の一部だけで、人間や馬など。

犬や猫は肉球にごく少量の汗しかかないそう。ウサギや鳥に至ってはまったく汗をかきません。

人間が進化の過程で、狩りをして運動量が増えると、体温はどんどん上がっていき、ほかの動物よりも効率的に熱を下げる仕組みが必要になったということです。

リスナーの方からのメールで「デートで緊張して手汗をかいて、手をつなげなかった」というメールが。

Q:緊張すると汗をかくのはなぜ?暑さでかいているのとは違う汗なのでしょうか。

山本:温熱性発汗のほか、精神性発汗がある。発汗をコントロールする発汗中枢は、精神活動とすごくリンクしている。精神活動が高まると発汗するシステムになっている。緊張、恐怖、激怒などで汗をかく。逆にリラックスすると発汗しなくなる。もうひとつ味覚性発汗。辛いモノを食べると、全身発汗するシグナルになる。

暑さに反応して起こる温熱性発汗。これは、全身で汗がみられ、上がった体温を下げる働きがあります。

一方、精神性発汗は精神的な変化に応じて出る汗で、手のひらや足のうら、ワキなどの限られた部位で発汗が起こります。山本医師によると、緊張・恐怖・興奮など、さまざまな“精神活動”が発汗につながっていて、逆にリラックスすると汗は止まるそうです。ただ、精神性発汗の詳しいメカニズムはまだわかっていないそうです。ちなみに、多汗症という症状がありますが、手のひらや顔・頭部・脇・足のうらの部位に多量の発汗がみられる疾患で、精神性発汗ではないので混同しないほうがよいそうです。

Q:次に、なぜ汗をかくとにおうのか?

山本:汗の成分となるもとはカラダから出た瞬間ににおっているのではない。皮膚の表面の雑菌たちが、汗のたんぱく質を食事して細菌から出る代謝産物としてそれがさまざまなニオイに変化していく。汗には、アポクリン腺とエクリン腺の2種類の分泌装置がある。アポクリン腺のタンパクを出し、エクリン腺は、1日1~2リットルの水分を出す。アポクリン腺のタンパク構成がどうであるかでニオイが出るかどうかがわかる。

まず、汗を分泌するのはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、カラダの全身にあるエクリン腺は、体温を調節してくれる汗を出します。

この汗にはニオイがなく、汗や皮膚の汚れをエサにした細菌がイヤなニオイ物質を生み出しているのだそう。すっぱいニオイなどですね。ただし、汗腺の働きが悪いと、においやすい悪い汗が出ることもあるそうです。ちなみに、精神性発汗と味覚性発汗は、エクリン腺から。

一方、アポクリン腺は、カラダの限られた部分にあり、ワキの下、乳首、下腹部などにあります。

アポクリン腺から出る汗は、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を含む体質の方がいます。遺伝的な体質によりある人とない人がいて、日本人では16%の人が該当するそうです。その場合は医療的な対処が必要とのこと。該当するかどうか耳垢でわかるそうです。ベタベタと湿っていると該当する可能性あり、カサカサと乾燥している方は可能性が低いそうです。

Q:リスナーさんの質問「制汗剤で汗をおさえても大丈夫なの?」。制汗剤を使うことで汗が出なくなって困ることはないのでしょうか?伺いました。

山本:制汗剤は、顔や脇の下など、部位としては面積が少ないから有害な影響ないと思う。制汗剤の成分の多くは塩化アルミニウムだが、この成分が汗の導管に入っていく必要がある。汗をかき終わって今からかかないよ、というタイミングで使うべきもの。汗が出ている最中は、外側に向かっての流れがついているから、外側から薬を入れても成分が中に入っていくことはない。寝る前など、これからかかないときに塗るのが効果的。

制汗剤を全身に塗るのでなければ、問題ないとのこと。また、意外だったは、制汗剤を使うタイミングも大事ということ。

制汗剤の成分のひとつ・塩化アルミニウムの場合、塗った後に汗をかいてしまうと成分がカラダの中に入っていかないため、一番おすすめなのが夜、寝る前、だそうです。まさにいま汗をかいている状態で塗っても、効果が得づらいということなんです。

山本医師によると、「汗や汗のニオイで悩んでいる場合は、さまざまな処方薬もあるので一度 クリニックなどで受診してみてください」とのことでした。

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