「アイシールド21」「トリリオンゲーム」原作者・稲垣理一郎が考える 売れる漫画の作り方

メインパーソナリティ・パンサー向井の周りには、個性豊かなパートナーが勢ぞろい。
さらに、お笑い芸人やタレント、アーティストなど、愉快 なゲストが毎日やってきます。

この日はパンサー向井と火曜パートナー田中直樹(ココリコ)でお届け。

10月29日(火)のゲストは、漫画原作者の稲垣理一郎さん!「アイシールド21」、「Dr.STONE」、「トリリオンゲーム」など、数々の人気漫画を世に出してきたヒットメーカーに、大人気作を生み出す秘訣を伺いました!

新人漫画家の画力に絶望…漫画家から漫画原作者へ

向井:そもそも漫画の世界に興味を持ったのは、いつ頃なんですか?

稲垣:中学生の時に、「まんが道」っていう藤子不二雄A先生の作品を読みまして。中学生という多感な時期に読んじゃうともうダメですね。

向井:漫画家になりたい!と。

稲垣:俺はこれになるんだ!って感じで。ブレることなく。

向井:でも、「漫画原作者」っていうことで、漫画家って物語も絵も描きますけど、稲垣さんもそこからのスタートでしたよね?

稲垣:そうですね、ブレることなくって言いましたけどブレまくってますね(笑)絵描いてないじゃん!って。

向井:最初は絵も描いてましたよね?

稲垣:最初は絵も描いてましたけど、いつの間にか漫画原作一本で。絵って上手い方いっぱいいるんで、もうかなわないなって。

向井:元々の才能も大きいんですか?

稲垣:大きいですね。本当に上手い人は技術では辿り着けない域にいる気がして。

田中:そうなんですか。

稲垣:「アイシールド21」っていう最初の作品の連載が決まった時に、編集部に言われたんですよ。「あなた自分で絵描きたいの?」って。「上手い人もいっぱいいるので、他の人で…」って言ったら、村田雄介先生が作画してくださることになって。今「ワンパンマン」とか描いてらっしゃる大ヒット作家さんですけど、彼も当時ど新人で。

田中:へえ~。

稲垣:この人どうでしょうって見せられた絵がとんでも無い画力で!これはもう人に預けた方がいいなって。

向井:自分で絵を描くって選択肢もあったはあったんですね。

稲垣:強硬に主張すればそうなったんでしょうけど、主張もできなかったですね、上手すぎて(笑)

設定より先に「キャラクター」を作れ!稲垣流ヒットの秘訣

向井:どういった風にストーリーを考えていくんですか?

稲垣:キャラクターから描き始めるっていうのが僕のやり方で。「アイシールド21」だったら、ダーティーなやつがいたら面白いんじゃ無いかってところから始めてますし、今連載してる「トリリオンゲーム」だと、今「お金が欲しい!」って堂々というのって憚られるところあるじゃ無いですか。それを公言して平気な顔してて、どんな手段でも使ってお金を稼いでいくってやつがいたら気持ちいいぞ、って思って作り始めて。こういった感覚からスタートした方が作りやすいですね。

向井:最初に面白いキャラを思いついたとして、設定は後からってことですか?

稲垣:そうですね。

向井:なんだったら別の題材でも良かったりするんですか?

稲垣:そうですね。トリリオンゲームだったら、お金に執着してるやつを輝かせるんだったら起業だな、とか、そういう作り方をしてますね。

田中:面白いですね。

稲垣:業界的にもそういうやり方がヒットしやすいって言われてて。

田中:そうなんですか!

稲垣:新人にアドバイスする時は「設定じゃなくてキャラクターから作れ」とはよく言いますね。

稲垣さんが考える少年誌と青年誌の違いとは?

向井:少年誌と青年誌で違いってありましたか?

稲垣:違いました。

向井:それってなんですか?

稲垣:僕が気づいたことなんですけど、読者の年齢が上な方が、我慢強い。

向井:「我慢強い」?

稲垣:ご褒美を予想してくれるんですよ。少年誌の読者って予想するほど漫画を読み込んでない方もいらっしゃるので、はっきりご褒美を提示しないといけないんですけど、青年誌だと、漫画読みの経験が長いんで、「この展開ってことはいいことがあるな」って予想してくれるんで、匂わせるだけで人気が取れたりするんですよ。

向井:ほー。

稲垣:少年誌ははっきりご褒美出さないといけないんですけど。

向井:どれくらい引きつけて、どれくらいの皆さんの喜ぶ展開を与えるかっていう度合いが違うんですね。

稲垣:昔、「ドラゴンボール」読んでた時に、カメハウスって島にレッドリボン軍っていう敵がバーってくるんですよ。カメハウスには老人が1人いるんですけど、それがめちゃめちゃ強いんですよ。

向井:亀仙人ですね。

稲垣:レッドリボン軍が「老人1人なんか」ってなめきってるところで引きになってるんですよ。絶対次面白いじゃ無いですか。

向井:フラグは立ってますよね。

稲垣:でも、自分がもっと幼い頃だったらそれ予想できなかったなって思って。その辺の記憶を呼び起こして、そういう感じの調整をしてましたね。

(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)

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