豆腐の復権に向けた闘い!
我々日本人の食卓に欠かせないお豆腐。
そのお豆腐業界が今大きな問題に直面しています。
株式会社アサヒコ 代表 池田 未央さんのお話です。
豆腐屋が居なくなる!?
株式会社アサヒコ 代表 池田 未央さん
お豆腐業界なんですけれども、もうここずっと毎年4、5%で縮小してます。どんどん周りに美味しい食べ物が出てくる中で食卓の中で埋没しちゃってるというのが一つ大きな要因です。
豆腐ってスーパーマーケットでは価格の優等生なんて呼ばれて、卵とか牛乳と一緒に白いものでよく特売にかかってしまうんですけれども、すごく市場がどんどん縮小していく中で原料が上がってる、売りやすいような値段条件を出さないと採用してもらえないっていうのがあるのでメーカーとしては自分の身を削って利益をどんどん吐き出しながら何とか事業を続けてるっていうのが今の現状で、これを変えなければいけないっていうのが私達豆腐メーカーの直近で抱えている大きな課題になってます。
・10年前、一般のスーパーで、売られてる豆腐の市場規模は大体2400億ぐらい。今はそれが2100億ぐらいになっているので、この10年で300億は減ってきてしまっている。
・帝国データバンクによると、一昨年を上回る倍ぐらいのスペースでお豆腐屋さんの廃業倒産が進んでる現状
・主な理由としては
①お豆腐の食べ方が味噌汁、冷ややっこなどあまり変わらないので、マンネリ化による需要低下
②最近、スーパーなどでお惣菜など調理済みのものを買う人が増えている
③若者があまり買わない食べない
④原料、燃料の高騰・・・
・さらに、価格競争でみんなが安い値段を競いあっていて、薄利多売と言われる豆腐業界は自分で自分の首を絞めてしまっている状況。
こういった危機的状況を踏まえて、アサヒコが先日「豆腐の復権」を目指して、新たなプロジェクトを始める事を発表しました。
どんなプロジェクトなのか?再び池田さんのお話しです。
クラフト豆腐
株式会社アサヒコ 代表 池田 未央さん
サプライチェーン全体でお豆腐の価値を見直すことをしないと、みんなが永続できませんよっていうきっかけを作るようなプロジェクトを立ち上げさせてもらいました。
私達は国内の大豆を買うんですけれども、どの県で作ったどんな品種の大豆ですよっていうのをちゃんとお客様にも伝えられるようにパッケージに印字していきますし、さらにその大豆を使ってアサヒコの場合は、社内の豆腐マイスター制度っていうのを立ち上げて、大豆の仕入れの部分ですとか実際その仕入れた大豆を生産でうまく使っていくためにマイスターたちが吟味して、各工程に目を光らせながら本当に美味しい、安心して食べられるお豆腐を作っていって、商品1個1個にマイスターの名前が打刻されるというのが新しい仕組みなんですけれども、さらにそれを店頭でもお客様に伝えられるように売り場も一緒に流通さんと作っていくことで、サプライチェーン全体を通じて価格ではなく価値で買っていただけるような売り場、これを全部セットで作っていくことで豆腐の復権を果たしていこうという壮大なプロジェクトになってます。
・価格ではなく価値で買ってもらうために、まずは、豆腐好きのユーザーに向けてもっと豆腐に興味を持ってもらうための仕掛けをしていこうという取り組み。
・商品に大豆の産地と品種、製造担当者の名前を入れて、どこのどんな大豆を使っているのか誰が造っているのか分かり易くする。そして、アサヒコの自社基準の試験などを設けて、豆腐のプロ、豆腐マイスターを輩出して、どんなプロが工程に携わっているのかも表示する
・このプロジェクトの一貫として、アサヒコは、国産大豆を100%使用した新商品「職人(クラフト)豆腐」シリーズを3月3日に発売します。素材と製法にこだわった商品として中価格帯で展開する。360グラムで192円。
そして、池田さんが冒頭に仰っていた、豆腐のマンネリを打ち破る、ある進化系豆腐が少しお高めにも関わらず爆発的な人気を誇っていると言うことでお話しを伺いました。その名も「うにのようなビヨンドとうふ」です。
相模屋食料 片岡 玲子さんのお話しです。
相模屋食料 片岡 玲子さん
ズバリ、お豆腐で作ったウニなんですよ!っていうとわからないかもしれないんですけど、ウニのような味わいと食感を実現しているお豆腐です。
社長がですね、ある方から、豆腐はシンプルで何にでも合うけども、クセになる味がないよねって言われたことがきっかけ。
発売当初から一気に火がついたっていうような感じで人気な商品になりました。現在今年1月ですけれども、累計出荷数1100万パックを超える人気商品となっております。
大体213円とかそれぐらいですね。大体一般的な木綿と絹だったら100円ぐらいですけれども、昔はすごくいいものを作っていた美味しいものを作っていた、だけど価格競争に巻き込まれて目先の利益で豆乳濃度何%とか数値管理だけで利益を追求してしまっちゃうと、ちょっとお客様にやはり美味しいものとして受け入れていただけなくなってどんどん厳しくなるので、やはり美味しいものをしっかりとお客様に届けることが大事だと思います。
・2022年に発売してから累計出荷数1100万パック
少しお高めですが、ネットでもこのお豆腐をつかって簡単にウニクリームパスタが作れると話題になっており、お豆腐の食べ方の幅を広げ、かつ様々な魚介エキスを使って風味にこだわった味わいで若者にも刺さっている商品。
このような付加価値のついた豆腐も、業界を救う鍵になるかもしれません。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)
勅使川原真衣が懸念を抱く!「大手商社の『自分史採用』は吉報なのか!?」
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。11月12日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が大手商社の人事の採用基準についての記事に懸念を示した。
勅使川原真衣「今日はちょっと就活の話をしたいと思ってます。『志望動機はもう古い? 自分史採用は吉報なのか?』と題したいんですけども、これ元ネタがありまして、先月末に日経新聞を見ていましたらこんな記事が目に飛び込んできました。三井物産の渡辺徹(てつ)執行役員が語る『学生時代に好奇心深める経験を』と書かれた記事ですけども、三井物産、大丈夫ですか?」
武田砂鉄「全然大丈夫ですよ。把握してます」
勅使川原「知ってますね。一応言っといてもいいですか? 日本の五大商社のひとつと言われています。いきなり下世話な話をしますけども、平均年収は1996万円」
武田「え? もう一回言ってもらっていいですか?(笑)」
勅使川原「1996万円が平均年収ということで、『ザ・エリート街道』と言ってもいいのかな? と思いますが、この人事管掌役員である渡辺さんが取材に応じていて、記者にこう聞かれていました。『選考で重視するのは何ですか?』と。これに対してちょっと途中省略しながら読みますと、『コミュニケーション能力などの人柄と、それを支える意味で学生時代の経験です。エントリーシートでは志望動機は聞かず、自分史を書いてもらっています』」
武田「自分史?」
勅使川原「自分の歴史ですね。学生の時にしかできないことを色々経験して、好奇心をどんどん深めていってほしい』。ここちょっとポイントなんですけども『1年生の時から就活のことを考えてアルバイトなどを選ぶ人は嫌ですね』と。『嫌ですね』と言われちゃったんですけども、どうなんですかね、これ地味な記事だと思いますよ。就活業界研究の記事なので。ですが、結構話題になりました。
色々SNSでも反応がありまして、例えばあの西村ひろゆきさんもXでこの記事をリプライする形でこの取り組みをXで肯定していました。『従来型のテストマシーンみたいな人はもういらないですよね』と」
武田「テストマシーン……」
勅使川原「『テストだけが出来るような人はいらない、テストだけに強い人はいらないよね』みたいなコメントです。あと、あるベンチャー経営者の方はこう言ってました。『表面的な就活スキルではなく、本物の好奇心と粘り強さ。それが何十億円のディールを生み出す源泉だと彼らは知っているんです』と、豪語していたんですね」
武田「スケールでかいですね!」
勅使川原「なんかそんな感じしますけども『どうなのかな?』と私は思っています。やっぱり当たり前を一応疑う教育社会学っていうのをやってきて、さらに仕事としても『仕事ってこんなもんだよね』っていうのを疑う仕事をしてきているので、ちょっとこれも疑ってみようかなと思うわけですけども、これ多くの人が『なるほど、新しい潮流だ!』って思ってるかも知れないんですけども、『ほとんどの人にはあんまり吉報にはならないんじゃないかな、なりにくいんじゃないかな』と考えてます。
3つほど懸念があります。1つはですね、これ生まれの影響を多分に受ける選抜方法じゃないかなと思うんですよ。就活対策なんかしてね、『嫌ですね』と言われようがなんだろうが、人生のある時期につけ焼き刃をしてでも評価機関に合わせて自分の将来を切り開くって、普通のことじゃないですか。『そんな悪いことだったのかな?』と思うわけです。
なんか最近やたらと個人が事前に対策できることを『表面的』とか、もっと言うと『実力がこれじゃわからない』みたいな言い方をすることがあるんですけども、いやいや、実力って何なんですか? 何が問われるのかを事前にちゃんと把握した上で、問われたものに対して自分なりの答えを用意していくって、これ機会の平等に近いと思います」
武田「そうね」
勅使川原「なので、ある意味でフェアだったはずなんですけども、果たして自分史採用ってどうなのかな? 評価機関で言うとこれ人生全体ですよね? これまでの生き様みたいな」
武田「全部出さなきゃいけない」
勅使川原「全部出さなきゃいけなくなる。『これで本当に実力が見えるんですか?』っていう問題があると思います。自分史でわかるとされている実力と呼ばれているものも、これ案外『育ち』。『育ち』の話になっていくんじゃないかと懸念してます。ちなみに育ちを決めているのは能力ですか?」
西村志野「違いますよね?」
勅使川原「100万%偶然じゃないですか。どの家庭に生まれ落ちるか、自分じゃどうにもできないです。選んだことある人、いません。この偶然の生まれのことを起点にして、その後の人生っていうのは教育社会学で『水路づけられる』っていう言い方をするんですよ」
武田「水路づけられる?」
勅使川原「完全に決定はしないけども、この学校に行くとこれぐらいの職業について、こういう人と結婚して……みたいなのがある程度あるでしょ、というのは実証研究で示されているので、この選抜対策不能にしようっていう意図はあると思いますけども、そもそも偶然性を引きずってますので、初期値、最初の生まれの影響がかなり大きいんじゃないかなと思うんです。生まれの影響が大きいと何が困るかって、結局番狂わせみたいなのが起きにくいんじゃないかと思うんですよ」
武田「そうかそうか」
勅使川原「『階層再生産』って言うんですけども、言い方あれですけど、お金持ちの家に生まれると、子供も三井物産のようなところに入ったりとかお金持ちになっていく、みたいなのが起きないかなと。老婆心ながら心配しております」
この後も、勅使川原さんによる熱い問題提議が続きました。気になる方は、Radikoのタイムフリーでご確認ください。